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第2話 ツインドライブ

『さあ!もう一度喰らいなさい!閃光衝撃波!』


 しかし、その翳す手の間に光が収縮する事はなく、空しい音声だけが轟いた。アナトはそこで思い出す。愛しきマスターの言葉を。


『そうでした。この世界はマナが少ないのでしたね。仕方がありません。次元力エンジンフル稼働(ドライブ)!』


 フィイイイイイイ


 背中の翼から虹色の光が放出される。どうやら翼のような物は、余剰エネルギーの放出装置のような物であるらしい。次元力エンジンがフルドライブを始めると、アナトは腰にぶら下げた大太刀に手をかける。


 スっと大太刀を中段に構えると、アナトは一気にブーストしてザンダーとの間合いを詰める。その加速に驚いた妖魔ザンダーは、思わず右腕でそれを受け止めてしまった。


 バシュゥウウウ


 妖魔の赤黒い血がリバティーアイランドに降り注ぐと、半壊した自由の女神像が赤く染まっていった。そして斬り伏せられた右腕は、近海に勢いよく没して行った。


 痛みに怒り狂ったザンダーは、再び放電を始め、赤く染まった女神像を完全に破壊してしまった。


『偶像とは言え、女神様を模した物を…貴様!!』


 しかし、魔法の使えない状態の今のアナトもまた、その雷撃に打ちのめされる。空中で制止したままの状態で、アナトは動く事もままならずに天を仰いだ。




「天使様!頑張ってーーーーー!!!」




 ―…ウテナ様?いえ、女神様?


 朦朧とする意識の中で、アナトは地上を見下ろしながらゆっくりと手を伸ばした。しかし、いつまでも止まぬ電撃に、それ以上の抵抗も出来ず空しくその腕は空を彷徨う。




 ―嘗ての我が従者よ。今ひと時だけ汝に力を与えん。




 不意にアナトの精霊態本体に呼びかける声が、直接アナトに響いた。


 その時、次元力エンジンが更に加速を始める。オーバードライブ状態と云うべきなのだろうか?その全身から虹色の光を発しはじめていた。




『これは…この声は…大女神と成られた、あのお方の声?!マスターの第1子…』




 アナトが声を漏らすと同時に、虹色の波動によって雷撃が消し去られ、その勢いでザンダーはリバティーアイランドに墜落して行った。




『そこなる人の子よ、私に力を貸して頂けませんか?我が名はアナト。貴女の名は?』




 ウテナの方にアナトが向き直ると、ウテナは両の目から涙を流しながら答えた。


「私の名はウテナ・ハーゲン!貴女様のお力になれるのでしたら、我が命をも捧げましょう!!」


 アナトは無言で頷くと、ウテナの前に降り立ち左手を差し出す。ウテナはそれを、手に乗れと云う意味である事にすぐに気付くと、素早く飛び乗った。


 ゆっくりと優しくウテナをコックピット付近にまでアナトは持ち上げると、コックピットハッチを開いて『お入りなさい』と告げ、彼女を収容したのだった。





 コックピットの中にはゆったりと横になるような形のシートと、手摺の左右にレバーが付いており、足元にはフットペダルが4つほどあった。


『今の貴女にマニュアル操作は無理でしょう。ですから今は念じるだけで構いません。その内に脳内に、操作方法はフィードバックされていきますから』


「念じる…念じる…」


 アナトは冷静に対処しながらも驚いていた。その異世界の少女の名ばかりでなく、彼女に内在する魔力値にである。


 ―…この魔力値は女神様のそれと同等…。マナの少ないこの世界で…。


 それは彼女のESP能力が、魔導の力に近い事を示すものであった。停止していた筈の魔導力エンジンが、息を吹き返す。


『ステータス、オールグリーン。ツインドライブ開始。』


 振り返れば、ようやくザンダーは墜落の衝撃から起き上がったところであった。そして撤退でもしようかと云うのか、空中に飛び上がろうとしていた。


『ウテナ様…さん。貴女のお力、確かに借り受けます。』

「はい!アナト様!!」


 ウテナの返事と共に、瞬間移動でもしたかのような速度でアナトはザンダーの横へと移動する。そのあまりの速度に、ウテナがコックピット内で「ひっ」と声をあげている。


『今の私から逃れようなどと…甘いですね。邪神の尖兵よ、光となりなさい!』


 アナトは右手に持った大太刀に虹色の光を蓄え、瞬時に横に振り抜く。その刃先は飛び上がりかけていた妖魔の腹部を通って、見事な虹の残影を描いていた。


 ふぎゃあああああああ!!?


 無様に叫びをあげる妖魔の声が、リバティーアイランド一帯を覆った。そして妖魔の臓物が血飛沫を上げる本体から転げ落ち、それを拾おうと妖魔は左手を伸ばす。


 しかし、ズルズルと上半身が滑り落ちていくと、妖魔は絶命したようで、シュワシュワと音を立てて塵となっていったのであった。






「勝った…のですね?」


 興奮から冷めやまぬようで、ウテナの顔は上気している。


『はい。…ウテナさん。私はこの世界の事を良く知りません。出来れば私に色々教えて頂きたいのですが、構いませんか?見返りとして、私の力を貴女にお貸しします。』


 少しの間ウテナは思い悩む。この大天使様に宛てにされてしまっているようだが、果たして自分の浅い知識なぞで大丈夫なのだろうか?と。


 しかし、この大天使様の力をお借りすれば、この世界に巣食う妖魔達を一掃できる…そうすれば、失った家族達や友の弔いとなろう…。


「判りました大天使(アナト)様。私の少ない知識で良ければ、お話ししましょう」


 そう告げると、ウテナはニッコリと微笑んで、未だに目の端を滴っていた光の粒を拭い取ったのであった。


 気付けば西の大地に大きな夕日が沈もうとしていた。その赤い日は、全てを優しく包み込むようにゆっくりと傾いて行った。

実はこの作品…

夢で見た内容をここまでは綴っていたりします。


リンドバウムをこの先どうしようかと考えながら眠っていたら

こんな夢を見たのです。


一応色々と描き易いようにアレンジはしたのですが

なんて云う夢を見てるんだか…


厨二病ですね。

パーフェクトなw

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