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霧ノ宮それは暗殺を生業としている人々である。
須衣の山深くに彼らは住んでいる。
そこはとても霧が濃く出るような場所で人を寄せ付けないようになっていた
そもそもこんな所に入って来て出ていける人間などいない。
その日も濃い霧が出ていた。
そんな中を歩く母と子。
「母上、約束は守ってくださいよ。」
「かまわないけど、本当にいいの? 」
「もちろんです」
親子が約束を交わす中、老人と子供がそこに合流する
「あ、兄ちゃん。それ新しいのか? 」
「ああ、やっと出来たんだ。じじいも合格だって言ってくれた」
「まぁ、そこそこじゃの。儂の作ったものと比べればまだまだじゃが。
そこらへんのポンコツに比べればいい出来じゃ。使っても問題あるまい」
「これを誠之助が作ったの。すごいじゃない!」
兄が作った刀をみんなで褒め合う姿は親子そのもの
「じゃあこれを? 」
「いや、それは駄目だってじじいが。だからこっちのを持って行くことにした」
それは明らかに名刀とわかるそれ。まぁそれも当然、この老人は刀鍛冶としては知らぬものは居ないほどの名工。
「ほれ、藤次。お前もこれを持っていけ。その刀ももう寿命じゃ」
「おお、そうなのか。爺さんがそういうのであればそうするよ」
「ありがとう、宮」
「かまわんよ。儂はその為に居るんじゃから」
兄弟はお互いの刀を見せびらかす。
「ところで宮、香芝の方には? 」
「ああ大丈夫ですじゃ。きっちり手紙は送っておいた。心配せんでもよい」
「二人とも準備は良い。では、行ってきななさい。そんなに急がなくてもいいからね」
「「行って参ります、母上」」
兄弟二人はそう言って母と別れた。