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三日後、すっかり回復した誠之助は荷路夫本陣紀平と対峙していた
圧倒的な迫力に誠之助は身震いしていた。
世の中にこんな人間がいるとは。
果たして俺が対峙しているのは人間なのかさえ疑ってしまえる程の迫力だった。
「なるほど、まだ自分の力を上手く使えないようだな。
こればかりは自分でものにしないとどうしようもないからな。
仕方ない、一回死んで来い」
そう言って連れて来れられた場所には見知らぬ四人。
男三人、女一人という組み合わせであった。
「お前ら、ちょっと来い」
集めれた四人。
「誠之助、お前はこれからこの四人と殺し合え。いいな? 」
いいなと言われても、もうやるしかない状況だ。
そもそも返事をする間もなく斬りかかって来ている。
「遅えよ」
とりあえず距離を取ろうと動けば、
「ふん!」
待ち構えている奴がいる。ずっしりと重たい剣だ。
弾いて後ろに下がれば
「いらっしゃーい」
と、鋭い一刺し。
一対三は流石に分が悪いな。
牽制の為に一太刀放つが簡単に躱されてしまう。
もう一人は刀も抜かず、面倒臭そうにこちらを見ていた。
自分よりも格上が三人がかりでこられれば、確実に死ぬな。
こういう場合、藤次はどうしていたかな
ふとそんなことを考え、藤次の動きを思い出す。
身体が勝手に動き出す
そうだった、そうだった距離が大事なんだ
そうもっと近くに!
一気にに距離を縮める。
「なんだ? 」
近づけば他の奴は斬りかかって来ない。
はずだった。
ぞわっと背後からの悪寒に、頭の中で斬られる自分が想像できた。
「まったく何をやって居るのじゃ、久しぶりに来たと言うのに。
さっさと儂を呼べ、さすれば
何? 儂の名か 儂の名は」
「紫藤蝶羅 」
その名を呼んだ瞬間、誠之助の世界は変わった