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神華牡丹学園物語  作者: 瑞目叶夢
1章華人の不安と仇の顔
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42/62

灯籠に蛾が入る

澄み渡る空、金に輝く草原と赤や黄色のに色付いた木々達!

来たことがないその森の中の花畑であろう場所に千李は居る、

いつもより目線が低い目の前には金髪のシェリーニが優しく微笑んでいる

自分の意志とは関係なく手を伸ばす


「ちゃんとお座りできて偉いね、千李、もう出来るなんて早いなぁ」


優しく千李の頭を撫でるシェリーニ

そこにブワッと水の混じった一陣の風が吹く


そちらを見る李薇が姿を現す


「李薇!?」


シェリーニは、慌てて千李を抱く


「あんたは開放の儀に来るな、」


「何を言ってるの?」


「あんたが来たら私は大切な物を失う、そうなったら命は無い、その子が可愛いなら来るな、その子は素晴らしい未来を持ってるから殺せないけどあんたが来れば確実に死ぬ、よく考えとくことね、その子の未来か自分の描く未来かを・・・ね」


そう言って李薇は後に飛び退くと表れた霧雨の中に消えた。


「李薇・・・・」


シェリーニはそこを見て千李を見つめ悲しい顔をして抱きしめる


そこで目が覚める

白い天井、お腹辺りに重みを感じる、

体を起こすと美羽がそこで寝ている、外は暗い

薄紅と銀の髪を撫でる、どれくらい寝ていたのか、

疲れたように寝ている美羽を見る、僕に何が起きたのだろう

その時、扉が開いてみんなが入って来た。

涙を浮かべて癒澄が飛びついてきて他の人達もベットに駆け寄ってきた。

それで美羽も起きて大騒ぎになったのだった。


「え?僕2週間も寝てたの!?」


ライラーズが買ってきたたこ焼きを食べながら千李はそれを聞いてびっくりした。せいぜい1日だと思ってたのに



「まぁ、電気の神華が当たる場所が悪かったからな、近くに居た豹炎が心臓マッサージを即座にしてたからなんとかなった感じだな、生きててよかったよ」


ライラックがたこ焼きを口に放り込みながら言う


「豹炎が?」


千李はビックリする、まさか豹炎に助けられるとは思わなかったからだ


「まぁ、あの判断は正しいよな、アレのおかげで豹炎が用意していた間者だって噂がそんなに立ってないからな、まぁ純血主義の立場は悪くなったんだけど」


千李は豹炎を思い返す、ただでさえ辛い立場に立たされている豹炎、なんでよりによって豹炎との試合の時に狙ってきたのか


「あんな目立つところで暗殺しようとするなんて、純血主義は焦ってるの?」


千李の言葉にライラックは難しい顔をする


「うーんそれもあんだろうけど」


「千李を襲った人は華無生まれだったのよ」


美羽の言葉に千李はビックリする

華無生まれに疎まれるようなことをした覚えは一切ないからだ

それに影姫が言葉を続ける


「その人操られてたみたいで、首元に藤の会の痣があったのよ」


「え!?」


真望がベットの枠に水晶を置くと水晶から黒板のような物が出てきて、そこに何人かの写真と文章が並ぶ


「この男の人なんだが、千李くん見覚えないかい?」


千李は、真望が指差す写真の男を見るが全然わからない


「えーと、誰?」


千李がそう言うと真望は残念そうな顔をして、岸雄と癒澄がほらーと言う


「だから、ライラックさんと3人みたいに全員の顔をいちいち覚えてないって」


「ぼ、僕ら、し、使用人と関わってなかったのに、な、なんでお、覚えてるの?」


使用人?千李は首をかしげて写真を見る

ライラックがコンコンと写真をつつく


「こいつが千李に電撃ぶつけたやつなんだけどさ、こいつ、千頭の屋敷のパーティーでウェーターしてたんだよな」


「え?そうなの!?」


千李はその写真を見るが、やはり全然記憶にない

千李の顔を見て記憶に無いのだろうと思った。瑙虹が話し始める


「まぁ目撃者は4人居るし、働いていた事のある履歴書もあったし確実だぜ」


続けて瑙銀が喋る


「まぁ、問題はこいつが華無産まれの華人二人から生まれた葉人で、そんな奴に藤の会のマークがあった事が一番の問題なんだよ」


瑙銀は手に持っていた。紙クズを1枚の写真に当てる、

その写真には男の首元であろう所に青紫の八芒星に狐の絵がある痣が浮かんでいる

千李は混乱する


「なんでそんな人が藤の会に?純血じゃ無いんだよね?半純血でも無いし・・・」


その疑問に影姫が険しい顔をして言う


「普通の藤の会のマークは黒の入れ墨なの、紫の痣は隷属のマークよ」


「れ・・・い・・・ぞく?」


それを意味する事を千李は察した。


「そう、この痣を付けられた。人に意思なんて無い、痣を付けた人間の思うままに動くの、でもこのマークは勿論、使う事は禁忌とされているわ」


そして瑙銀が嫌そうな顔をする


「しかもこいつ千頭家の後にあの日まで清家の使用人して豹炎の補佐してたんだよなぁ、」


瑙虹が考え込む


「こっちの事実の方が注目されてるのがやばいよなぁ」


千李はそれを聞いて猫炎の顔を思い出す


「まさか、猫炎が操って?」


ふん、と息をついてライラックが言う


「まぁそれが世論の見解だわな、けど大きな純血の家は大体使用人は神華人と神華体だ、人前に出るような格の高い使用人は家格の低い純血や半純血を使う、特にあのプライドの高い清家が非純血を家に入れるわけがない」


千李は頭をかしげる


「なら何でその人は豹炎の所で働いてたのさ」


影姫が一つの紙を板に貼る


「そこなんだけど、この人、あのパーティの日に別の純血一家の養子に入ってて、その後に清家の使用人になって、どうやら豹炎に対しての虐待の罪を被ってたみたいなのよね」


「は!?まだやってるの!?罪をかぶせる相手が居ればいいとか馬鹿じゃないの!?」


「昔から頭おかしいんだよあのおっさんは、虐待話が広がった時に舞鶴美・・・豹炎の母親と離婚騒動になって今別居中だから、きっとそれで千頭からそういう目的に買ったたのか、売り込まれたのか」


李薇はそう言いながらコンコンと机を叩き考える

そして真望が見たこともない冷たい顔をする


「まぁ、売り込まれたんだろうな、これらの事実から、俺達が導き出した答えは」


真望が千頭の写真にナイフを投げつけ頭にナイフが刺さる


「千頭が清猫炎と豹炎を嵌めようとしてるってことだ」


千李は理解できない


「どういうこと?なんで、それで嵌められるのさ、」


ふーと、美羽が息をつく


「つまりね、この隷属のマークが、千頭家で既につけられているもので、もし、猫炎の手に渡ってからも千頭が主導権を取れるとしたら?」


美羽の言葉にはっとする


「あの事件の日にそれを使って僕を殺せる?でも千頭は僕を使って清家にとり入りたかったんじゃ?」


ライラックがムスッとする


「私の読みが外れたんだ、千頭は確かに半純血には寛容だけど、日本以外の半純血は毛嫌いしてんだとさ、だから千李が死んでも良かったんだろう」


「どういう事?」


千李がそう言うとガラッと病室のドアが開く


(わたくし)が説明しましょう」


小褄唎(こづまり)教頭だった。


「え!先生!」


千李が驚いてそう言うと、小褄唎 窓凛(まどり)教頭はニッコリと笑った。


「千李くん、元気に目覚めてよかったです、只今私は校長代理をさせて頂いてるんですよ」


ニッコリと笑う小褄唎に千李は、固まる


「校長代理?どういう事ですか?」


千李の言葉に残念そうに小褄唎が言う


「今回の清家の騒動で虐待、禁じられた印、殺害未遂の容疑で清理事長が捕まり、その責任の重さから、清家当主である狗炎校長も学園での立て続けに起きる事件を防げなかったと言う責任も重ね、校長職の除名処分保留措置が取られて謹慎されております、即刻除名処分をすべきだという方もおいでなのですが、何分狗炎校長に変わるほどの偉人は居りませんので、反対派もおり、保留措置という形なのです」


千李は怒りで頭がどうかしそうだ


「なんだよそれ!!!全部校長先生のせいじゃ無いじゃないか!!猫炎の事だって何で校長が責任を取らなきゃいけないんだよ!!おかしいよ!!ただ校長先生を引きずり落としたいだけじゃないか!!」


千李が怒るので周りの空気が暑くなる、今にも火でも出るんじゃないか?


「落ち着いて千李!!」


美羽が、千李の顔を両手で挟んで自分の顔を見させる


「そんなことみんなわかってる、騒いでるのも一部の過激な純血主義だけよ、校長をどうにかできる人なんて居ないわ、そうでしょ?」


「でも!「でも!不当な扱いだと思う!でもね、謹慎は校長自らしてて、今は自分の家で本を読みながらお酒をたしなんでらっしゃるんですって」


「お酒?」


「そう、とても校長先生は秋休みに入っただけだから気にするなって言っておいてくれって言ってたわ」


「僕に?」


「そうよ、こうなる事は予想が出来ていたのかも、先にしばらく帰ってなかった家を片付けさせていたらしいから」


千李はポカーンとして美羽を見る、美羽も微妙な顔だ

他の面々を見てみても苦笑いしている、そして、小褄唎がクスクス笑う


「熱くなりやすいところは叙樹ゆずりねぇ、大丈夫ですよ、狗炎校長をどうにか出来るのなんて神獣様か桜姫様か魔王か虹の女帝位ではないかしら?王様でも狗炎校長には頭があがらないんですのよ?」


千李はびっくりする


「え!?菖蒲王陛下もですか!?」


「ええ、菖蒲王でもですわね」


ニッコリと言いのける小褄唎にまた唖然とする

現王でさえ退けるとは自分の義父であり、祖父はどこまですごい人なんだと思うと同時に、そんな人の子供をしているのに自分の出来が情けなくなる

ふふ、と、笑って小褄唎が手を叩く


「さて、その話は置いておきましょう、そうですね、1年生は、まだ華力、呪力、魔力の授業は受けていませんよね」


千李達が頷き、影姫が答える


「基本術の応用と生活術を習っている最中です」


影姫の答えにうんうんと小褄唎が頷く


「そうですね、ではまず、私達(わたくしたち)が一般的に使っている術は神華術、つまり神の力に近いものです、そして、日本での陰陽学校で一般的に使われるのは呪力、呪いの力です、ですが、巫女や住職などは、聖力という神の力に近いものを使います、さてこれはなぜでしょう」


千李と岸雄は、顔を見合わせ頭をかしげるが、美羽が答える


「妖狐の時代に多くの華人が逃げ出したのが日本と言われているため、神華の力が流れたのだと言われているからです」


小褄唎がニッコリと笑って拍手する


「正解です、さすが美羽様、よくお勉強をされてらっしゃいます」


美羽は、少し照れ臭そうに笑う


「ありがとうございます」


「うんうん、それで、この事から半純血肯定派の純血主義は日本の混ざり者は、華の力と近いと言っております、ですが、その他の国では魔力を使います、魔力とは魔の力、神の力ではありません、元来王華には悪魔は居りません、羽根があり、死後の魂の管理をする方々を天使と読んでおりますが、地獄はあっても魔界は無いし、地獄を管轄しているのは野狐です」


「え、そうなの!?」


千李の言葉にライラック以外が千李を見る

美羽など、病み上がりでなければ胸倉を掴んで揺さぶっていただろう


「すいません、続けてください」


しゅんと小さくなる千李


「こほん、つまりですね、魔の力と言う物は神華とは相容れぬもの、神の力を穢すものとされています、なので、千李君のような魔法の国の人間の力が混ざった半純血は受け入れられないと言うわけですね、だから千頭は千李君の死で猫炎と校長を同時に引きずり降ろそうと考えたのでしょう」


ここで千李は疑問になる


「でも母さんの無効化で神華も抑えられたんですよね?」


「・・・・そうですね」


小褄唎は一瞬だけ真顔になったような気がしたが笑って言った。


「無効化と言うものはどの力にも属しません、全ての力を無効化するのです、基本的にどの力も対抗する術がございますが、ジャンケンのように強弱があり、

華の力は魔の力に強く、魔の力は呪の力に強く、呪の力は華の力に強いです、

そして、例外として聖力は浄化に特化しておりますが、一方的に浄化をできれば良いのですが攻撃には弱いです、この事から無効化は聖力の派生で全ての力を聖力で消し去っているのではないかと言われています」


へーと千李は呆ける、つまりは無効化はチートと言う事か、と考え、

え?僕チート能力持ってるってこと?と言う結論に至った。

でもなら、なんで母さんは、魂喰をくらったんだ?

それは他の人も同じことを思ったらしく美羽が期待を込めて小褄唎に言う


「つまり、千李が居れば李薇に勝てるってことですか!!??」


美羽の答えに小褄唎の顔が曇った。


「可能性はあります、ですが無効化は基本的に本人のみに効果があります、シェリーニさんの例で言えば効果範囲も狭く使わせたくない相手に触れるしかありません、

対戦の時も魔王を止めるために、魔王に抱き着き、叙樹の炎で焼き殺しました。

確かに守備では無敵ですが、それゆえ隙が多く、魔王を倒して力を使い切った時に魂喰を受けたのです」


合点がいった。魔王を押さえつけるために全力を注いで聖力を使い切り、防ぐことができなかったのかと


「それってさぁ」


ライラックが不敵に笑いながら言う


「もし千李の無効化が千李の炎に付与できるなら、炎の中にいるやつは力が使えなくなるんじゃない?」


ライラックの提案に小褄唎は目を見開く

それに対して美羽が興奮気味に言う


「火傷もしない低温の炎を千李の広げられる範囲まで広げたら広範囲の場所が無効化の効果範囲になるってことですね!」


「そういうことぉ!さっすが美羽ちゃん!」


びしっと指を美羽に向けるライラック



うーんと、癒澄が頭を傾げながら言う


「でもでもぉ、神華も消し去っちゃうなら炎に付与なんてできるのかなぁ」


そしてニヤッとライラックが笑う


「神華は神の力、無効化は聖力、そして聖力は神の力に近いなら理論的には、神華の炎を聖力に近いほど洗礼させることができればイケるんじゃね?千李は力の使い方が上手い、試して見る価値は大いにあるさ」


面白そうだし、もしそれが可能なら藤の会との戦いの時も役に立つと希望が膨らむ

そんな少しの希望の中、影姫が言う


「でも、千李君はまだ無効化自体を上手く操れていません、自動的に防いでいるのもフェロモン系や精神攻撃系ですし、無効化を認識したのも夏の話で訓練もしていません」


その後に真望が千李に聞く


「千李君は、無効化を意識して使ったことあるか?」


その言葉に千李は首を振る


と言うことはまず、千李の無効化訓練をしなければいけないと言うことだ、それがどれほど時間がかかるかわからない、自ずと全員が岸雄を見る

岸雄は、苦い顔をしている、

そこに、コンコンと扉が叩かれる


「ねぇ、やばいかもぉ」


高天が入ってきた。


「高天さん、どうしたの?」


千李がそう言うと、高天が顔の前に手紙を出す


「千頭からぁ、千李御一行ご招待だってぇ、ライラーズと先生は抜きねぇ、護衛の俺等と1年生6人だけぇ」


灯籠に蛾が入る

どう探ろうかと思ったら向こうから来たようだ。



清千李

炎操作、無効化

2018年8月5日生

血液型B


好きなもの

★仲間


嫌いな物

★仲間をからかうやつ

★自分の親や魔王関連をネタにするやつ

★勉強


趣味

★刀激戦


好きな食べ物

辛い物



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