第5話、おサルな、夜。
自分の異変に気がついた、健一君。ウッカリ悪友の前田敏樹に話してしまい、更に主将の佐竹一成が、一口乗せろと、加わってくる。何やら嵐の予感である。
堀田健一は、モヤモヤしていた。
此の一週間、柔道の練習の後で、例の研究会の活動へと顔を出して、更に汗を流す日々が続いていた。
汗を流すと言うよりも、汗を搾り取られる!と言う感じだった。
そして疲れが残らないように、マッサージやら栄養補給やらと、ケアしてくれるのだが。
肝心のケアには、ノータッチなのである。
健一は18歳の、健康な男子学生である。なのに、同世代の綺麗な女の子にちやほやされているのに、健一のお宝のリアクションが薄いのである。
特に遠藤真美といるときなどは、聖人君子の様に、セクシュアルな衝動が湧かないのである。
しかも、その時は其を異常とも思わないのだ。
そしてモヤモヤが最高潮に達するのは、決まって寝ようとする寸前にそれが爆発する。
それまで聖人君子の一寸法師が、カール大帝のパラディンへと、変身する。
いきり立って、天を突き。
行き場を無くした欲望が、怒涛の勢いで、放出せよと叫びまくる。
しかも、一回や二回で収まらない。
五、六位の大放出で、やっと落ち着きのだ。
そんな話を、悪友である前田敏樹にウッカリ話してしまったから、話しが変な方向に、転がりだす。
前田敏樹は前々から、遠藤真美のところに顔を出している、健一を羨ましく思っていた。
そこで健一に、その研究会に自分も入会出来るように、紹介しろ!と、頼み込んだ。
頼むと言うよりも、一種脅迫である。
断るなら、あんな事やこんな事を、ばらすぞ!と、必死になっている敏樹を見るのが初めてだったので、何だか嬉しくなってしまったのだ。
何と言っても、異性関係で、敏樹先を行くことが来るなんて、初めてだったから、了解の返事をしてしまった。
そんな話を道場の掃除の最中に、こそこそしていたら、
俺にもその話、一口乗せろや!
と、野太い声が飛んできた。
二人が振り替えると、其処には主将の佐竹一成が仁王立ちで凄んでいた。
何故か話が、色っぽくなりそうでならない。話に女の子が登場する場面が少ない、つうか、無い。
まぁ、これからだな。