プロローグ
しばらくは書けたら書くスタイルで
目が覚める―見渡す限り辺りは砂漠で覆われ、目標になりそうな構造物や樹木などもひとまず把握する事が出来ない、太陽は天高く気温は25℃はあるだろう、現在視界を遮ってしまうような強風は吹いていない。
「…どこだよここは…」
大和悠真、高校2年生、16歳(=彼女居ない歴)はやや冷静にため息をつきながら立ち上がった、足元は砂地ではあるが固くしまっており歩く分には問題は無さそうだ。
「とりあえず…着るものだな、日射しを遮れた方が良いな…」
フルチンだった、どうやってここまで運ばれたのか、何故周りに何も無いのか疑問は尽きないが、このままでは命に関わると思い行動を開始する事にした。思考は出来ているが、自分の直前の記憶をーこうなる前に意識を失った原因をー思い出す事が出来ない。
小一時間ほど歩いていると遠くからであろう音?というか衝撃波のような振動を感じ足を止める。
『ドシーンッ』『ズズン』
かなりの振動を感じるが、地震とは違う振動の発生源は確実に動いている。
『ドドーン』『ズドドドド』
「…不味い、明らかにこちらに近づいて来てる」
振動の発生源の方向を見渡すが、砂丘が邪魔で見通す事が出来ない。揺れ方ー砂地なためか鈍く伝わっている部分もあるのだろうがーからすると発生源は数百メートルは離れているであろうか、状況を知るため砂丘を上り、稜線より顔を出す。
20メートルはあるだろうか、巨大な黒い塊がこちらに向かって猛然と進んでいるのが見える。距離はまだ霞んで見えるほど遠い、立ち込める砂埃の影響もあるだろうが詳細は分からなかった。
その時だった、眩しい閃光ー余りの光量で目を瞑ってしまい良く分からなかったーが黒い塊から放たれた。
『ピカッ』『ズドドドドドドドドッ』『ガガッガ』『ギィィィィ』
かなりの距離があるはずなのに、ほぼ時差無しで強烈な衝撃波が襲いかかった、そう黒い塊は大爆発を起こしたのだーそれが分かったのは後になってからだがー
「うわぁッ、あああああ!」
身体が宙に浮く、地面ごと吹き飛ばされているためだ、手足をバタつかせるが当然何も掴めない、光に包まれ何も見えなかった。閃光の中意識が遠くなっていくのを感じていた。
――――――――――――――――――――――――――――
「おいっ大丈夫か!」「救急車だ!」
騒がしく男の声が聞こえた、しかし、うつ伏せに倒れた身体を起こそうとするが力が入らず上手く身体を動かすことが出来ない。
「いやああああ」
今度は甲高い女の声が聞こえた、しかし視界もボヤけていて上手く見ることが出来ない
「…うっ…」
血の味がするのを感じた、寒い…右肩から先の感覚が無い
「ああ…」
辛うじて見えた光景だが、全く現実の物と認識出来ない、いやしたくない、2メートルぐらい先に自分の右腕が見えるのだ、16年連れ添った相棒は無惨な姿だった
「○っか○○」「止血だ○○」
辺りが騒がしいようだが、上手く頭に言葉が入ってこない
「○○○」「○○○」
雑踏の中で音声が認識出来ない
ーしまった…こりゃ死んだな…ー
おや…声が出てきてないぞ
「○の○制服です」「大和くん!」「うわ○…」「○○ッ」
…あれ…?何故だかはっきり聞こえた声の方向に頭を向ける
ー白かー
こちらの顔を覗くべくしゃがんでいたため、純白ーかどうかは影になっていたため不正確だがーが見えた…気がした、ほぼ声だけど誰かは分かったー告白したものの良い返事は貰えなかったー意中の娘だったからだ
「ごめん…ごめんね」
そう言われた気がしたがその辺りで周りが見えなくなった…開いてるはずの眼が映像を脳に届けていない…死ぬのか…感覚では分かる、享年16歳かぁ流石に短か過ぎて親に顔向け出来ないなぁ…頭がまだ回るのが可笑しかった。
そこで意識は途絶えた
――――――――――――――――――――――――――――――
「…大丈夫か?少年」
渋い男の声がした、ぼんやりとだが夢…いや現実か…から意識を取り戻す、見知らぬ天井である、木製の部屋だ。
「うっ…くっ…」
上体を起こす、あの光景…あれは交通事故か…俺は死んだのか…。はっとなり、右腕を見るが、全く変わらない様子でそこに居たのだが、違和感が無かった…と言えば嘘になる。
「付いてる…」
「大丈夫そうか?どこか痛む所は無いか?」
男の渋い声が頭に響く、やや頭は痛むがあの光景ー記憶が混濁してるーを考えれば全くといっていいほど身体に異常は感じられなかった。
「大丈夫そうです、ありがとうございます…」
「そうか、なら良かった」
「あなたは…いえ僕は大和悠真という者です、怪しい者ではございません…といっても信じて貰えないでしょうが…」
「先に名乗られてしまったな、俺の名はジークムント、砂漠に倒れていた所を見つけてな、こちらも信じられないかもしれないが医者だ」
確かに医者という風貌ではなく、全身を黒で固めた服装に背中まである長い黒髪が特徴的な大男だった
「助けて頂き申し訳ありませんが…」
「いや、謝るのはこちらの方だ」
遮るようにジークムントは続けた
「邪竜退治に巻き込んでしまった、申し訳ない」
大男が、方膝を床に付け頭を下げ身体を丸め、謝罪を表明する体勢をとっていた。あわてて続けた。
「すいません…頭を上げて下さい、…邪竜?…ってあの黒いデカイ奴の事ですか…?」
頭を上げ、立ち上がったジークムントは口を開いた
「そうだ、あれが邪竜だ、しかし少年は何も知らないのか…?まさか…いやっ…あり得るか…?」
おや…あれはそんな常識的物体なのかな…?
「少年、少し質問したいのだが…」
「はい」
「一つ目だ、君には治癒の魔法の効果が全く無かったのだが、前からそうなのか?」
「魔法?え、魔法あるんですか…!マジかよやべぇな…」
食い気味にしかも素で返してしまった…
「魔法を知らない…なるほど…二つ目だ、何故あの場所に居たか説明は出来るか?」
どうやら俺は異世界転生をしたらしい
「いえ、全く分かりません…気がついたらあそこに」
「そうか、分かっ『ガチャッ!』」
いきなりドアが開かれる
「師匠!大変です!やっぱりアレ大当たりでしたよ!」(ゆさっ)
「えっデカっ…」
不味い本音が漏れた、少女の視線がこちらを向く、しかしあの女おっぱいがでか過ぎるぞ…服の上からでも双丘が揺れるのが分かるレベル
「うん?そうね…私はユリア15歳よ、今何か言った?」
「やっ大和悠真でひゅ、16歳でしゅ」
かんだ…終わった…釣られて年齢もしゃべってしまった、しかし可愛いぞ…ユリアたん…いや声が震えたんだけど、つーか15歳であの乳かい?良い匂いするんだけど…
「彼は怪我人だぞ、まだ、アレから1時間しか経っていないんだ、休ませてあげないと」
「まあいいや、師匠すぐ来てね!」『バタン』
えっあの爆発から1時間しか経ってないの?
「…用事ができたな、話はまたの機会にさせて貰うとしよう、ゆっくり休め、何かあったらそこにある通信ベルに話しかけてくれ、対応させてもらう」
「は…はい」
「その様子なら大丈夫そうだな、安心したぞ少年」
ジークムントの視線が下腹部に向かったのが分かった
「いえあのその」
見れば掛けられた毛布が盛り上がっていた