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機鋼甲冑アナト A.D 2030  作者: 三ツ蔵 祥
遊撃部隊”MSX”始動編
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第45話 オーストラリア北

 MSX艦隊はオーストラリア北部で展開を始め、空母からはSFXタイプ戦闘機と、Xタイプ機動兵器が随時発艦していた。そこにはMSX艦隊以外の艦艇は見られない。その環太平洋艦隊の本隊は、オーストラリア南岸に集結。そして時が来るのを待っているのだった。


『各隊は、エアーズロック近郊2キロメートルにまで侵攻後にサウンドブースターを起動。充分に敵を引きつけたところで、各自の判断で北海洋までデスイーターを誘き寄せてください』


 オペレーターの声が、今までよりも緊張感に包まれ、普段よりも厳しい口調に聞こえる。それほどまでにMSX艦隊の今回の任務は、激しい戦いになる事が察せられる。


 アナトの第3操縦席ではティアラが瞑目し、荒ぶる心を押さえつけるように両腕を組んでいた。エクステリナは忙しなく操作パネルをタッチして、アナトの各部チェックを進めていた。


 そしてウテナは――


「あ、あー、テステス。只今マイクのテスト中ー」


 何故か操縦席に据えられた、マイクのテストを行っているのだった。少し訝しげな表情で何度も発声するウテナであったが、次第に羞恥心に苛まされ、チラチラとエクステリナの顔と、モニターの向こうのティアラの顔を覗き見るようにしている。しかし、二人は特にウテナの様子に反応する素振りはなく、エクステリナは相変わらず忙しそうに手を動かしていたし、ティアラは瞑目したままだった。


「ちょっと二人共、なんでそうやって澄ましているんですか!少しは何か言ってくださいよ!!」


「あ、ごめんウテナっち。瞑想に集中しすぎてたわ」

「こっちは聞いているわよ。その為に調整に忙しいんじゃない」


 何処か冷めた態度の二人に、ウテナは不満が爆発しかけているようであったが、ティアラもエクステリナも悪気はない。それぞれがそれぞれの仕事の為に集中していた。それだけのようであった。


「アナト、ウテナの声質がやはり一番マッチしているようだわ。馬鹿げた作戦にも思えるけど、頑張ってねウテナ」


「フォローになってないですよ、エクステリナ!」


「気にしない気にしない。はい、そんなわけで確認ね。今回は私が操縦、エクステリナが管制、ウテナっちがボーカル。以上で問題ないわね?」


「ええ了か…」「問題あるでしょが!!」


 アナトの機内にウテナの怒号が響く。エクステリナは咄嗟に両耳を押さえ、ティアラはいつの間に用意していたのか二人の応答を待つよりも早く、耳栓をして鼻歌を歌っていた。


「なんで作戦行動中に歌なんか歌わなきゃいけないんですか!サンプリングした音源で充分でしょ?生歌の意味がわかんないですよ!!」


 ウテナの怒声はサウンドブースターのテスト中であった為、ネールリンドバウム号を中心にオーストラリア北岸全域に響いていた。このような遣り取りを予想していたネールリンドバウム号の艦橋では音声を絞り、クルー全員が耳栓を着用し、澄まし顔でこれを眺めていた。


「だから~…面倒くさいなぁ…。アナト、説明を頼むわ」


『は、はい、ティアラ様』


 アナトの返事にも、何処か溜息のようなノイズが混ざる。そして誰もが、朝から何回この説明をウテナにしたことだろうと苦笑いを浮かべているのだった。


『今回の作戦では「音」が重要なカギとなっています。それはご理解されていますね?』


「わかってるわよ!でもなんで私が歌を歌わなきゃいけないのよ!」


 ムウっと云う様な表情でウテナは口を尖らせている。それをティアラは、薄目でモニターを見ながらニヤニヤとしていた。勿論色々と調整をしているエクステリナは、それに気付いてはいない。


『では、何度も説明したと思いますが、耳タコになるまで説明させていただきますね』


「耳タコならもうなってるわよ!」


「ならもう諦めて大人しくやってくれればいいのに…」


 横で機材の調整をしていたエクステリナは、溜息を吐くと小さな声で呟いた。


『いいですか?ある領域の音波に群がる性質のあるデスイーター、彼等もいわゆるこちらで言う妖魔の一種であり、神界で言う邪神の尖兵です。彼等は音以外にも聖なる者…特に勇者と呼ばれる特性を持つ者に対しても反応をみせるのです。ここまでは良いですね?』


「だから耳タコだって言ってるでしょ!でも『勇者』の特性を持っているのはティアラじゃない!なんで私なのかと聞いているのよ!」


『それはですね、ティアラ様は勇者以外に魔王の特性も持ってしまわれています。その為長時間聖なる波動を出し続ける事は、その身に危険を及ぼすのです』


「うん。それも理解してる」


 朝から何度も行われているこの問答に、エクステリナも嫌気がさしてきていたようで、ウテナとアナトの声を聞きながらまた溜息を吐くと、顔を上げてウテナに対して遠くの物を見るように目を細めた。


「あ~もう!面倒くさい!!だからウテナ!アナトとティアラが言いたい事は、チーム内でティアラに次ぐ勇者特性を備えているのが貴女と言う事なのよ!!いい加減に理解しなさいよ!!」


 突然横からの火炎放射を喰らった形のウテナは、思わずキョトンとした表情になった。どうやら理屈を理解していないのはウテナだけだったようである。


「え?勇者?わたしが?」


「そうよ。この世界ではファンタジーとして捉えられ、笑われるような話で、ウテナっち…流石に貴女も信じないだろうから今までオブラートに包んで説明していたのよ」


 苦笑いをするように微笑みながら、ティアラはモニターの向こうからウテナを見据えた。そんなウテナの目は、相変わらず点となったままであった。


「えっと…そうすると…私もティアラみたいに何万年も寿命が?」

「あ、それはないと思うわよ。こっちの世界線のルールは、なんか惑星ソラスのある世界とルールが異なるみたいだから、異世界人の私みたいにはならないわね。…たぶん」

「ちょっと待って!今凄い小さな声で、最後に『たぶん』とか言わなかった!?」

『き、気のせいですよウテナ』

「ちょいちょい。前々から思ってたけどアナト!いくら貴女のマスターの娘だからって、ティアラに肩持ち過ぎじゃないの!?」

「それこそ気のせいよウテナっち(確か義理の異世界の妹も寿命が延びてた気がするけど…)」

「ティアラ!今またモノローグで何か言ってなかった?」

「そ、そんな事はないってば!(鋭い…鋭すぎる!!)」


「あのさ…話しが横に逸れ続けてるけれど、もういい加減ウテナは理解した。そう思っていいのよね?」


 またまたエクステリナは深い溜息を吐くと、項垂れるようにモニターに突っ伏したのだった。


「…納得はいかないですけど、わかりましたよ。要は聖なる波動を出す代わりに、私の歌声でデスイーターを引きつけろって事ですよね?」


 不機嫌な表情をしながらも、ようやく理解をしてくれたようであるウテナに対して、アナトとティアラ、そしてエクステリナはこれまで以上に大きく溜息を吐いた。そんな動作の後、ようやくティアラは気を取り戻したように、フットペダルをゆっくりと踏みしめたのだった。


「まったく…SFX隊とX隊に先を越されてるから、超特急で行くわよ。ウテナ、エクステリナ、準備はいい?」


「私の方は丁度終わったところよ」


「私の方は肝を据えるところですよ!」


 二人の返答を聞くと、ティアラはフットペダルの上の足に力を籠める。するとアナトはフワリと空中に浮きあがった。フィィイインと唸っているのは魔導エンジンのようである。次元エンジンはまだ、稼働させていないようだ。


「いい?なるべく多くのデスイーターを引きつけるからね。それまでは耐え忍ぶのみよ」


「「了解!」」


 力いっぱいティアラがフットペダルを踏みしめると、その場には朝日を浴びるMSX艦隊だけが残った。その遥か前方では、一筋の光が南へと消えていくのが見える。こうしてオーストラリアでの戦いは、幕を開けるのであった。

書き進めていましたが、なかなか投稿するレベルにまで持っていけなくて遅くなりました。今回は粗さが目立っていたかも…。


ブラッシュアップ出来る時間が欲しいよう。。。

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