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目覚め

人の居なくなった部屋で、改めて自分の今置かれた環境を考え直す。


まず、間違いなくここは自分の良く知っている世界では無い事、何故か問題なく日本語で話せる事、吹き飛んだはずだが大した怪我をしてない事、そして自分は交通事故で死んだという事。


「うっ…う…」


嗚咽が漏れる、忘れていた事が信じられない、でも現実と思いたく無かったのだ。


顔を上げるまでには結構時間が掛かった。


「…さて…」


窓の外を前のめりに眺めてみる、どうやらここはある程度は発展した町のようだ、ちょうど広場が見えるが石が敷き詰められ整備された立派な物に見える、行き交う人々も大小様々な荷物を持ち活気があるようだった、あの砂漠から近くにこんな立派な町があるのだ、ジークムントが邪竜を倒さなければ被害があったかもしれない。


「しかしなぁ…何にも目的がないと、やる気が起きないというか」


転生したのだ、女神のお告げとか無いの?と思う余裕は戻っていた。

連絡ベルを右手に取る、連絡手段としておかれた物だが、鈍く金属色をしていて高価な物では無さそうだ、一般的なハンドベルにしか見えないのだが、話掛けろと言われても使い方がイマイチぴんと来なかった。


『「どうした?少年』」


「うわっ」


急に声がベルから出る、特に起動する必要も無いのかもしれないが良く分からない。


「すいません、トイレに行きたくて」


『「それなら、部屋を出て左側をまっすぐの突き当たりの部屋だ」』


「ありがとうございます」


『「気をつけてな「師匠見て下さ…」」』


「はい」


立ち上がる、特に身体にこれといった異常は無さそうだ、扉を開け少し周りを見渡しながら指定された通りにトイレに辿り着く。

建物の中にあるのだから水洗かそれに準ずる何かがあるのだろう、と期待しながらトイレのドアを開けた。


「んっ…ちょっと誰」


ユリアとは違う女性の後ろ姿だった、かなり和式に近い便器にしゃがみ込みスカートをたくしあげ完全に無防備な下半身を晒した姿だった。


「すっすいませんでしたー!」


ドアを勢い良く締める、ノック文化があるのか知らないが悪いのは自分だ。しかし目に付いた光景が頭にこびりついてしまっている、肌の白さが印象的だった。


「…こちらこそカギを掛け忘れてたわ」


トイレから声が聞こえた、ユリアとは違い落ち着いた声質でおっとりしていると感じる話口だった。


「いっいえ、本当にすいません」


見えないがトイレに向かって頭を下げる、返事は無い、少し間が空きカラカラと紙を取る音が聞こえ出す、しかし水音は一切聞こえない、水洗じゃないのか?…いや…変態か俺は、女性のトイレに聞き耳とか不味いだろ…


「…お待たせ」


少しの時間が流れた後ドアが開かれ、白い肌の主が姿を表した。

…おいおいまたしても超可愛いぞ…ゲームのキャラクターみたいな美貌だ、ユリアはかなりかわいらしい感じだが、こちらは美人系でスレンダーな体型が二人の違いを明確にしている。しかし最大の特徴はやはりその尖った耳だろう、彼女はエルフなのだろう、特徴的なその耳はまるで空想の姿そのもので興奮がどんどん高まるのが分かった。


「…この事は忘れますから…気になさらずに…」


「謝らなくていいわ、私が悪いのよ」


ニッコリとした笑顔で言われる、直後にエルフのお姉さんはこちらをまじまじと眺めているのに気が付く、何か品定めのような目線に感じたが、ある一点で止まったのが分かった。


「いえあのその」


またしてもズボンが膨らんでいた




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