スパイスの使い方
すっかり春の陽気になり近辺も春の花が本格的に咲き始めた。
そんな中エルフに頼んでいたものが出来たらしく、呼ばれた様子。
以前頼んでいたスパイスの栽培が上手くいったとの事らしい。
エルフは植物の知識が豊富なのでスパイスも作れてしまうようだ。
「これがそのスパイスなのかしら」
「ええ、尤もスパイスにも種類があるので、これは試作品第一号ですが」
「でも大したものよ、これで何が出来るのかしら」
スパイスというのは複雑なものである。
基本的には単体では使わ事は珍しく、配合して使うものでもある。
「でもスパイスの栽培も意外と上手くいってしまうものなのね」
「そうですね、基本的には植物ですからエルフからすればそこまで難しくはないです」
「でもこれでスパイス料理を作れるようになるのね」
「今回成功したものだと以前フユさんが言っていたカレーなんかに向いているかと」
「カレーを作るのに使うスパイス、なるほどね」
とはいえスパイスは奥が深い食材でもある。
人の数だけ配合が存在するとも言われるのがスパイスだ。
まずは配合からしていかねばならないのだが。
「でもスパイスって基本的に配合して使うものなんでしょ」
「ええ、スパイスに関係する本なんかも取り寄せてみたんですが」
「それで少しは分かったりしたかしら」
「まあ少しは理解はしました、ただ個人の匙加減によるところが大きいそうで」
「つまり私とあなたでは配合も変わってくるという事かしら」
スパイスの配合は簡単な話ではない。
ただよほど極端にならなければ大体の人には合うものでもある。
スパイスの配合が出来そうな人はいないものなのだろうか。
「この村にスパイスの配合が出来そうな人っていないのかしら」
「そうですね、そういえば海賊達の中にスパイス料理が盛んな国の出身がいたかと」
「海賊の中に?そんな国からも海賊になった人がいたのね」
「彼女に聞いてみれば少しは分かるのではないかと思いますよ」
「そうね、とりあえず少しいただいていくわね」
出来たスパイスを一通りいくつかいただいていく。
海賊の中にスパイス料理が盛んな国の出身者がいるという。
彼女に聞いてみれば少しは分かるかもしれない。
「少しいいかしら、あなたスパイス料理が盛んな国の出身って聞いたけど」
「あたし?確かに出身はそういう国だけど」
「スパイスの配合って出来たりするかしら」
「んー、一応は出来るけど、その持ってるスパイスの配合を頼めないかって事かな」
「ええ、そうよ、頼んでもいいかしら」
海賊の一人にそのスパイスの配合を依頼する。
カレー作りに使う感じのスパイスなので、恐らくカレー向きになってくるのだろう。
ちなみにスパイス料理が盛んな国ではカレーなども普通にあるのだという。
「それでこのスパイスから何か作れる料理とかある」
「このスパイスだとやっぱりカレーですかね、あたしの故郷の定番ですよ」
「あなたの故郷ってカレーがあるのね」
「まあスパイス料理の基本ですから、スパイスが高い国だと珍しい料理ですよね」
「確かにスパイスって産地の国だと全然高いものでもないって聞くわね」
スパイスは産地の国では高級どころか一般家庭でも買えるようなものである。
その一方で都会などでは恐ろしく高くなるのもスパイスの特徴だ。
都会は物価が高いという事を象徴するものの一つがスパイスなのである。
「それでこの村でもカレーが普及したりするのかしら」
「スパイスが安定して手に入るなら出来ると思いますよ」
「なるほど、ならとりあえずあなたに配合を頼めるかしら」
「いいですよ、あたしでいいなら任せてください」
「分かったわ、なら頼むわね」
海賊の一人にスパイスの配合を頼む事となった。
この村でもカレーが普及するかもしれないという話。
ただしそれはあくまでもスパイスが安定して手に入るかどうかの話である。
「そういえばあなたの故郷だとカレーは定番料理なのよね」
「ええ、定番だとバターチキンカレーですかね」
「バターチキンカレー、名前を聞くだけで美味しそうね」
「とりあえず配合が終わったらそのままカレーの試作に入ってもいいですよね」
「ええ、構わないわよ」
配合が終わったらそのままカレーの試作に入る。
それは美味しいカレーが出来るという事なのだろう。
スパイスに関しても知識のある人に頼むというのは大切な事である。
「それじゃ出来たら伝えてね」
「ええ、お任せください」
「これは期待出来そうだわ」
そうしてスパイスを使ったカレー作りが始まる。
まずは配合から始まり続いてカレー作りになる。
とはいえこっちの世界のカレーは冬夕の世界のカレーとは当然違うのだろう。
出来てみなければ分からないものではある。




