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香芝に帰ってきた二人はさっそく紀平に会いに行ったが会わせてはもらえなかった
「当り前じゃ、まず我に報告せい。紀平様にそうそう会えるものではないことは教えたであろう。
でどうだったのじゃ」
「良晏寺へは行ったが、巻物はなかった。多分坊主が持って行ったと思う」
「なかった? その坊主はどこに行ったのじゃ」
「知らん。小汚ねぇ、坊主で。水あめをなめていた。あいつが坊主を皆殺しにして、巻物を持っていたんだと思う」
「坊主が坊主をね、ややこしいなあ。わかった。紀平様には我から報告しておく。お主らは観光でもしてきたらよい」
そう言って紅姫は部屋から出て、すぐに紀平に連絡する。
それにしてもあ奴らとほぼ同時に巻物を狙っていたものが居たということはどういう事だ。
紅姫は何かしら勘ぐってしまう。
二人は紅姫に言われた通り、香芝の街を見て回っていた。
「しかし、こうも違うものかね」
今までこんな大きな街に来たことのない二人には見たことのないものばかりであった。
「こんな所で毎日どうやって暮らしているんだ」
明らかなお上りさんな二人に声をかけるものが一人
「おーい、そこの二人。ちょっと待ってくれ」
振り返ればそこには大男がいた
「「でかいな」」
二人は声をそろえる
「すまんな。お前らだろ、俺を助けてくれたのは」
そう言われても首を傾げる二人
「違うわよ。ただの盗人よ、あんたの剣を売ろうとしていたのよこいつら」
そこのにはいつぞやのメイドが居た
「おお、あんたはメイドさんじゃないか。ってことはあんたは道に倒れていた大男か」
「そうだそうだ、あの時は助かったよ。危うく死ぬところだった」
「何、良いてことよ。元気そうでよかった、じゃあな」
「ちょっと待ってくれよ、お礼をさしてくれ。折角会えたんだから」
「お礼って、ブラン。あんた何考えているよのよ。大体その剣取り戻すのにどれだけ苦労したかわかってんの」
「苦労ってキャロル。紀平様が手伝ってくれたからすぐに取り戻せたんじゃないか」
「それはそうだけど。あんた本当お人好しね」
なんだか言い合いをしている二人を放っておいていこうとする二人の肩をブランがギュッとにぎる
「待ってくれよ。お礼させてくれよ」
「わかったよ。で、お礼って何してくれるんだよ」
「うーん。どうしようキャロル」
「何も考えてなかったの。しょうがないわねファミレスでいいでしょ」
そう言ってつれてこられた大きな広間では大勢が食事をしていた
「なんでも好きなものを頼んでくれ、俺が払うから」
「おい、兄ちゃんこれはなんだ」
「わからん」
「「すげーな香芝」」
ファミレスというものに、二人はあんぐりと口を開けていた。
そしてファミレスがどういうものか理解してからは早かった。
そこからは、連れてきた二人があんぐりとしていた。
メニューの上から下までを頼んだかと思えば、頼んだものを全部平らげてしまったからだ。
この体にどうやって入っていくのかまったくわからない。
「ふう、食った食った。とりあえずうまかったな兄ちゃん」
「そうだな、よくわからんものだったけどうまかったよ。ごちそうさん。じゃあ行くか」
「もう倒れるんじゃないぞ」
そう言って店から出て行った二人。
取り残された二人は困っていた。
「キャロル、お前いくらもってる」
「いくらなんでもこんなにもってないわよ、私」
「俺、剣売って来るわ」
「馬鹿、それだけはダメだ」