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霧ノ宮  作者: クサナギカナデ
3/16

3

「近くで見るとますます高いな」


 誠之助は塔を見上げてしみじみと言う。


「なんだ貴様らは」

 

 門番らしき奴が訪ねてくる。

 

「ああ、ちょっと待ってくれよ、確かここに入れてあったはずなんだが」


 兄が持ち物の中をかき回す。

 

「おお。あったあった。これを見せればいいってじじいが言ってたんだ。ほら、これ」


「なんだ、ちょっとかせ。うん?ちょっとまってろよ」


「はいはい、待ってますよ」


 待つこと数分。飛び出してきたのは明らかに門番よりも位そうな奴で

 

「お待ちしておりました。さあさあどうぞ、こちらへ。姫さまがお待ちしております。」


 そう言って出てきたやつの後ろをついていくと、さっきの門番が納得いかなそうにこちらを見ていた。

 

「道中なにかありましたか?予定していたよりも時間がかかったようですが」


「えっ、そうなの。歩いてきたからちょっと遅れた」


「須衣からですか? 」


「なんだよ兄ちゃん、やっぱり駆けた方がよかったんじゃないか? 」


「そうなのか。母上がのらりくらりでいいというので、急ぎではないと思ったんだが、すまん」


「母上が言ったのなら仕方がないな」


「ああそうだ。俺たちが悪い」



「着きました。ここでしばらくお待ちください」


 さっきの奴が出ていくと、今度は女が入ってきた。


「姫様のおなーりー」


 そう言って出てきた娘は真っ赤な着物を纏っていた。

 

「やっと来たか、遅いぞお主ら。我、めちゃくちゃあせったのじゃ、もう来ないんじゃないかって。

約束していた日からどれだけ立っておるとおもっておる。二十日じゃ二十日も遅れるってどういうこと?

 もうパニックじゃったよ我。こんな事初めてじゃもの。何べん手紙を読み直したことか。

 もしかして途中で何かあったのではないかと思ったりして。岬を出そうかとも考えたが、行き違いになってもあれだし。

出したら出したで失礼になっても困るし。

 なんなのお主ら。我のこと馬鹿にしてるの? 」


 会ってそうそう、まくし立ててくる姫様にさすがの二人も怯む。

 

「悪かったよ。道すがらいろいろあったんだよ」


「いろいろってなんじゃ、我よりも優先することがこの世にあるとでも」


「そりゃあるだろうが」


「貴様! 姫様より大切なものがこの世にあるだと! 」


 さっき入って来た女が殺気まるだしで刀を抜こうとしていた

 それに反応して弟が切りかかろうした瞬間、ドンと音が鳴る

 

「やめておけ、そこまでだ。俺たちが悪いんだ」


「わかったよ。兄ちゃん。俺たちが悪かったよ」


「すまなかったな姫さん。あんたも。」


「うむ。もうよい。そちらも疲れっておるじゃろう。今日はもう休め、また明日じゃ霧ノ宮兄弟」



 そう言って姫様は部屋から出ていった

 

 

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