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第15話 波動衝撃砲

 ファイヤーバードの4羽目を撃墜したアナトであったが、左腕の損傷により一旦北米北部地域から離脱する事とした。


 今頼りになるとすればSDF…自衛隊だけである。テレキネシスを使い過ぎたウテナがコックピットで仮眠をとる間に、エクステリナが通信をする。





「はい。そうです。ええ、私は現在アナト殿とウテナ3等特別海尉と同行している、エクステリナ・アンダーソン米陸軍中尉であります」


 彼女は一時期、横田基地に駐留していた事もあり、日本語はペラペラのようだった。詳しく現在のアナトの状態をSDFに知らせている。一度メンテナンスをしてくれた整備班を、ハワイの米軍基地まで派遣してくれるように手筈を整えている。





「合流までに1週間かかるそうよ。その間にハワイにある基地で休めそうね」




 ペンタゴンが壊滅し、米軍は本土の機能を完全に失ってはいたが、SDFの協力によって、ハワイ基地は日本からの支援を受けて基地機能は保っているとの事だった。


 アナトはエクステリナの指示に従い、ハワイを目指す。その間、疲労したウテナを休ませて、エクステリナの操縦及び魔力…ESP供与のみで進む事となった。












「アナト殿、気付いていますか?」


『ええ…一羽ついて来ていますね』


 夜の海洋を飛ぶアナトの遥か後方から、ファイヤーバードが追尾して来ている事に二人は気付く。自身のテリトリーから大きく離れているにも関わらず、追跡を止めるつもりはないようだ。




「基地まで連れて行くわけにはいきません。自信がありませんが、やるしかないようですね」


『はい。これ以上国連軍に関わる基地に被害を出させるわけにはいきません』





 エクステリナは、迷わず魔導ランチャーを選択する。彼女が最も得意とするのは射撃であった。


 ―ふむ。あちらの世界ではエクステリナ殿の旦那様が銃を得意としていたのですが…やはりパラレルな存在故に差異があるのですね。




『エクステリナ。翼の一部を取り外してランチャーのオプションパーツに使えます。それを使用しましょう』


「助かります」




 片手のみで行う事が困難である為、エクステリナはウテナの模倣をする。と言っても九字を切るわけではなく、目を瞑って精神を集中していた。


 翼から該当するパーツが外れ、ランチャーの周辺を飛び交い、次々と接続が成される。するとランチャーは姿を変え、長大なライフルのような姿へと変わっていった。




「ふう…確かにこれは相当にESPを使いますね。今のような短時間なら兎も角、少尉のように長時間使役していたら、私なら倒れてしまいますよ」


『ええ。かの世界の彼女も、大変な魔力を持っていました』


「私は?」


『エクステリナは…生まれ変わってからの魔力量は凄まじかったです』


 エクステリナは微笑む。アナトに気を遣わせてしまったなと。そして素では大した魔力がなかったのだろうと推測した。




『有効射程範囲まで、あと10km』


 え!?とエクステリナは口から洩れそうになる。現在のレーダーから割り出されている距離は40kmである。つまり有効射程距離は30kmと云う事だ。




「ふ、ふふふ…まるでミサイルでも撃つみたいな距離ね」


 二つのクロスゲージが右へ左へと動く。それの合わさる瞬間をエクステリナは待ちながら、ESPを集中させる。


 魔導炉が高速で動き出す音と、次元エンジンが脈打つ独特な振動がアナトを包む。やがて背部の残っている翼から、虹色の泡沫が溢れだしツインドライブが始まる。


 虹色の光がライフルの銃口に灯り始めた頃、敵影が有効射程内に入り込んだ事がアナトから告げられる。そしてエクステリナはスコープを覗く右目を大きく見開いた。





「波動衝撃…発射!!!」





 かの世界で彼女の夫である者が得意としたスキル…波動衝撃砲をエクステリナは発動させていた。


 水面ギリギリから発射された虹色の衝撃波が、真っ直ぐと敵影に向かって伸びる。その衝撃は通り過ぎて行った周囲の海水を巻き上げ、十戒の一場面を思い描かせる。


 やがて虹色の光弾がレーダーの敵影と重なると、敵影は消え大きな爆発が目視できた。海洋の真ん中で大きな花火が打ち上がったようにも見える。


 夜の闇を明るく爆炎は照らしていた。






『魔力反応ロスト。撃墜です』


 アナトの声を、エクステリナは遠くに聞いているようだった。虹色の泡沫と混ざった爆炎の美しさに、目を奪われていたのだ。


「ええ…ミッション・コンプリートね…」


 呟くようにエクステリナは言うと、ESP消費による疲労感から目を閉じていた。















 再びエクステリナが目を開いた時、そこはコックピットのシートの上ではなく、ベッドの上であった。アナトが単独でハワイのオアフ島、ヒッカム基地まで運んでくれたのだった。




「中尉、目覚めたかね。私はこの基地の医師だ。今お連れさんを呼んで来よう」


 そう言うと、白髪の医師は部屋を後にした。一人残されたエクステリナは周囲をキョロキョロと窺う。そして安堵の溜息を洩らす。どうやらここは天国ではないと。






「おはよー!エクステリナ、大活躍だったみたいですね!ありがとう」


 能天気な笑顔の持ち主が目の前に現れ、エクステリナも顔を緩める。そのウテナの後ろには日本人の将官が立っていた。SDFの久能海将補である。


「初めましてエクステリナ中尉。私は現在この基地を任されている久能だ。SDF海将補である。この基地へは昨日からの着任なのだが、よろしく頼む」


「は、はい。初めまして。あのう…海将補、何故SDFがこの基地を?」


 久能海将補は頬を掻きながら説明する。


 本土の米軍が壊滅し、指揮系統を失った軍は国連軍直轄となったと云う事。そして残存部隊は国連軍環太平洋区担当になったSDFの指揮下に入ったと云う事であった。


「それに伴い中尉もSDF指揮下に入るわけだが…」


 エクステリナは下を向く。これでアナトとウテナともお別れであるのか…と。上官や同僚達、そして部下達の仇をこの二人と共に討つ事は叶わなくなったと落胆するのだった。


「引き続きの遊撃隊(・・・)としての任務を全うしてくれ。階級も大尉に昇進だ。今後もウテナ2等特別海尉(・・・・・・)の面倒をみてやってくれると助かる」


 エクステリナの表情が崩れ、頬からは涙が零れ落ちていた。


「ありがとうございます!久能海将補!!」


 ウテナと手を取り合い満面の笑みを浮かべると、エクステリナは窓の外に広がる空を見上げた。スコールの後の空には、大きな虹の橋が架かっていた。

パーツをゴテゴテ付けて出来上がったそれは…

ハイ○ガランチャーかバ○ターライフルのような物でしたあ!

と、本当は書きたい。その方が楽だし。。。

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