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戦場入り

外に出ると辺りは薄暗く、夕方といったところだ、静かな理由も直ぐに分かった、既に住民は避難済みなのだ。


「転移の魔法かシェルターのような魔法かは分からないが、確かにこの状態なら無駄に狙われたりはしないか」


それにしても早い、恐らく魔王からの襲撃が頻繁に有るのだろう、訓練されたスピードだ、兵士の通報からまだ5分ぐらいしか経っていない。


「あっちか、分かりやすくて助かる」


周囲の家々は明かりも消されていて道は薄暗い、しかし遠くではあるが戦いの火が見えるし、振動も伝わってくる。

全力疾走で走って向かう、何かに間に合わせるかのように気持ちははやっていた、置いてかれて寂しいとかではないはずだ。

近くまでくると戦いの喧騒が聞こえてくる、しかし後方支援の兵士は見当たらず総力戦の気配だ、やはり邪竜は強大な存在なのだろう。


「はぁはぁ…」


息が上がる、体力は変わっていないようだ、目の前にそびえる城壁がこの町の重要性を示していた、15メートルはある大きな城壁は通常の戦いであれば、十分な防御効果を発揮したであろう代物だ。


「あそこが通れるな」


城壁の通用口が開いているのが見えた、相手が人では無いからか、やや甘い対応ではある、魔法の力で外からは見えてないかもしれないが


「君はどちらへ?外は危険だぞ?」


ふと、後ろから兵士に声を掛けられる、渋い兵士は40~50代ほどのベテラン兵士だ。


「ジークムントさんを助けに行こうかと」


兵士は少し唸ると、目付きが鋭くなる


「ふむ…ならばどうぞ」


理解早いな、ジークムントの知名度と信用の深さなのだろう、名前を出しただけで対応が変わる


「…こちらへ」


開いている通用口を案内される、兵士が通用口に向かって手のひらを向けている、やはり魔法防御か


「いえ、多分大丈夫です」


兵士の脇を素通りし、右手を伸ばした状態で通用口に突入する、ピクッと反応はしたが特に問題無く通り抜け出来る。後ろでベテラン兵士が目を丸くしていた。


「流石…これがジークムント様の仲間か…後武運を!」


「ありがとう!」


ベテラン兵士は通用口の守護兵のようだ、通用口からは離れない。

少し右腕にも慣れたが、やはり魔法は効かないようだ。


城壁を抜けるとそこは別世界だった


「わくわくしてきた」


巨大な邪竜が暴れている姿が500メートルほど先に見える、城壁側には数多くの兵士達が居るのが分かる、彼らからは絶え間無く魔法が放たれているはずだ、俺には全く見えないのだが。また、兵士は地上や城壁だけでなく、空中にも大量に飛行している、遠目な上に薄暗さでやや見えにくいが人がただ空を飛ぶ姿は中々この世のものとは思えない。


「完全に異世界やん…」


いよいよ実感が沸いてきた、兵士の体格差は非常に大きく、巨体な10メートルはある巨人?兵士から1メートル無いぐらい小さい小人族?のような兵士まで非常に多彩だ。


『ズガーン』『バコーン』『ドカーン』


絵に描いたみたいに巨大な爆発が邪竜に起こる、爆裂魔法だろうか、邪竜を包むような爆発が同時に3回起きる。そんな戦いが絶え間無く続いていた。


「どこに入る余地あるねん…」


弱気になってはいけない、しかし、魔法世界の兵士達は何か予想の10倍は善戦している、少しずつ近づいているが、兵士側の勢いの凄さに押されるばかりだ。


ジークムントが1人邪竜との格闘戦をしているのが見える。


「あれが勇者か、彼より俺の方が強い要素無くない?」


邪竜との戦いはそれでも基本は遠距離戦だ、邪竜との近接戦は大量の兵士は参加していない、勇者ジークムントの戦いの邪魔にならない為だ、それほど勇者の攻撃は凄まじい、剣を振るえば眩い光を放つ、大地が裂け、空を割り、そして邪竜に凄まじい爆発が起きる、全ての攻撃が邪竜を的確に削っている。

邪竜側も黙ってはいない、巨体の持つ暴力は最早災害だ、最早というか実際この世界では災害扱いだが、口からは光の筋を放ち、着弾地点は爆裂していく、兵士が吹き飛ぶのが見えるが、しかし兵士達の士気は全く落ちない。


「凄いでしょ、師匠は」


「うわっ、いつからそこに」


気が付けばユリアが隣に居た、先程とは違いフル装備状態なのだろう、胸や腕やすねには鎧に、頭には大きな宝玉の付いた頭冠のようなティアラ、手にはまた大きな宝玉の付いた大きな杖を持っていた、ファンタジー全開の格好だ。あのピッタリした服はインナーだったというわけだ、エロ過ぎるとか思ってたが、納得した。


「今来たの、あなたこそどうして?」


「かくかくしかじかで」


やり取りを話す、ユリアはまだこちらを信用していない筈だ、まだ金玉も痛いし。

話を聞いたユリアは杖を構えると何か力を込めていた髪やマントが風も無いのにたなびいていた、魔法の発動の態勢だ、しかも大きな魔法なのが先程との違いから感じられる。


「そう、師匠が負けるとは思えないけど」


ユリアがそう言った瞬間、周囲の喧騒が全く聴こえなくなる、結界魔法だろうか、遮断魔法なら直接の効果が無いから俺にも効果の恩恵が有るのかも。


『ピクッピクッ』


「うっ…」


右腕が痛みを伝えてくる、初めての事だ、ユリアがこちらに驚いた表情を向けている、え、何か付いてる?っていうかまた攻撃魔法だった?


「うそ…これも効果が無いの…?」


「えっ…結界魔法とかでは無いの?」


彼女が発動していた魔法は、この世界でも数えられるぐらいしかー少なくともアトラスの国ではユリアしかー使用できない世界全て、邪竜にすら影響を与える至高の魔法である(後で聞いた)


「時間停止が通用しないなんて…」

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