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神華牡丹学園物語  作者: 瑞目叶夢
1章華人の不安と仇の顔
16/62

臆病者怒る

夜、部活動に励んでいた3人と歌の練習のカリキュラムを考えていた美羽は、20時には切り上げてそれぞれの寮に向かった。岸雄は玄武寮の神華体に泊ることを伝えて、

そのまま千李と真望の部屋に行ったら簡易ベットが窓の前に一つと岸雄の寝間着があって少し部屋も広がっているように感じた。そしてそのベットを整えているオオカミのような神華体がいた。


「え、さっき玄武の神華体に伝えたのにもう準備されてるのかい!?」


真望がびっくりしてその光景を見る、千李もびっくりしたが岸雄は何気なく神華体に近づく、


「あ、ありがとう、あし、明日の教材は、も、持ってきてるしここまででいいよ、」


「はい、では失礼させていただきます、何かありましたらすぐお呼びくださいませ」


神華体はそう言ってヒュンと言う音と共に消えた。


「神華体は瞬間移動もできるのか」


はーと感心する真望


「う、うん、だから学園内ならお付きの神華体が身の回りの世話をしてくれるよ」


「神華体は須館家にもいるけどそんなことできるって知らなかったや、学生手帳に連絡紋があったけど呼び出してすぐ来れるなんて知らなかったな」


千李は学生手帳を出して連絡紋を眺める、その横には清千李担当508番と書かれている


「神牡の使用人の神華体は生徒一人一人についていることは知っていたが部屋の外まで世話をしてくれるのか」


「う、うん、いつでも駆けつけられるように瞬間移動のできる神華体が生徒の数以上いるって兄ちゃん達とライラが言ってたよ」


千李は疑問を口にする


「そんなに大量の神華体、どこにいるんだ?」


学園には妖怪も華人もいるのに神華人は朱軸永禮しか見たことがない


「き、基本は学校の食堂と各寮の食堂に神華体の寮があるんだって、そ、そそこに行くにはちょっとコツがいるんだって、ら、ライラが言ってたよ、た、たまに食堂からおやつ持ってくるしライラーズは行き方知ってるのかもね」


そう言いながら岸雄は千李から預かったライラーズの師匠からの贈り物と言う箱を真ん中の机に置く箱を開けるとそれぞれの形の眼鏡3つと手紙が入っている


岸雄がその手紙をぽんぽんと3回叩くと手紙から煙が出てきて真ん中に小さなふわふわした薄茶色の髪の可愛らしい男の子?がたっている


「岸雄う!! てめぇ一気に友達5人とはどういうことだ!! せいぜい美羽様と敍樹のバカの息子だけだと思ってたのに急いで他の3人の分も作ることになったぞ! 予想外の行動してんじゃねぇ!!」


天使のような見た目には似つかわしくない乱暴なものいいに2人はびっくりして

岸雄は高速で何度も謝罪している


「まぁいい、どうせ謝ってるんだろうがこれが録画ってこと忘れてんだろう馬鹿ん(ばかんゆう)、とりあえずご挨拶しておこう、俺は騰圓唎(あがうぉんり)ライラーズのメカニックだ、あいつらが師匠って言ってる馬鹿真木の相棒をしてる、へっぴり腰の弱虫馬鹿ん雄の世話をしてくれてありがとうお礼と言っては何だが俺の発明品通信眼鏡をタダで!! タダで!!  くれてやる、絶対壊すなよ、お前らだけしか持ってないし修理は俺にしかできない、いいな、タダで!! くれてやってるんだ、大事にしろよ! ちなみに修理費は学割で5千華にしてやる感謝しろ、それで、使い方だが、眼鏡を開くと眼鏡を基盤に半円型の術式ができる、それをかぶるように眼鏡をかけろ、後は伝えたいことを念じるだけでその眼鏡をかけてるやつに意思が通じるし、見せたい映像は眼鏡を通して伝えられる、ただ念じなければ何も通じない、後は目を閉じて使うのも面白いぞ、上手く使えよ、じゃぁな、俺の真心をタダで!くれてやってる事忘れんなよ!」


圓唎はそう言い残すと手紙と一緒に消し炭になった。


「すっごいタダでを強調された」


千李は唖然と言う


「よほどタダで出したくなかったんだな」


そう言いながら真望は太フレームの黒い眼鏡を手に取って眼鏡を眺めまわし

眼鏡のつるを開くとぶわんと白い術式が広がる、

そしてそれを真望は、かぶるようにして眼鏡をかけると術式は溶けるように消えたように見える、そして真望が目を閉じると


「おおおおお!? 影姫殿と癒澄君に美羽君がいるじゃないか!!」


「え、な、何それ!」


千李は慌てて、青い上フレームの眼鏡をかけ、それに続いて岸雄も赤い下フレームの眼鏡をかける、すると目の前に真っ白な世界の床に黒い六芒星の術式が刻まれていて、各星の先端に人がたっている千李の正面に美羽、千李の右側に真望、左に岸雄、岸雄と美羽の間に影姫

真望と美羽の間に癒澄がいる


「す、すごい、本当に3人がいるみたいだ!」


岸雄がびっくりして動く、動きまで再現されているようでみんながそれぞれ自分の体を確認している動作は本当にリアルだ



「ふーん考えるだけじゃ誰にも聞こえないのかしら?今、私しゃべっていたのだけど」


「ほほう!同じことをしていましたか!どうやらこれは明確に伝えたい意思がないと伝わらないみたいですね!」


真望も影姫も同じ実験をしていたようだ


「あ、考えダダ漏れってわけじゃないのか、それじゃぁ授業中に答え聞けないや」


「もう!千李の馬鹿!何考えてるのよ!絶対答えなんか教えなんだからね!!」


千李が残念そうに言うと美羽が怒って反応する


「そんなぁ! テストじゃないからいいじゃないかぁ」


「ダメです、ちゃんと勉強しなさい!予習なら手伝います」


まるで親のように怒る美羽に麒麟先生が居るみたいだと千李は思う

美羽が勉強好きなのは麒麟先生のせいだと心の中で八つ当たりをするが

もし本人がいれば勉強しないあなたが悪いんでしょうと言われて終わると思うと

千李に勝ち目はなかったのだった。


「でもこれでみんなで勉強できるなら今度のテストは赤点ギリギリは免れるんじゃない?千李ん、フフフ」


癒澄の言葉で今回の悲惨なテスト結果をみんな思いだし皆、苦笑する中、美羽は機嫌が悪くなり、千李は冷や汗を掻いている、そんなとこまで再現できるのかと影姫と真望は感心する、


「おお、千李君の冷や汗まで再現で来てるじゃないか素晴らしい、はっはっは!」


「そんなのどうでもいいよ、今度は期末は頑張るからそんなに怒らないでよ美羽」


「当り前じゃない!ちゃんと勉強すればできるくせにめんどくさがるのが悪いのよ! ちょっとは岸雄君を見習いなさい!」


また岸雄と言われて千李はむっとする、最近何かに付けて岸雄と比べられる、

勉強しない千李が悪いんだが、あんまりいい気分はしない


「岸雄は深瑠先輩と時間とりたいから勉強してるだけじゃないか」


ちょっとふてくされて言ったこの言葉を千李は後悔することになる


「そうね、だらしなく鼻の下伸ばしてニヤニヤしてる気弱君と比べられたら嫌よね」


ふんと機嫌悪そうに岸雄を見る影姫


いっきにその場の空気が凍る、岸雄は青ざめて背中を丸め小さくなる

この状況に真望、癒澄、美羽はじとっと千李を見る

千李もやってしまったと二人の様子を見る


「勉強教えてくれって言うから白帯でも狙ってるのかと思ったのに

下心だったなんてね、まぁ、今はヘラヘラして彼女と遊んでるみたいだから

せいぜい期末も団体戦も悲惨なことにならないといいわね」


とげとげしい言葉に岸雄は泣くんじゃないかと思いみんな岸雄に注目すると

ぷるぷると震えている


「なんで・・・」


小さな声が聞こえる


「なんでそんなこと、言われなきゃいけないんだよ!」


岸雄の言葉とは思えないはっきりした言葉にみんなびっくりする


「僕が何を目的に頑張ろうがそんなの自由じゃないか!どんな理由だって頑張ることに変わりはないし白帯昇格だって団体戦の優勝だって絶対してやる!君が僕のこと嫌いなら僕の事なんて無視すればいいだろ!僕だって意地悪ばっかり言われて嫌だ!君とは仲良くできない!」


岸雄はそう言って影姫を睨む


「そんな、つもりじゃ」


「じゃぁなんだって言うんだよ! 君はいっつも僕が弱虫とか臆病者とかしか言わないで怖い顏で見てきて! 確かに気弱な僕も悪いけどだからって君に馬鹿にされるいわれはないよ! 人の頑張りを下心だなんだってけなす人なんて! 僕こそ願い下げだ!」


岸雄の言葉に影姫は涙をためてうつむく


「わかったわ、もうあなたとは話さない」


影姫はそう言って通信を切ったのか、影姫の姿が消えた。


「えいちゃ!」「影姫ちゃん!」


その後に続くように美羽、癒澄も姿を消した。


「岸雄、言いすぎじゃないか?」


「どこが? 僕は毎日毎日彼女に馬鹿にされた、僕だって辛かったんだ。彼女が機嫌良い時はいいよ、確かにいろんなこと教えてもらえて助かったよ、でもだからって僕を押さえつけるように貶めていいわけないと思うよ」


自分の意思を直接伝えるからか、どもることもない岸雄の言葉ははっきりと強く聞こえる

影姫には鋭い刃物のように突き刺さっただろう

だが同じく岸雄にも影姫の冷たいような発言は突き刺さっていたのだ

困ったように千李は真望に視線で助けを求める


「確かに影姫さんの態度も悪かっただろうだが、仲良くなれないは言いすぎじゃないか?」


「どうかな、弱虫で臆病者の僕と離れられるんだから清々してるんじゃない」


そこに、ぶおんという音ともに美羽と癒澄が出てきた。


「がーがーまだ怒ってる?」


癒澄がうかがうように聞く


「僕、気分が悪いからもう寝るよ」


そして岸雄が消え、その場には4人だけがたっていた。


「千李、岸雄君なんて言ってた?」


美羽に問われ、千李は疲れ様に言う


「さんざん馬鹿にしてきて怖い顏してたんだから向こうも清々してるだろうってさ」


千李の言葉に美羽はあちゃーとどうしようもない顏をする


「たまってたのが爆発しちゃったんだろうなぁ

岸雄君も間違ってないから止め様もないよね、どうしよぉ」


4人が途方にくれていると術式の真ん中が光り、騰圓唎が出てきた。

圓唎は見た目に似合うピンクの眼鏡をかけている


「えーなんだよ、なんで2人足りないんだよしかも岸雄がいねぇじゃんどういうことだよ」


4人はびっくりしたが、大人が来てくれた安心感と同時にこの人に相談していいのかと言う戸惑いがあるだが意を決したように美羽が全てを離した。


「実は・・・・」


全員の自己紹介をし、影姫の事、深瑠と岸雄のこと、そしてさっきの事

それを聞いて圓唎は辟易とした顏をしている


「真木の恋愛関係もうんざりするほど問題だらけだったが顔が似てる岸雄もかよめんどくせぇ、恋愛関係はほっとけとも思うが喧嘩の方は沢家の姫様が謝って素直にならなきゃどうにもならねぇな、それとなく諭すことはできるだろうけど余計なこと言うとこじれるだろうから気を付けろよ」


意外とまともな回答が帰ってきた。そしてやっぱり真木はモテていたようだ

めんどくさがっていても見た目が少年でもやはり圓唎は大人なのだ


「まぁいい、とりあえず深瑠の兼だがな、あいつは昔から人に好かれるんだ、魅了の術でも使ってんじゃないかと思うほどだ、成人してさらに魅力が上がってる話は賦髄から聞いているとりあえず千李、真望、極力岸雄から離れないでくれ、あいつは強いがこういう事にな慣れてない、とりあえず岸雄の神華人をよんであいつのうっとおしい髪を切れ」


「え、なんでですか?」


圓唎の突然の発言にびっくりする4人


「あいつはルックスはいいんだ、それで過半数の男を黙らせろ、どうせ団体戦であいつの強さもわかる、あのルックスであの剣技、見たらぞくぞくするぞ?」


ニヤッと笑う圓唎、そんな簡単なものだろうか

考えて見てもよくわからない、確かに岸雄の隠れファンがいるのは確かだが見た目で解決することか?


「とりあえず、それやっとけよ!俺はたまに出てくるが気にすんなよ、何か知りたかったら俺に聞け、じゃぁな」


そう言って圓唎は姿を消した。


なんとも言えない空気


「そんなことで上手くいくかな?」


「まぁ試してみるしかないだろう」


「まもりんの言う通りだねぇ、とりあえず、まもりんとせんりんはガーガーを守って

私とみわわでえいちゃを諭せたら諭す!無理っぽいけど!」


元気に言う癒澄に、千李と真望は肩を落とす


「そんな弱気だなぁ、がんばろうよ」


千李は力弱く言うがそれに美羽が答える


「そうは言っても影姫ちゃんはわかってると思うのよね、今回のことで自分の気持ちにも気づいたみたいだし」


「だよねぇ、わかってるのって泣いてたし時間の問題じゃないかなぁ、後はタイミングって感じ」


2人の言葉に真望はうなずく


「うん、なら影姫さんはそっとしておこう、俺たちは岸雄を守りながらなだめてみよう、彼が話を聞く態度に出なかったら謝ろうにも謝れないだろうからね」


「そうだね」「そうね、お願いね2人共」「まもりんに賛成!」



そうして4人は解散した。


千李が目を開けるとふてくされて寝ている岸雄がいる

千李と真望は岸雄を起こしにかかる


「岸雄ちょっと起きてくれないかな」


「・・・・・・」


「岸雄君、圓唎さんからの指令だよ髪を切れだって」


「・・・・な、なんでそんなこと」


圓唎の名前に反応したのか返事が帰ってくる


「さぁ大人の考えはわからないけど、あの術式から現れて深瑠先輩と付き合うなら髪を切った方がいいってさ、」


岸雄はふてくされながら起き上がった


「わかったよ」


そう言って岸雄は生徒手帳をとりだして呼び出し紋を押す


「お呼びでしょうか岸雄様」


「か、髪をす、少しだけき「岸雄の髪をバッサリ切ってくれ!!」え!?」


毛先を整えるだけのつもりだった岸雄に千李が割り込んで命令を変える


「岸雄君、圓唎さんの命令だよ!バッサリ!がっつり!切るんだよ!」


「岸雄様がそれでよいのでしたら」


岸雄は一瞬迷ったが圓唎の命令とあっては断るわけにはいかない


「もう、そ、それでいいよ、寝たいからは、早くして」


「仰せのままに」


神華人はテキパキと準備をして思いっきりよく岸雄の髪を切った。

とても手際がよく、綺麗に切れた。


「ほぉこれはなかなか」


「やっぱイケメンだなぁ落書きしていいかな」


髪を切られてる間に寝てしまった岸雄、神華人の腕のいいカットでぼさぼさ髪はすっきりしてかっこよくなった。

お風呂は明日の朝入ることにして岸雄をベットに寝かせて2人も眠りについた。

最初は訳が分からない指令だったが完成をみて、次の日が楽しみだと2人も思ったのだった。



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