アサリについての閑話がありますけど、なにか?
屋根瓦に沈む真っ白なユーグレナを眺めながら、彼はつぶやきました。
「今日も、いい日だったや」
ここで、彼のことをすこし紹介しておきましょう。まず、彼の住む町について。この町は、デロス島の南へ九日船を漕ぎつづけて疲れて波間に飲まれるといつの間にか時空を越えてたどり着くという根も葉もない噂の町で、道端という道端には、ハムストリングスの低木がきれいに並べられているのです。
ところで、私はアサリのお味噌汁が好きなんですが、アサリって最高にセクシーじゃありません? だからね、思うのです。莫大なる不満にうちひしがれそうになったなら、アサリを模写すればいいんじゃないかしらって。
そういえば、二日酔いにはシジミのお味噌汁が効くって聞いたけど、あれってほんとかしら。
閑話休題、彼のことです。彼は、郵便局に勤めるカモノハシの長兄で、隣町のジャネットの愛人です。そして、この隣町のジャネットのいちばんの女友達こそ、この町に住むサラセニア火山隊長なのです。彼女は火山隊長に昇進してからというもの、得意気な顔をして、いつもタピオカドリンクを頬張っているのです。
そんな彼女の日常を、こんなふうに淡々と語っていく作品になると思います。よろしくね。