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二人は姫に連れられ最上階までやってきた
ここに紀平は居る
「よくぞ参ったな、頭を上げよ」
二人はその圧倒的な威圧感になかなか頭を上げられずのいた。
「紀平様、もう少し抑えていただければと」
「おお、すまんの。最近は気の張ることが多くてな」
紀平がそういったとたんふっと身が軽くなったように感じた。
そうして誠之助は初めて自分の父親の顔を見た。
「お初にお目にかかります、霧ノ宮誠之助です」
「お初にお目にかかります。霧ノ宮家一六代当主、霧ノ宮藤次です」
「ふむ、藤次。お主わかっておるのか、当主を名乗ることの意味を」
「はい、前当主にも承諾いただいております」
「ふむ、そうか。相分かった。それでだ、戦はもう始まっておる。さっそく前線に行ってもらおうと思ったのだが
その前に、一つやってほしいことがある。まずはそれを頼む」
「「はい」」
こうして霧ノ宮兄弟と紀平との初めての面会は終わった。
「で、俺たちはどうするんだ兄ちゃん? 」
「うーん。どうやらこの良晏寺に行って巻物を貰ってくるみたいだな」
「良晏寺って何処にあんるんだ」
「良晏寺は愛純峠の先見える寺よ。今回は急ぎで行ってきなさいよ貴方達」
「急ぎなのか? 」
「いや、そんなことはどこもにも書いてないが」
「書いてなくてもそうなのよ。貴方達やる気あるの? 」
「よい、岬。お主ら、その命令が誰から出ているのか分かっておらんのか。
それにいちいち急ぎだなんのと書いたりはせぬ。戦は始まっておるのじゃ、理解せい」
「わかった」
やけに物分かりのいい。つねにそうしておれば可愛いのに。
「どうやって行くんだ」
「地図をやる。それを見れば大丈夫じゃろう」
「そうか、じゃあ早く地図をくれ。さっさと終わらしてしまおう兄ちゃん」
「そうだな、巻物とって来るだけだしな」
「お主らな。まったく。岬、はよ地図を渡してしまえ。」
そう言って渡された地図をみて藤次は思う、山賊は出るのか?