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第10話 運命の出会い

 激しいエネルギー消費によって機能停止していたアナトが目覚めると、海の上であった。


 正確には母艦の上に横たえている状態であった。アナトのすぐ横には戦闘ヘリが2機あり、その腹には白地に赤い丸が描かれた国旗と『SDF』と書かれている。


 そして大きく漢字で『自衛隊』と書かれていた。


 状況が掴めずアナトが首を振ると、ウテナと共に自衛官数名がアナトの足元に歩んで来た。その内の一人は服装からして、ある程度偉い人物である事は認識できた。年の頃は35~6と云ったところか?


 しかし、それにしても、これはいったい?と、アナトは首を傾げる。


「おはよう、アナト」


 ニコニコとウテナが挨拶をする。どうやら敵ではないと、アナトは分析する。


『ウテナ、これはいったい何がどうなっているのですか?』


 すると高官らしき男性が、お辞儀をして帽子を脱ぐとアナトに挨拶を始めた。


「ようこそ、機械天使アナト殿。我々は日本の自衛隊。そして私は海将補の久能佑輔と申します」


『久能…!?日本!?』


 アナトはこの偶然に驚く。いや、運命であったのかもしれない。


「は、はい…如何されました?」


『海将補殿、貴方は…久能佑哉と云う人物をご存知ですか?』


「え!?私の失踪した弟の名であります!何故その名を!?」


 アナトは天を仰ぎ見た。この世界の神も悪戯好きなのだろうと思いつつ。






 アナトは久能佑哉の異世界への転移、転生、そしてその後の活躍と、その世界に於いて神の一人となった事を、その兄である久能佑輔に語る。佑輔は目の端に涙を溜めながら、その話しを黙って頷きながら聞いていた。


『そして私は久能佑哉(マスター)によって造られ、この星を救う為に転移させられた者なのです』 


「そうですか…佑哉が…、それを聞いて私としては貴女への支援を固める事を決意致しました。国への交渉は、私が責任を持って行います!!」


 その後、今度は久能海将補から事の経緯が語られた。


 どうやらアメリカを始め、中国、ロシアも壊滅状態にあり、常任理事国でも強権を振るったこの3国が壊滅した事によって世界は混乱し、国連軍も身動きがままならず、環太平洋区とアメリカの防衛と調査は日本に任され、独自にアメリカへの調査を行っていたとの事だった。


 あまりに日本の守備範囲が広すぎるように思われるが、ヨーロッパ各国はこれ以上妖魔が西に侵攻して来ないように身構えていたし、南アメリカ大陸の各国とカナダは、既に北アメリカでの攻防で海、空のほとんどの戦力を失っていたのだった。


 またアジアに於いては韓国、朝鮮も中国に現れた妖魔によって壊滅していた。中国に現れた妖魔が陸戦型であった事が、日本にとっては幸運としか言えない。


 そして『機械天使』の噂を聞きつけて、その動向を追っていたところ、例の激戦と遭遇し、力尽きたアナトを艦艇までヘリ数機を使って搬送したとの事であった。


「正直に申します。あれに対抗出来る力を持った貴女を解析する為でもありました。しかし、我が弟が異世界より遣わした存在であると判った以上、貴女をそのような立場に置くわけには参りません。故に私が矢面に立ってでも、貴女をそのような事からお守りいたします!」


 凛とした表情を見せる久能海将補に、アナトは主である佑哉を想った。歳は恐らく10は違うのであろうが、良く似ているとアナトは思う。


「ただ、現状何処にも所属されていない状況ですと、妖魔共と間違われて攻撃される危険がありますので、自衛隊の識別コードを発行しておきます。行動の際には必ずそれを発信してください。ウテナ様に於いては、3等特別海尉として登録だけしておきます。これに関してこちらからアナト様達へ任務の強要等は一切させません」


『ありがとうございます。しかし、何も目立った成果もなくお帰りになられたのでは立つ瀬がない事と思われます。私の知りうるデータを幾つかお渡ししましょう』


 久能海将補は驚いた表情をしているが、構わずにアナトはウテナを呼んでUSBメモリを挿入させた。


『魔導ランチャーに関しては、魔力の代わりにESP波が使えます。しかし扱える者が少ないと思われますので、電力供給で賄える方法を考えた方がいいかもしれません。あとは…オリハルコンの精製法は記しましたが、この世界にどれ程のオリハルコニウムが存在するかわかりませんので、参考程度に思っていてください。それと…』


「お、お待ちを!そんなにして頂いて良いものか―」


『判る所だけでも私の体を整備して頂いたお礼です。それに識別コードなども頂きました。それに対して比する礼と思っています。』


 アナトの言葉に久能海将補は深く深く頭を下げた。


『お気になさらずにしてください。我が主の兄君に対して、出来得る限りのお礼をしたまでなのですから』


 どうやらアナトは、主によく似た海将補の低い姿勢に、少し困っているようだった。データの取り込みが終わったウテナが、クスクスと笑っている。


「アナト様、ありがとうございます。佑哉の話しを聞けただけでも感無量であったのですが、これほどの成果を持ち帰れば私の発言権も上がりましょう。必ず支援の件は取り付けさせます!」


 ウテナがニコニコしながらUSBを海将補に手渡す。


「では、国に帰れば幕僚長様ですね♪」


「いやいやさすがにそこまでは…」


 海将補は苦笑いを浮かべながら頭を掻いていた。


 これらのデータには、魔導エンジンに関する事なども含まれていたが、さすがに次元エンジンに関しては触れていない。主である佑哉が慎重に扱っていた物だけに、アナトは控えたようだった。


 惑星ソラスに於いても、次元エンジンを有するのはアナトと、姉妹である機鋼甲冑イザナミ、そして飛空艦リンドバウム2世のみであった。それ以上は佑哉は手を出さなかったようである。





「残るアメリカの妖魔は、現在確認が取れているもので、あと2体となっています。それらのデータをこちらもお渡ししましょう。」


『助かります。兄君。』


「しかし佑哉が神ですか…兄弟で一番の出世頭になりやがって!はっはっは!」


『出世…?確かに出世ですね。ふふふふふ』


 佑輔の笑い声と、アナトの笑い声が艦艇の上でハーモニーを奏でると、自然に他の自衛官達も釣られて微笑んでいた。ウテナもまた、嬉しそうに微笑む。





 こうして、偶発的ではあったが、この件によってアナトは国連軍との共闘が適う事となった。残る妖魔を求めてアナトは翼を羽ばたかせると、一気に上昇し、久能海将補の乗る艦艇に敬礼をしながら再びアメリカの大地へと飛び立ったのであった。


 現在地はマップ表示を見たところ、ニュージャージーであった。


 次はカンザス、オクラホマ、テキサスの3州を徘徊すると云う妖魔を目指す事とした。

ちょーっと情報を詰め込み過ぎたかもしれません。

編集してる私自身がクラクラしてしまいました。

反省。。。


てか、やっぱりロボットモノは需要がないんですね。

まったくヒット数が伸びませんw

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