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獣人と作る最高部隊  作者: もくもくもくお
2/2

馬は旨い。見て楽しい、食べて楽しい。

 意外にも牢屋生活でもご飯が出ることに狂喜乱舞しながら目の前に置かれた犬の餌を視界に入れる。うん。入れるだけ。あのですね、私、断頭される寸前みたいな格好なんだよね。ご飯の時ぐらいは外しても良いんじゃない…? と、視線を向けるが言葉が通じない世界である。特にうんともすんとも言わず去っていった。いや、見た感じでわかると思うけどね!? 若干鼻で笑われたので気付いているでしょう。…痴漢ってそんなに大罪なんですね。七つの大罪に痴漢が入るレベル。

 にしても馬ズラが上等にご飯を食べているのがムカつくね。普通に胡座かいて食べてるし、食事の内容も俺と違って普通に固形物。馬は牧草でも食ってろよ、と思いながら見詰めていると可哀想な人を見る目で背中を向けて食べ出す。いや、羨ましがってないからな!? 馬に同情を買われる俺って…。

 ある意味新しい扉が開き掛けたけど隙間風レベルで収まったわ。流石に馬の同情の視線で興奮は覚えません。アブノーマルでは無いので。

 まあ、マイノリティ的な感じで言ったら馬ズラだけどな。普通に話していた所を目にしたので言葉が通じないのは俺だけのようです。おっと、マイノリティの形勢逆転か?






 若干数時間後。

 流石に苦しい体制で何日も暮らせる筈が無く、現実逃避を兼ねて異世界召喚に夢を馳せていた所。とある能力が開花した次第であります! まあ、クソ程くだらない能力だけどね。


『てな訳で自己紹介を』


 そんな俺の直接脳内に!? が響いた馬ズラが驚いた表情を見せる。驚き、立ち上がり、結構高い身長であるのか天井に頭を打つけ…って、驚き過ぎじゃね?

 と、驚きの表情で、謎の舞を魅せる馬ズラはさて置いて、俺の能力『テレパシー』でございます。すごいけどね。凄いんだけどそれは異世界ではそこまで役に立つイメージは俺には無いのよ。マジで。言葉が話せない、通じない現状の俺からしたら確かに一番役に立つものだけど、言葉の壁は召喚された時点で解決されてないといけないものでしょって話。嬉しいけど素直に嬉しがれないよねって話。


 やっと言葉通じる嬉しみを仄かに胸に収め、テレパシーとして覗いた馬ズラーーポニの記憶から一筋の光を見出す。役に立たないと言ったね、前言撤回でござんす。ちょっとは役に立つみたいです。

 取り敢えずは外に出る事を第一目標として語りかける。イメージは現世に舞い降りた神的な


『私はこのイケメンな青年の体を借りた神です。其方に一つの啓示を授けましょう』

「…へ、イケメン? …神…? 啓示…? えっと、貴方様は何の神なんでしょうか、私の敬愛する宗派と違っていたら大変申し訳ないのでよろしければ教えていただいても…」


 と、疑う余地もなく、一瞬で信じたポニに「ああ、コイツは謎の壺を沢山買わされる人だな」と、感じながら、適当に神の名前を上げる。だって相手は馬だろ? 流石に馬神は安直すぎて分かり易いだろうし…


『私は獣の神です。生憎、このイケメンの体を借りるのも時間の問題ですので本題に移りましょう。まずはこの青年を助けなさい。さすれば其方の村に救いは訪れるでしょう』


 獣の神です、の辺りで目に見えて嬉々とした表情になったポニに何となく牢屋に入れられた理由の一端を知れながら、話し終えると完全に前のめりに、固定された牢屋の檻を競走馬と見違うよな立派な両腕で掴む。若干涎が溢れ出していた。


「け、獣の神でありますか!? え、えっと、その青年を助ければ良いんですね? そうしたら私の村のあの厄災を振り払えると…!?」

『振り払えるかは私でもまだ見えませんが、救える道筋は開けるでしょう』


 流石に断言は不味いからね。助けます! って言ってポニの心残りである、両親が暮らす村に住まう肉食系猛獣を倒す流れは無理です。だって非力な人間ですもの。

 ここまで純粋無垢な瞳で見つめられてもねえ…普通に馬のガン見って怖くない? ポニー相手でも恐怖を覚えるんだけど…。普通に牢屋から出してもらえるだろうけど、このままスルーして逃げたら追い掛けられて、捕まって頭からガジガジ食われそう。馬の被害って結構あるもんね。後ろ蹴りが原因って有名だけど。それと飛び出して引かれるパターン。

 人力車的なノリで国道を通っていないので経験したことはないけどね。つか、馬に轢かれるって現代ではほとんどあり得ないでしょ…。アルプスでもねえぞ? 知らないけど。


 と、若干の憂いはあるものの、ブルヒヒィーン(おーーい)と、ガッツリ鳴き声で門番を呼び、説明を掛ける。さっきまではネイティブのリスニング的なサムシングだったが、今ではテレパシーが開花したことにより、話の内容がわかるようになりました。

 まあ、話が分かるってだけで喋れるって訳ではないんだけどね。でも、喋らない方が神の卸し体、なんていうんでしょうか。巫女的な? そんなノリの印象がより大きくなるので実質なマイナスは無いので俺的には問題なし。圧倒的なコミュニケーション弱者になるけどね。肯定か否定かの二択で、アキネーターみたいになってるけどね。

 初日の扱いとはうって変わって、親切丁寧な高級ホテルの案内的なノリに変わった女門番から両手両足、首に掛かった手錠を外してもらい、先導され外に出る。道中で何度か話しかけられたが一歳意味が分からなく、テレパシーで探ってみると。


「(どうかどうかどうかどうか神罰だけは神罰だけは神罰だけはご勘弁を…私には愛する夫と、愛する娘が居るんです!! 言葉が通じないのが意味が分からないし、こんなガキが神の遣いなんて信じられないけど……)


 と考えていたみたい。

 …人妻なのね。まあ、門番とか兵士って今で言うところの公務員的なポジションって聞いたことあるし? 高所得だろうから結婚してるのは当たり前…なのか? 金が目当てな男だと俺は予想します。よろしければ俺と結婚しませんか? 月に十万程支給していただければ喜んで婚姻届に記入いたしますよ?

 まあ、ガキで意味がわからない人らしいけどね、俺。

 よく考えれば言葉が通じなくて、いきなり痴漢働いた外国人って普通に意味がわからないよなって話。


 何故か神の遣いになっている事に疑問を覚えるが…まあ、意味合い的には変わっていないだろう。実質俺神だし。獣神って何だよ獣は獣だよ馬鹿、と思わなくも無いが脱獄出来た事は感謝します。

 感謝してるので…その、服で俺を着飾るのは何ででしょう? まあ、全裸だったので着替えはありがたいのですが…普段着的な意味合いではない圧倒的な装飾が目立つこれって…何だろう、一番近いのは神官とか神父とかの服装に近いのかな? 確かに神の遣いだけど…なんかおかしくね? 神父と神の遣いって同じでは無いと思うんだけど…。

 と、思いながら妙に仰々しい服に身を包まれ、圧倒的な牢屋との装飾品、内装の格差に眩暈を起こしそうな廊下を歩いています。えっと、何故?


「(…も、門番兵である私が王の御前に…。ふ、不敬罪で斬首とかは…な、無いわよね?)」


 うーん。




 え、謁見?

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