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神華牡丹学園物語  作者: 瑞目叶夢
1章華人の不安と仇の顔
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華無の男の子

全員が息を息を飲んだ、誰かのつばを飲む喉の音が大きく聞こえた。


集樂巌、10年前多くの純血派や、狂妖怪(きょうようかい)を引き連れ、

この国を支配するために妖狐魅美を復活させようとして多くの華無や華無生まれや敵対する者を殺し、

美羽と千李の母親が死ぬ原因になった男、恐怖の魔王


「でもねぇ」


千李は宝珠がしゃべりだして止まっていた心臓が動き出したかのようにドキドキとうるさくなった。その口から出る言葉を聞くことに恐怖を覚えた。

魔王と同じ性、それだけで十分に恐ろしいのに


「でも、ぼっちゃんにはねぇ、あなたを悪の道に誘う者はいないよぉ、さっきも言ったけどねぇ、美羽様とぉそこの坊ちゃんがいるからねぇ、大丈夫だよぉ安心おしぃ、魔王にはならないよぉ」


それはそうだ、この二人は悪に染まる人間じゃないそう思う、でもこれから付き合う人は?


もし優しいと思った人が悪い人だったら?

必ず、大丈夫と言えるのだろうか


自分の怒りっぽいところは知っている

幼稚園の時、まだあの事件からそんなに経ってい無い時

昼寝の時間で樂巌や李薇の夢を見てうなされて以来、

何も知らない華無の子供にからかわれては喧嘩をした。

それは小学校にあがっても、同じ幼稚園だった男の子が、からかい続けてきた。

大きくなるにつれ、美羽に止められながら、何とか抑えた。問題を起こせば

飛鳥に伝わる、自分の短気で美羽には沢山迷惑をかけたのだ。


樂巌や李薇の名前でからかう華無の子を燃やしてしまいたいと思ってしまったこと、

自分と違い、一般的な家庭で幸せに暮らす華無、恨めしく妬ましく思ったことがある

この感情がもし樂巌と似たものだったら?

一線を越えずにいれるのだろうか、誰かを燃やさない保証は?


ぐるぐると考えていた時、右手首をつかまれる、その手の先を見ると美羽がいた。


「大丈夫だよ、千李、間違えそうになったらいつも止めてたでしょ?」


にっこり優しく笑う美羽に安堵する、そうだ、この手はいつも止めてくれる

自分の心を落ち着かせてくれる、美羽がいれば大丈夫、きっと、


千李が落ち着いたことを悟った伽耶は胸をなでおろし、少し明るく

この空気を消すように言う


「さ!大事な数珠作りは終わったわ!これで、数珠が導いてくれるわ!次は制服を買いに行きましょう!」


伽耶の言葉を聞いてみんなそれぞれ、宝珠にお礼を言って店を後にした。


次に来たのは色とりどりの布や着物が店先に並ぶ反物屋だ、

多義多織(たぎたおり)と書かれた看板の下の扉を通る、中ではすでに着物のような制服を試着している男の子がいた。

挿絵(By みてみん)


黒い髪に幼いけど整った顏はかわいらしく、希望に満ちた目はキラキラ輝いているように制服や、自分の回りを勝手に動くメジャーや定規、待ち針などを見てる。その横で、両親だろう人たちが興味深々にその様子を見ている

その横の椅子には茶髪で傲慢そうな綺麗な顔の男の子と雪女のように青白い肌の気難しそうな女性がキラキラと制服を見る男の子と両親を汚いものでも見るように見ている


「あらあらいらっしゃいましな、ちょっとお待ちくださいね、もうすぐ彼が終わりますので」


ダダダと音を立ててミシンを操っている女性が言った。


「さ、さ、清豹炎(しんひょうえん)様の制服にございます、こちら、着て見てくださいましな」


そう言われた少年は制服を乱暴に受け取った。


挿絵(By みてみん)


「華無生まれと同じ空気をいつまでも吸いたくないね、ここは腕がいいんだろ、なら試着なんていらないな、まぁあんなものが来るようじゃその腕も疑いたくなるけどね」


そう言って少年、清豹炎は、千李達の方を見る


「おやぁ?その髪は噂に名高い美羽様じゃないですか?と言うことはその隣は忌々しい半純血でおまけに混血なんて言う俺のご親戚様か」


ふん、と鼻で笑う豹炎、母親らしき女性はその目で千李と岸雄、伽耶を見据えた後、豹炎の背中を押す


「豹炎、美羽様とのお付き合いはいいですが、こんな穢れた空気で満ちたとこにいては純血の血も穢れそうです、早く行きますよ」


そう言って親子はさっさと店を出て行った。


「なんだよあれ、清家って本当に僕の親戚かい?あんな威張り散らしたやつが親戚なんて

冗談じゃないよ」


千李は今にも殴りだしそうな勢いで怒る


「私も今のはさすがに気分が悪いわ、誰があんなのと仲良くしますか!」


「ぼ、僕も、あれは嫌いだな」


珍しく美羽も怒っていて、気の弱そうな岸雄まで怒っていることに千李はびっくりする、

でもそれだけあの親子は気分が悪い親子だった。


「まぁまぁ、そんなに怒りなさんな!」


二人が声のした方を向くと


さきまでキラキラした目で試着中の制服を見ていた。男の子が母親らしき女性に制服を渡しながら言う


挿絵(By みてみん)


「言わせとけばいい!血に縋って威張り散らしているだけなやつらなんて

成績で見返してやればいいんだ!なんてたって俺は天才!華無生まれなんてハンデはあっても、俺のあふれ出る知性で許してください真望(まもう)様って膝ませてやるさ!ははは!」




人差し指を天に掲げ、腰に手をあて、真望と名乗る少年はニッと笑った。


「真望ちゃんおバカなこと言わないの、真望ちゃんがそこどかないとこの子達が試着できないでしょう、ごめんなさいね」


女性が真望の手を引いて試着室の前からどかせる


「おお、ごめんごめん!早くしないと次の人も来ちゃうもんな!俺は数珠も買いに行かなきゃ!!

じゃぁな同士よ!また会おう!」


そう言って少年は出口に向かう


「あぁ、もう店長さん、ありがとうございました。」


女性は店主にそう言って店を後にした。


「はい、ありがとうございましたぁ」


店主はそう言いながら両手を広げる


すると、驚いたことに、もう二人、店主が出てきたのだ


「さてさて、新しい制服ですね?ありゃ君大きいねぇ」


「こちらのお嬢さんは線が細いねぇ、おや?この髪、美羽様ですかね?」


「は、はい、」


「もうそんな年ですか、早いですね、ではやりましょうか」


店主の分身たちはテキパキと、あまり無駄話をせず、試着から採寸を終わらせて、

分身達と店主、3人で千李達の服を縫っていった。

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


その早い事、早い事、元の制服があって微調整とはいえ、その仕事は丁寧で綺麗で

本当に素早かった。


そして3人は、反物屋を後にして、


真木が待つ港に行った。


港につくと沢山の学生と親たちがいた。

真木を探すと、遠くで顔のそっくりな少年二人と話していた。


「あ、に、兄ちゃんたちだ」


岸雄がちょっと嬉しそうにしたがその二人は、すぐに船に乗り込んだ

二人を見送った真木がこっちに気が付いて手を振ってくる


真木の近くに来ると真木は千李と岸雄の頭をわしゃわしゃとなでる


「おうおう、立派な数珠を付けてんじゃねーの!準備はばっちりだなぁ!

沢山やんちゃしろよ!」


「もう!真木君!何言ってるの!問題起こしちゃだめよ?

真木君達みたいに罰則ばっかりくらいたくないでしょ?」


そう言って伽耶は岸雄にちゃりんちゃりんと音が鳴る小袋を渡した。


「みんなと仲良くね!」


にっこり笑う、伽耶に三人は返事をしながら笑い返す

そして真木に整理券をもらって船に乗り込む

入口の看守に整理券を渡して、そのまま船の甲板に行き、

見送る真木と伽耶に手を振って見えなくなったころ

船内に入って開いてる部屋を探す為に船の中に入った。

この船で夢にまで見た神華牡丹学園に行くのだ、

どんな出会いがあるのだろうか



挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

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