工場が稼働し始める
季節は夏に近づき始めもう夏は目の前に迫ってきた季節。
そんな中工場が続々と完成し、順次稼働が始まっている。
工場が稼働し始めた事により様々な生産が一気に効率化されていく。
また労働を引っ張ってくるという意味でも工場の存在は大きいのだ。
「工場は順次動き始めてるみたいね」
「ええ、工場のおかげで労働もかなり楽になっていますよ」
「それは何よりね、いろんなものを作る上でもこれは欠かせないもの」
工場があるというのはそれだけ意味がある事でもある。
「やっぱり工場を建てたのは正解だったかしらね」
「そうですね、労働というか雇用を引っ張ってくるのにこれ以上のものはないですから」
「貴族ではあるけど、上の者は雇用を持ってくるのも大切な事だものね」
「国や貴族というのは雇用の斡旋こそが最大の貢献なんでしょうね」
「ええ、王族や貴族、平民などの身分差がある以上仕方ない事でもあるし」
オルライトも身分差を取り払う事は出来ないという認識でいる。
そもそも貴族とはなんなのか、国とはなんなのかをある程度理解しているのだろう。
だからこそ出来る事は精一杯やっていこうという事でもある。
「でも工場で働き始めてから村人達も少し活き活きし始めたかしら」
「ええ、給金もしっかりと支払われるのは大きいですからね」
「村での生産物の多くは輸出用とはいえ、村の中でもきちんと消費していかないとね」
「村の中で消費するものと、輸出するものはまた別の生産ラインになりますかね」
「そうなるわね、輸出用の生産ラインと村の中での消費用の生産ラインがあるから」
生産ラインは輸出用と村の中での消費用の二つがある。
それにより明確に目的に合わせた生産を実現させている。
また畑や林業なども今ではすっかり二つの生産ラインが確立されている。
「工場の設備なんかは問題なく動いているようでとりあえずは安心かしらね」
「マテリアルハンドの機械技術のおかげで労働環境もかなり変わりましたからね」
「フユが機械は初期不良がある事もあるって言ってたけど、見る限りは平気そうね」
「初期不良ですか、まあよほどでもなければ問題はないでしょう」
「とりあえずは機械に何か不具合があったら技術者にしっかり相談させないとね」
機械には初期不良が出る事もあるという冬夕の言葉。
それは冬夕が自分の世界で経験した経験談なのかもしれない。
なお林業は高級木材などの生産が本格化しているという。
「工場はまだ建つ予定だけど、土地の開拓をしておいてよかったわね」
「そうですね、村の周辺は開拓すれば使える土地も多いですよね」
「国の事業とはいえ、まさかここまで大規模な開拓になるなんてね」
「まあまさか山を崩したりまでするとは思わなかったですけど」
「それは技術の凄さを感じてるわよね、山を崩しても特に問題は起きてないし」
開拓した土地は湿地の乾燥や森を切り拓き、さらには山を崩すなど多岐に渡る。
それらの開拓に使われた技術も他種族や職業の協力あってこそだ。
使える土地はもう少しありそうという事で、調査は進んでいるとか。
「工場で働いてる人達は特に何かあるという事はなさそう?」
「特に今はないですね、お金をしっかり払ってくれるだけでもありがたいと」
「そう、でも移住者も含めて他の種族の技術を学べているのも大きいのかしら」
「それはあると思います、移住者は平民からそれなりに裕福な人まで多様ですから」
「まさかそれなりに裕福な人まで移住してきてくれるなんて、嬉しいものよね」
移住者の中にはそれなりに裕福な人もいる。
そうした人達は村の発展から何かを学ぶために移住してきたのだろう。
平民は雇用を求めての移住も多いが、それが結果として前よりも稼げるようになったとも。
「とりあえず問題がなさそうなのは安心かしらね」
「ええ、薬や衣類の工場、鍛冶や細工の工房もありますし、こういうものの存在は大きいかと」
「研究施設なんかも建てたからベル達もいろいろ出来ているしね」
「施設があれば出来る事は一気に広がりますしね」
「三年目も半分になりそうだから、まだまだこれからよ」
領主代行の期限は四年目の終わりまで。
その時に父親との約束を果たせていれば婚約の話はなかった事になる。
オルライト自身そうした動機とはいえ村の発展は確実に進めているのが凄いのだ。
「とりあえずは一安心ね、工場はまだ増えるから」
「労働環境の整備をしてくれるだけありがたいですよ」
「ええ、監督なんかは任せるわよ」
労働者達の監督などはバルカなとがやっている。
貴族としての務めは雇用の斡旋だというオルライト。
村の人達はきちんと雇用をもってくるオルライトに信頼を寄せている。
工場はまだまだ増えていく。




