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神華牡丹学園物語  作者: 瑞目叶夢
1章華人の不安と仇の顔
14/62

人魚の寮と歌


水中都市は、お化け貝の亡骸でできている建物だった。

巻貝、2枚貝、など様々な形の貝で作られた家は綺麗で美しい


岩を掘って部屋にしている所もあるようだ千李達はその中の1つの建物に入っていく

上へ上へと行くと水中から抜け出し空気のある場所に抜ける

そしてパカッと貝が開く、深瑠も水から出て部屋の奥に行く、6人もそれに続いて奥に行く


「どう?私達の寮は綺麗でしょ?」


深瑠が嬉しそうに言うそれに女の子達が口々に答える


「すごい、めちゃくちゃ幻想的」


「はい!おとぎ話の中の世界みたいですっごく綺麗です!」


「お化け貝を家に使っているから可愛くてきれいで、本当に絵本の中の世界みたいですね

お誘いいただきありがとうございます。」


3の言葉に深瑠はにっこりと笑って男の子達を千李と岸雄は物珍しそうに当たりを見て

真望は興味深げに見ている


「気に入ってくれたみたいで良かったわ!じゃぁみんなそこにある人魚の羽衣を羽織って!水蚕の繭で織ってあるから水中でも息ができるわ!」


6人は言われたとおり奥の方にある、たたまれた羽衣を手に取る、蚕と言うだけあって薄く柔らかなシルクの肌触りはとても気持ちよく着心地がいい


「さぁ、私の部屋にあんないしてあげる!行きましょう!」


深瑠はウキウキと楽しそうに水のあるところに向かう


「え、ぼぼ、僕たちも、い、行っていいんですか!?」


岸雄はびっくりして深瑠に聞く


「もちろん!同居者にも話を通してるの!だから大丈夫よ!」


嬉しそうに深瑠は岸雄の手を引く

ほんのりと頬を染める岸雄を見て影姫はなぜか胸がチクリと痛み、頭をひねる


「えいちゃどうかした?」


「なんでもないわ」


そう言いながら岸雄を深瑠を見るともやもやした思いを感じながら、岸雄と深瑠について行く皆を追いかけていく


水に入ると羽衣から気泡が出てきて頭を包む

6人はびっくりして大興奮、水の中で息ができて会話もでき、自由に泳げる

興奮するなと言うほうが無理だ


「ふふ、凄いでしょ?その羽衣は先生がプレゼントしてもいいって言ってたわ!

いろんな力があるからいろいろ試してみると楽しいかもしれないわ、

その羽衣の機能はいまだに研究中らしいから、面白そうな力を見つけたら教えてね!

さ、寮に行きましょう!」


6人は深瑠について泳いで行く、白い貝でできた家々はとてもきれいで

楽しそうに泳ぎまわる人魚の中には男の人魚もいて槍や、青い刃の刀で修練をしている

先頭を進んでいた深瑠が誰かを見つけて動きを止める


「あ、賦髄(ふずい)先輩!」


深瑠が岸雄の手を離して、嬉しそうに中でも一番鍛えられた男の人魚に近づく

鍛えられ濃紺の髪と尾鰭を持つイケメンだ

それを見て、岸雄はとても傷ついた顔をした。


「おお、深瑠!また美しくなったな!」


「ありがとうございます!今日は遊びにいらしてたんですね!」


「あぁ、猿武に強力な新入生が入ったと凱臥から手紙が来てな、様子を見に来たんだが

うっかりテスト期間に来てしまった、はっはっは!」


そんなことを気にしない風に豪快に笑う賦髄


「ふふ、ならちょうど良かったです!今、その新入生達と友達が遊びに来てるんです」


深瑠が千李達を指さす


その方向を見て賦髄はおおっと驚いて岸雄の方に行く


「君が新入生か!強そうじゃないか!!人間の1年生にしては大きいなぁ!ん?この顔は真木の子かな?これは期待ができるなぁ!!あいつらは虎裁でも優秀だったからな!!」


賦髄は岸雄の全身をバシバシ叩きながら岸雄の体を確認するから岸雄はグラグラ揺らされる、


「先輩、その子だけじゃないんですよ!そちらの金髪の子も猿武なんです!

その子は清敍樹さんとシェリーニさんのお子さんなんです!」


それを聞いて岸雄の奥にいる千李を目に止める



「あぁあの二人の子供か見た目は敍樹だが髪と目の色にシェリーニの面影がある懐かしいな、シェリーニはいつも敍樹に怒っていたよ」


懐かしそうに悲しそうに賦髄は、千李を見る


「2人の学生時代を知ってるんですか?」



「俺は1036歳でね、君の親とは同級生だったんだよ、シェリーニと千珠は鸞璃でいいライバルだった。」


「え、千珠って南先生ですか!?」


千李はびっくりして賦髄に聞く


「ん?千珠も36歳で同い年だぞ?あの年は優秀な生徒が多くてな刀激戦の黄金時代でもあったんだ、李薇も腕は良かったが最重要危険能力者って扱いだったからな、部活には入れなかった。」


「李薇もですか・・・」


千李は目を伏せ思いだす、意地汚い笑い方をした虹色の目の女を


「まぁそんな話はいいだろう!君たちの強さが見たいな!テストが終わった頃また来よう、素晴らしい腕前を期待してるぞ!!」


そう言って賦髄が修練をしている人達のところに行こうとすると一人の女の人魚が

賦髄に近づく


「賦髄、まだ帰らないの?いい加減飽きたわ、いつまでいるつもり?」


「おお、堕魅(だみ)ちょうどいいところに!」


賦髄は近づいてきた女性、堕魅の肩を抱く

それを見て深瑠の顏が強張る


「俺の妻だ、今度結婚式をあげることになっていてな!深瑠も来てくれ!

堕魅の歌は誰もを魅了するほど美しいんだ!」


「あぁ深瑠さん?ふふ、本当に美しいわね歌えない人魚とは思えないわ」


ニコニコ笑って言う賦髄に肩を抱かれ、得意げに笑う堕魅、それに深瑠は深く傷付いた。


「ええ、先輩、喜んで行きますわ」


少し顔を強張らせながら深瑠は笑顔を作って言った。


「うむ!じゃぁな!また会おう!さ、堕魅、いこうか」


賦髄は堕魅の手を引いてどこかに行った。去り際、堕魅は深瑠に得意げな目線を投げかけ

去って行ったのだ。


「行きましょう、」


深瑠はニッコリ笑って道案内を開始した。

さっきと違って少しおしゃべりだ。


「で、ここが女子寮なの、人魚の男じゃないからあなた達は特別に入っていいって言われたのよ!あの薄いピンク色の貝が私達の部屋よ!」


深瑠の指す方を見ると、色取りどりの貝の中に薄ピンクの巻き貝がある

深瑠がどんどん進んでその貝の扉を開けると中は女の子らしいキラキラしたものや小さな貝などで飾られたベット周りと

機械的な?ベット周りの場所の机で何やら作業をする人魚がいる


「ただいま彩良恵良(さらえら)


深瑠がそう言うと彩良恵良と言われた灰色の人魚が望遠機能が付いてそうなゴーグルを外してこっちを見る


「あぁ、おかえり」


そう言うと彩良恵良はまた作業に没頭しだした。


「ごめんね、彼女人見知りなのよ、さ、そこに座って」


深瑠はそう言って可愛らしいベット周りの方にあるソファーに案内される


「彼女はね、研究が好きなの!その羽衣も彼女が作ったのよ!」


「すごいですね!それで研究中なんですね!」


「研究系の神華じゃなくてもこんなすごいの作れるんですね!」


美羽と癒澄は深瑠と楽しそうにキャッきゃと話す


その姿はさっきの落ち込んだ姿が嘘の様だった。


「あ、そう言えば深瑠、賦髄さんから結婚式の招待状が届いたけどどうするの夏休みみたいだけど」


今まで作業に没頭していた彩良恵良が突然話しかけてきた。

その言葉に強張る深瑠


「うん、どう、しよっか、」


暗くなる深瑠に岸雄が思わず聞いた。


「ふ、賦髄、さ、さんが好きなんですか」


「ちょっと岸雄馬鹿!」


影姫が諫めるも、岸雄は真剣な目で聞いていた。


「好き・・・・なのかな?先輩は憧れで私の師匠なの」


深瑠が話始めた。とても寂しそうにけど自分に確認するように


「賦髄先輩は歌えないことなんて気にしてないの、私の太刀筋を気に入ってくれて親身に教えてくれた。

歌えないことなんて気にならない、君は素晴らしい人魚だって

でも、先輩が奥さんに選んだ人は人魚の歌姫で有名な堕魅さんだった。

誰もを魅了して、魅了した人間を堕落させ精気を抜き取る人魚の中でも最上位の女性

そんな人と結婚して私を招待するなんて・・・・・結婚式では若い人魚がお嫁さんの人魚と歌う仕来りがあるの、私歌いたくないわ!先輩は気にしなくても周りの人に笑われるのは私なんですもの、

でも行かなければ先輩が傷つくそれもいやなの」


目からあふれる涙は水にとける、

悔しそうに拳を握る深瑠その姿を見て、美羽がそっとその拳を手で包む


「深瑠先輩、私、あの女性は好きになれません、賦髄さんをブランドバックみたいに見てるようにしか見えないし、あんないやらしい言い方する人大っ嫌いです!だから深瑠先輩!特訓しましょう!」


美羽はらんらんと目を輝かせて深瑠に言う


「ぼ、僕も手伝います!」


岸雄の発言にみんなおどろくが美羽だけは嬉しそうに大きくうなずく


「うん、うん!岸雄くんとっても歌上手いものね!鼻歌も上手だもの!

みんなで深瑠さんを応援しましょう!それで結婚式で一番上手く歌ってもらって

賦髄さんが結婚失敗したって思うくらい驚かせましょう!!」


美羽はやる気に満ち溢れている


「え、でも、迷惑じゃないかしら、部活もあるし勉強だって」


深瑠がそう言うと影姫が断りを入れる


「私は歌の事には疎いから力になれないわ」


「私もみわわとがんちゃんみたいに歌はうまくないからやめとこうかな」


「俺は影姫さんがやめとくならやめとこう、それに3人は猿武だろう?

訓練は猿武でするといいんじゃないか?俺は虎裁だから入れないが美羽君なら大丈夫だろうからね!」


「まぁ僕はいいよ、教えたりはできないから聞くだけだけど」


話はどんどんまとまっていく、1日1時間放課後、猿武の部室で行うことになった。


夏休み、最高の歌を歌うため。


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