建材の試験
夏も近づき気温が上がり始めてきた季節。
そんな中以前ベルに頼んでいた建材が完成し、量産体制に入ったという。
なのでその建材の強度のテストなんかもしておきたいという。
というわけでいろいろやってみる事に。
「ようやく出来たのね」
「ああ、少し時間がかかってしまったが満足のいく出来にはなったよ」
「それでテストをするという事よね」
そんなわけで建材の強度などを確かめる事となる。
どの程度の衝撃まで耐えられるのかという事である。
「それでどんな感じにテストをするのかしら」
「ダークエルフに作ってもらった魔法の道具でテストをするよ」
「魔法の道具ね、重力を発生させるとかそういう事かしら」
「ああ、それじゃ始めるよ」
「ええ、お願い」
建材を使って小さな塊を作りそれに衝撃などを与えてみたりする。
強度に問題がなければそのまま家造りなどにも使える。
とはいえ村に今建っている家は古いものとはいえ強度自体は足りているのだが。
「おぉ~、凄いわね、重力が発生しているわ」
「とりあえず軽い重力程度ならヒビ一つつかないね、特に問題はなさそうだ」
「とはいえ実際どの程度の強度を想定したの?」
「鉄の塊がぶつかっても壊れない程度は想定したよ」
「その割に重圧をかけても無事とか凄いわね」
とりあえず建材を使って建物を建てるわけだが、改築には相応の時間がかかる。
あの日以来大きな地震は来ていないものの、対策はしておくに越した事はない。
改築は希望者のみに絞るという方向で今は調整する事にした。
「次は耐熱実験かしら、ダークエルフの作る魔法の道具って凄いのね」
「そうだね、炎が出る鉄板とか、いろいろ凄いよ」
「とりあえず燃やしてみるのかしら」
「ああ、やるよ、これの上において、遠くからこうやると」
「また凄い火力ね、これでも無事なのかしら」
その火力はなかなか凄いようで、建材で作った塊が火だるまになっていく。
それかに少し待ち、火が消えていく。
火の中から出てきた建材の塊は少し焦げているものの、特に問題はなく無事のようだ。
「それにしてもこれだけやっても無事なんて凄いわね」
「ああ、簡単には壊れないように作ったからね」
「それだけ頑丈って事なのね」
「とりあえず耐水実験とか耐寒実験とかもやるよ」
「ええ、分かったわ、順次いくわよ」
そのまま順次実験を重ねていく。
その結果大体の事には耐えられるという事は証明された。
とはいえ改築は希望者のみにしていくため、使い道は工場建設などになりそうだ。
「とりあえず建材を使って家の改築は希望者にはやっていくつもりだけど」
「全員やるとなるとオルライトの任期が終わってしまうからね」
「ええ、だから今は希望者だけと、工場の建設に使わせてもらうわ」
「工場が頑丈ならそれに越した事はないもんね」
「ええ、だからその辺に今は使わせてもらうわね」
今の建材の使い道は希望者の家の改築や工場建設に使う事になりそうだ。
全部改築しようとなると時間が足りないのである。
なので今はそういう方向で調整を進めていく事になる。
「でも本当に作っちゃう辺りがベルの凄さよね」
「これでも建築で富を築いた家の生まれだからね」
「やっぱりそういうところは大したものだわ、私には出来ない事よ」
「オルライトは引っ張っていくタイプのリーダー気質なんだと思うけどね」
「引っ張っていくタイプのリーダーね、まあ確かに自分でも指揮官向きとは思わないわ」
ベルの家は建築によって財を成した建築貴族である。
それもあり先祖が作った建材は現代でも高い世界シェアを誇る。
そんなベルがオルライトの頼みとはいえ、新たな建材を作り出すという事なのだから。
「それにしても衝撃に熱に水に寒さ、全部に耐えきるなんて凄いわね」
「そういうところも徹底してたから完成に時間がかかってしまったわけなんだけどね」
「なるほど、まあ強度はあるに越した事はないわよね」
「そういう事さ、量産体制はすでに構築済みだから、必要ならたくさん作れるよ」
「それはいろいろ助かるわね、流石だわ」
量産体制はすでに構築済みというベル。
なので必要となればどんどん作っていけるという。
なお改築や工場建設に使う量がどの程度になるのかはこれから計算していくようだ。
「とりあえず計算が終わり次第改築希望者を募集する事になりそうかしらね」
「工場建設にも使うだろうから、そっちの分も量産しておくよ」
「ええ、お願いね、地震に限らず災害が来る可能性は想定しておくから」
そんなベルの作った建材は時間はかかったものの無事に完成した。
今使っている建材も強度的には充分なものではある。
とはいえ新たな建材はそれよりも遥かに頑丈に作られている。
並大抵の事にはびくともしないのはやはり強いのだ。




