聖女は捨てました
ー失敗した。
ちゃんと考えずに行動したせいで、
やっかいそうな男と会ってしまった。
指輪がいかにも貴族の物だったのに、寝起きの頭は働いてくれなかったようだ。
なんとか男から離れて、下町の大通りに出る。
あの男はやっかいな臭いがするから、
このまま会わないようにさっさと用事を済ませて帰ろう。
万が一男が関わって来たら、記憶操作して蹴飛ばしておくことに決めた。
前世のクソ王族に似ているのが悪いのだ。
11回の前世は治癒魔法とか強化とか、いかにもな聖女を演じていたが、今回はそんなものかなぐり捨てて攻撃特化しました。
世界には階級が存在する。階級とは、魔力の量と扱う魔力の位を示す。
第一階級
平民が扱う火を起こすなどの 生活魔力
第二階級
準貴族が扱う生活魔法より規模が大きい
簡易魔法
第三階級
貴族が扱う魔法。中級魔法。
第四階級
王族や上位貴族が扱う魔法。上位魔法。
第五階級
極大魔法や爆裂魔法。
第六階級
英雄、賢者レベル。王家の魔法。
第七階級
エルフなどの他種族が扱う古代魔法。
第八階級
天使や悪魔、鬼が扱う世界を左右する魔法
ただし、めったに彼らは地上に来ない。
リゼは第八階級に属している。聖女は弱いイメージ、守られる存在だったのは昔の話。
守られる聖女は11回も殺されていますが・・・。
神の加護を受ける人間が普通なわけはない。
つまり、王族とか変なやつが来ようと、木っ端微塵にできるということだ。
本とかで聖女はか弱いなんて書いたやつはこっそり記憶操作して踏んづけておいた。
やはり、ストレスはすぐ発散すべきだと思う。
そして見た目も美しい容姿を毎度授かっているから、八百屋さんとか野菜まけてくれる。
無駄に美しいせいでゴロツキに外に出る度に絡まれるから、殴っているけど。
二度とそんな気が起きないように踏んづけておくことも忘れない。
リゼを聖女だと知っているのは、下町の司祭だけだ。
彼は高齢だが生まれたときから気にかけてくれている。
もちろん、周りにましてや王族にはしられてないが。
教会に行くのは彼に、アモンに会いに行くためでもある。
新たな司祭が、もしくは司教が入るらしいがとうでもいいことだ。
買い物をいつものように安く済ませて、教会へ足を向けた。