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神華牡丹学園物語  作者: 瑞目叶夢
1章華人の不安と仇の顔
12/62

天才とは何か

千李と岸雄は放課後3階の5の1の教室の前に来ていた。

千李が一人の5年生に凱臥の事を聞くとその生徒は凱臥の事を呼びに行ってくれた。


「おおお!千李君!岸雄君!来てくれたか!では急ぎ部室に行って他のメンバーに紹介しよう!さぁこっちだ!」


凱臥に案内され2人は3階に案内され武器庫に入った武器庫の奥の壁には荒野に立つ勇ましい髭の男性とその後ろに扉の絵が書かれている


「さ、ここに入るんだ」


そう言って凱臥は壁の絵の中に入っていく


「「え!!」」


二人がびっくりして絵を見ると絵に凱臥が書かれていて、絵の男性が動き何かを凱臥と話している、千李は恐る恐る絵に手を伸ばすと水に入るような感覚を手に感じでそのまま進んでいくと絵の中に自分の体が描かれる、ゆっくり入り目を閉じる顏を水面に覆われる感覚を感じて目を開けるとそこは広い荒野だった。後ろを見ると武器庫の絵の中から岸雄が出てきたところだった。


「す、すごいね、え、え、絵の中に入っちゃったよ」


びっくりして興奮気味に岸雄が千李に言う


「おーい、君達早く来たまえ!」


凱臥に呼ばれて二人は凱臥と男性の近くに行く


「ほぉこやつらが新しい猿武生か」


男性はじっと二人を見る、射貫くような目で見られて二人はいたたまれない


「ふむ、軟派な見た目だが良く鍛えられている、視線の動かし方も申し分ない

良かろう、なれば問うお前たち、天才とは何か」


男性に言われて、千李は普通に人より優れた人のことじゃないのか?と思ったが、きっとこの人が聞きたい答えは違うと思った。


「人よりも学び人よりも鍛錬したことで優れた人です」


その声は岸雄だった、いつもの岸雄とは思えない、はっきりしたものいいだった。


「ふむ、ビクビクして何とも頼りないがその顏は嫌いじゃない、よかろうお前の考え見事な物だそこの扉を通るがいい」


「は、はい」


岸雄はびくびくしながら奥の扉に入っていった。


そして、男性の目は千李に向けられる、答え方はわかった

そしてこれは入部テストなのだと言うことも感じ取れた。

ここで間違った答えを出すわけにはいかない


「苦となる努力にもめげず、高みを目指し邁進していく人です」


挑むように千李は男性を見る

射貫くような目に負けないように男性の目を見返す

男性が目を細める

思案する目に緊張する千李


「ふむ、その髪、その目、シェリーニと敍樹の息子か、彼女は鸞璃だったが彼女も強かった、敍樹は良く苦戦していた。惚れた弱みだろうがな、まったく軟派な奴だった」


何かを思い返すように男性は言う、


「良かろう、扉を通るがいい」


男性にそう言われて千李は安堵して息が漏れるそして、男性の後ろにある扉を開けると、手を引かれる


「やったっぁぁ!!天才が2人よ!今年はきっと優勝できるわ!!」


挿絵(By みてみん)


銀髪の白磁器のようなきれいな女性が千李に抱きつく

とても女性らしい体の大人の女性に抱きつかれ千李は硬直してしまった。

柔らかな体が自分に当たる美羽には感じない感覚に心臓が鳴る


そんな二人を凱臥が、引きはがし、千李を助ける


深瑠(みる)君、いきなり抱きついては失礼だろう、君は妖怪では子供でも僕らには大人なんだよ」


そう言われて銀髪の女性深瑠は、ハッとして千李をみて頬を赤らめる


「ごめんなさい、つい嬉しくって、私は7の4の人魚、深瑠です」


銀髪の女性が白磁器の手を千李に伸ばして握手を求める、

繊細で割れそうな細腕千李は慎重に手を握る、

すべすべのもっちりとした肌にまたドキドキとする

人魚と言うだけあってその声も透き通って綺麗で

惑わされる人たちの気持ちもわかるというものだ。


「にっしし、新人恒例、深瑠先輩に魅了されてんな、にっしっし」


ブルドックのような顏の男性が楽しそうに千李を見る


千李はハッとして手を離す


「そ、そそんなことないですよ」


慌てて深瑠から離れる千李


「まぁ寂しい」


深瑠は寂しそうに千李を見るエメラルドの目が寂しそうに千李をみて桃のような小さな唇を不満げに曲げている


「あ、ご、ごめんなさい、深瑠さんはとっても綺麗です」


千李がそう言うと深瑠はにっこりと満足そうに笑った。

千李はホッとため息をつくのだった。


「にっしっし、惑わされてるねぇ」


ブルドックのような男子がおかしな笑い方する、良く見ると男子は将棋でもう一人の男子と対戦をしていたようだ、そのもう一人の男子は黒い髪を肩口で切りそろえていて険しい顏をして将棋盤をにらんでいる、他にも部屋を見渡すと深瑠の他にもう一人女子が岸雄に話しかけていて、その女子と一緒に筋骨隆々の大きな男子が岸雄に話しかけている、目の前には大きな丸い窓があって外が見える、後ろを見ると壁にさっきの男性の絵がある

左側の部屋の隅には4つの2段ベットと8人は座れそうな机、反対側には様々な木刀が壁にかけられていて、その隣にトイレや風呂と書かれた部屋もあり、泊まろうと思えば泊れそうだ、広い部屋の真ん中は、

簡単な手合わせもできそうだ

武器庫の裏とは思えない広さ、きっと拡張呪文だろう将棋盤で将棋をしていたブルドックのような男子が千李に近づいてくる


「大抵の人はしばらく惚けるんだが、君はすぐ気が付いたね、芯が強いのか、それとも他に好きな人でもいるのかな?」


「べ、別にそう言うわけでは」


ニヤニヤ笑う男子、


「まぁいいか、俺の名前は伊寸魏(い すんぎ)青龍寮の6年生だ、よろしくな」


そう言って寸魏は千李の頭をわしゃわしゃなでる

ちょっとむっとして千李はその手を払いのける


「伊先輩はすぐ人をからかうんだ、あんまりまともにとりあわない方がいい」


将棋盤を難しい顏で睨んでいた男子が駒を打ちながら千李に言う


「僕は夢世雷児(むせ らいじ)、朱雀の4年生だ電化製品を触れただけで操れる

何かのシステムに入りたい時は呼びなよ、レアガチャとかもいっぱい出してあげる」


ニヤッと雷児が笑う、寸魏は雷児の打った駒を見て顔を強張らせ、今度は寸魏が将棋盤とにらめっこしている


雷児は得意げに笑う、よほどいい手だったのだろう

そうしていると奥で話していた岸雄が千李の元に泣き顔で走って来て千李の後ろに隠れる


「岸雄君!君ならいけるよ!一緒に鍛えようぞ!」


「岸雄君!ぜひ、ぜひ鍛えてバニーを!絶対似合うわ!!」


逃げてきた岸雄にもびっくりだが、最後の女の子の言葉は、聞き間違えだろうか


「ば、バニー?」


彼女はいま確実に鍛えた岸雄にバニーを着せたいとそう聞こえたのだ、いやいやまさか

そんなはずはない岸雄は猫背でおどおどしてるが身長も高くけっこうイケメンの部類

割と筋肉もついていて決して華奢でもないそんな彼にバニー?


「バニーは素晴らしいですぞ!鍛えあげた筋肉が見事に着飾られ美しく見えるのですぞ!さぁまずは、吾輩と一緒に大殿筋から背腹筋までの筋肉を鍛えよう、足や尻の筋肉はバニーですと素晴らしい見え方をするのですよ!胸筋を鍛え、上腕二頭筋を鍛えますれば更に見栄えが良くなりますぞ!」


そう言いながら筋骨隆々の男子はボディービルダーのようなポーズをする

また聞き間違えだろうか、見るからに漢を体現したような男子がバニーを着る?

見え方が素晴らしい?まてまておかしいおかしい、なぜ筋肉を見せるのにバニーなのだ

なぜ喜々としてバニーを着る話をしている?

周りを見ると他のメンバーはすでにわれ関せずと他の事をしている、まるで私たちには関係ないから振らないでねガンバ!見たいな空気を千李は感じるのだ、もはや逃げ場もなければ助けも来ない状態である


「えーと、岸雄君嫌がってるみたいなので遠慮してもらえないですか?」


千李は正直逃げ出したいし、関わることをご遠慮したい、今すごく猿武に入ったことを後悔している、こんなことになるなんて誰が思おうか!


「あら!君は千李君ね!私は3年の涼香霊夢(すずかれいむ)!幻覚使いで1組よ!あぁ君も素敵な筋肉!君にはぜひミニスカナースなんてどうだろう!白衣の天使の筋肉!なんて素敵!」


「おお素晴らしい!ナース服は筋肉を清純に見せてくださいますぞ!白い肌と白いナース服で洗礼された筋肉に見えることでしょうな!吾輩ちょっと黒いのでとてもうらやましいですなぁ!吾輩は2年の参禅金斗(さんぜんきんと)、白虎寮ですぞ!」


全然良くない、この人達は何語を話してるだろうと思う千李

確実にやばい、関わってはいけないと千李の危機感が警報を鳴らす

その時、壁の男が喋りかけてきた。


「おい、お前達、だらけてないで今日の鍛錬をするぞ全員そろったんだ、今年の新入生の実力を見たい、素振り千回さっさとするんだ」


「「「はい!猿武様!」」」


「「せ、せん!?」」


上級生が当たり前のように返事をする中、2人は途方もない数字に愕然とした。

千李と岸雄はそれから18時の帰省時間までみっちりしごかれたのだった。


「明日は実践形式もするぞ、新入生、お前は達は筋がいい明日の実践楽しみにしている」


金斗を除く、全員がへとへとになりながら帰路の準備をしていると壁の男がそう言った。


千李と岸雄はへとへとで、隅のソファーで一緒にへばっていた。

実践は楽しみだが今はそれを喜ぶ体力もなくハイとうなだれて返事をするしかないのだった。


「ほーら二人ともさっさと帰るよー」


そう言って深瑠がソファーの後ろから二人の頭を優しくなでる


「お疲れ様、がんばったね、貴方たちは期待のルーキーよ、やっと猿武に勝機がめぐってきた。頑張りましょうね!」


練習後にシャワーに出も入っていたのだろう白磁器のような頬が熱って少し赤みを帯びている、それがまた綺麗で、岸雄はぽやーと惚けてしまっている、


「は、はい、今日はありがとうございました。」


千李は慌てて返事をしながら岸雄を揺する


「岸雄、岸雄!!おーい!!ライラックさんに告げ口するぞ!」


「わぁあああああああ、ご、ごめんなさいいいいいい」


見惚れてふやふやしていた顏から一転青ざめる岸雄、

いったいライラックに何をされたのか


「岸雄君はライラーズの弟だったわね」


深瑠はむすっとしてそう言った。


「ら、ライラや兄ちゃんた、達にばばばばばばれたらどどどどどんなイタズラされてからかわれるか!!セ、千李君!!言わないでね!!言わないでね!!」


岸雄は青ざめ千李に詰め寄る

普段からからかわれ、3人のおもちゃのような岸雄、あれは岸雄の反応も悪いとは思うが

3人はあれで岸雄を可愛がり、大事にしてるのだ、みなれると微笑ましいが、本人には

死活問題なんだろう

まぁ目立ちたくない岸雄にとっては目立ちまくる3人に注目の的にされるのは耐えられないのだろう


「大丈夫だよ、言わないって」


「ほ、ほんと?よ、よかった・・・」


岸雄はあからさまにホッとした。


「岸雄君!!」


深瑠が岸雄の両手を握る


「ひゃ、ひゃい!」


びっくりして岸雄は目を白黒。顔を真っ赤にしながら裏返った声で返事をする


「絶対ライラーズを!虎裁を!倒しましょうね!!」


深瑠は興奮気味に力を込めて岸雄を見る


「ひゃい!」


「あの3人をあっと言わせるために虎裁の切り込み隊長はあなたにするわ!頑張りましょう!!」


「ひゃい!」


岸雄は真っ赤な顔で目を白黒させながらとんでもない提案に頷く、

あぁ岸雄なんて不憫なと千李は思う、木刀を持った状態の岸雄は大丈夫だが

素の岸雄がこんなことを頷いてしまったと知ったら


「こうしてはいられないわ!!私、戦略考えてくるわ!凱臥!寸魏!今年は勝つわよ!!」


そう言って深瑠は意気揚々と猿武の絵に飛び込んで言った。

深瑠が消え静かになった部室

ぽやっとしていた岸雄も夢から覚め、今頷いてしまった言葉の意味を理解し

青ざめる


「セ、千李君、ぼ、ぼく」


「諦めよう岸雄、君が切り込み隊長だ」


それを聞いて岸雄は余りの責任とこれからのことで目を回し気絶したのだった。


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