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神華牡丹学園物語  作者: 瑞目叶夢
1章華人の不安と仇の顔
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数珠とあの人

学園内をしばらく歩くと

いろんな不思議な力を使ってる人が多くいて、やっぱり千李と特に美羽は

いろんな人に見られる、ちらほら「桜姫様」やら「美羽様と英雄の子」なんて言葉も聞こえてくる


「さ、ここよ、早百合街(さゆりがい)!」


伽耶の示す方を見ると大きな門の上のど真ん中に不思議な狐のような虎のよう牛のようなヘビのしっぽを持ち鱗があり羽が付いた生き物のエンブレムの下に大きな百合が咲いていた。


「あれは創造獣金銀華そうぞうじゅうこんごんかですね」



「そうよ、この国の母なる神様、すべての神華はあの方から授かってると言われてるのよ」


神華、異能や霊力、妖力すべてを指す言葉、それは父親と最後に読んだ歴史の本でよく知っている、本はあんまり好きじゃないけど、千李は繰り返し、その本だけは読んでいる、王華の始まり、桜州の始まり、この国がどれほど桜州に守られていて、桜姫がどれほどすごいか華無はどれほど弱く守るべき存在なのか、そう書かれた本


敍樹は、言っていた。この本は純潔派には受けが悪いと


「さ、早く教材をそろえましょう!15時の便に間に合わないわ!」


伽耶にせかされて3人は急いで早百合街に入る

教科書、図鑑と彫刻刀、顕微鏡に裁縫セットにエプロン、和紙一反と短冊、

ペットも飼っていいと書かれていてみんな一匹ずつ

美羽は白い管キツネ、岸雄は三毛の脛こすり、千里はコクルマカラスを買った。

一人だけ妖怪じゃないが本人はとっても満足している綺麗な白と黒のカラスに一目ぼれしたのだ、カラスも気に入ってくれたようで千李の指に頭を擦りつけてくれた。

どんどん買い物を終わらせる、筆と墨に硯、鉛筆に消しゴムなどの前から持ってるものはもうキャリーに乗せている


「だいたいそろったわね、じゃぁ大事な大事な数珠つくりに行くわよ!」


そう言って伽耶は少し古い、沢山の数珠がショーウィンドーで輝く店に入る


「こんにちわ!初治(はつじ)さん、いらっしゃいますか?」


伽耶がそう言いながら店に入る3人も伽耶に続いて店に入る


すると店の奥から小さなおばあさんがとことこ出てきた


「はいはい、おりますよぉ、何かごよぉですかぁ」


優しそうなおばあさんは翡翠の数珠を付けている


「お久しぶりです初治宝珠(はつじほうじゅ)さん!ここで数珠を作ってもらった伽耶です!」


そう言って伽耶は袖の下に隠れていた黄色の石と水晶のついた数珠を見せる


「ありゃ、丁寧に扱ってくれてますねぇうれしいわぁ黄玉と水晶、覚りの毛だねぇ

上手くやっているみたいでよかったよぉ、これからも可愛がってあげてねぇ」


にっこにこして宝珠は話す


「さてぇ、お三方はぁ、初めて見るねぇ作るのは初めてかねぇ」


にこにこ顔をしながらも宝珠は一人ひとりじっくり見る


「うんうん、その顏は見覚えあるねぇ敍樹君としぇりーにちゃんの子だねぇ、そっちのわかりやすい髪の子は桜姫様そっくりだねぇ飛鳥君は元気かねぇ」



「ママを知ってるんですか??」


美羽は驚いた八尾比丘尼であった桜姫は、その有名な見た目を隠す為、人前に出ず

彼女を知っているのは家に出入りできていたものだけだったから自分を桜姫見たいと言わず、そっくりと言う人間は須館家の人間以外に初めて言われたのだ、


「えぇしってますよぉ、桜姫様が私にこの仕事をくださったんですよぉ、人に触ればその人の人と成りが分かって石と話せるだけで桧州(かいしゅう)で気味悪がられていた私をぉ桜姫様が見つけてくださったんですよぉ、そして師匠に弟子入りして今があるんですよぉ、何人もの生徒さんに数珠を作れて幸せですよぉ」


そう言って宝珠はにこにこ嬉しそうにする


「なんで桜姫様が見つけたの?学校じゃないの?」


千李は疑問を口に出したら美羽が怒ったように言う


「もう!千李!授業中に寝てるからよ!桧州は地獄の門があって何人もの悪い華人や妖怪に襲撃されてるから華人や妖怪を嫌ってるのよ!あの州だけはどこにも華人も妖怪もいないから華無生まれは肩身の狭い思いをするし、陰陽協会にも協力してないから能力者の通達もしてないの!」


千李は美羽に言われて思いだした。

たまに来て勉強会を開いてくれる神獣麒麟が困り果てて話していた。


「あ、そっか確かあの州だけ本州とは別に桧家当主が結界を張るんだっけ

華人は桧家だけだったね」


千李は美羽の怒り顏にたじたじしながら言うと美羽は


「そうよ、もぉ、しっかりしてよね」


と言って満足そうにした。


「あらあら、美羽様はとってもお勉強が好きなのねぇ敍樹君の坊ちゃんは敍樹君に似てお勉強嫌いなのかねぇ、ふふふ、じゃぁ数珠を作ろうかねぇ」


そう言って宝珠はとことこ歩いて岸雄の手をつかむ


「まずぼっちゃんから行こうねぇ、うーんふむふむ、臆病、自称気味、秘めた勇気

ふむ、優しい心、うんうん、なら自信が出るような子達を集めようかねぇ

さぁさ、この子に使われたいのはぁ・・・よしよしぃ」


そう言うと宝珠は並べられたまんまるな宝石たちに歩いて行く


(りょう)マンガン(こう)、情熱・優しさ・繊細・豊かな感受性

瑪瑙(めのう)、勇気・行動力・成功そして朱雀の尾羽、熱い魂、これがいいね」


そう言って宝珠は朱色の頑丈そうな長めの紐に宝石を通していって親玉に紐を通し、

きゅっと結ぶと手で印を切り、数珠に向ける、

そうすると結び目は消えて親玉の下から朱色の房ができた。


「それ、これでいいよぉ」


「あ、あり、ありがとうございます」


岸雄が赤と黄色の長い数珠を受け取るとその数珠はふわっと浮いて輪の中に岸雄の頭を

通して首にかかった。


「よしよしぃ、あんまり怒らず優しくしてあげるんだよぉ、秘めた勇気があるからねぇ

そうのうち強くなれるよぉ」


そう言って宝珠は、数珠をぽんぽんと叩いた。

岸雄は緊張した面持ちで首にかかっている数珠を見てぎゅっと握った。


「さて、次は美羽様のを作ろうねぇ」



そう言って宝珠は美羽の手を握る


「ふんふん、勤勉、広い視野、やさしさ、強い信念、無垢で天真爛漫、行動的

強い勇気とっても強いねぇそして人を良く見て受け入れる心の広さと優しさがある

けど、お勉強にちょっと厳しいかねぇ、さて、美羽様にはほとんどの石が声を上げてるんだよねぇ、どれにするかねぇ」


そう言って宝珠はゆっくり宝石を見る


黝輝石ゆうきせき、寛大・優しさ・自然の恵み、玻璃(はり)、純粋・明晰・完璧・沈着冷静、九尾の毛、類稀なる神力、魅力」


そう言って宝珠は紫の透明度の高い石とクリスタルを二本をつなげたような紐に通し

また印を切って次は親玉から白い細い房ができた。


「さぁ、あなたにピッタリですよぉその心を忘れずにいてくださいねぇ」


そう言って宝珠が美羽に数珠を手渡すと数珠はふわっと浮いて二重になり美羽の右手首に吸い込まれるように掛けられた。


美羽はキラキラした目で右腕を掲げて数珠を見た。

そして嬉しそうに手首についた数珠に「よろしくね」と言った。


「さて、次はぼっちゃんだよぉ」


そう言って宝珠は千李の手を握る

千李はドキッとした。なんと言われるのか緊張する


「ふむ、強い意思、少し強すぎる正義感、聡明、純粋、溢れる勇気、少し短気だねぇ

そして純粋で真っ白だ染められやすい危ないねぇ、とっても危ないあの人にそっくりだ

さてさて、どうしようかねぇうーん、お前だけじゃいけないねぇ」


そう言って宝珠は真っすぐ少し灰色かかった黒い宝石を手に取った


煙水晶(けむりすいしょう)、不屈の精神・責任感、トリフェーン、優しさ・寛大、青龍の髭、冷静沈着、こうしましょねぇ」


そう言って宝珠は薄い黒の宝石と黄色の宝石を白い長い紐に通して親玉から白い房を出した。


「落ち着いて考えればきっと理解できることもありますよぉ、視野を広くして一つのことにとらわれず、正しい道を探してくださいねぇ、あの人はあの女がいたからねぇ、でもあなたには美羽様もぼっちゃんも居るから大丈夫ですよぉ、数珠も手助けしてくれますからねぇ周りを良く見て周りの声をよく聞くんですよぉ」


そう言って宝珠は心配そうに数珠を渡してきた。


数珠は千李の手に置かれるとそのまま左手首にきつく巻き付いた。


「あの、あの人って誰ですか」


恐る恐る美羽が宝珠に聞いた

すると宝珠は暗い顏になり苦難の表情を浮かべ、そっと息を漏らすように言った。


集樂巌(しゅうらくがん)、魔王ですよぉ」


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