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第4話「この日の話をすると彼女はとたんに笑みを浮かべる。」

 この見せる行為において注意すべき事は3つ。

 ・この集団で天職なしはありえるのか。

 ・ステータスの数値が低いかどうか。

 ・【福音】というのは通常でるものなのか。


 確認方法は視線を追って注視すれば出来ないことじゃない。

 そして今確認作業を行っているのは国王と王女。見せるのは王女でなくてはならない。


 昔から美人を警戒していたお陰か美人限定で嘘を付いてるかやある程度考えている事が分かる様に幟はなっていた。それを利用しない手はないし、何よりそれを抜きにしても国王は考えている事一切を表情で悟る事が出来なかったからだ。


 そして、順番になり見せる相手となったのは───王女だ。


 ステータスプレートを渡すと王女はまず、天職がないのを見ると一瞬驚きの表情を浮かべ幟の方を見た。

 これに対し幟は困った様な愛想笑いを返す。

 王女は書記をしていた者に二三言告げるとステータスの数値に目をやる。反応は、


(『思ったより高くてびっくりした』って感じだな。)

 ひとまず安心することが出来るようだ。


 そして最後に【福音】。

 これに関しては仕掛けをしていた。

(っていっても簡単なトリックだけどな。)


 他の表示の反応を見る為に【福音】は最後に見られる必要があった。

 まず、並んでいる時に確認したが王女は金属板(ステータスプレート)を両手で受け取っていた。

 此処で王女の指で【福音】の欄が隠れる様に渡す必要がある。


 最初に金属板(ステータスプレート)を相手側に向け、自分は上の方を親指と中指で持ち、人差し指で王女の視界から【福音】の欄を隠しながら渡す。ここが一番難しくて重要だが、王女が手を出した時に人差し指を邪魔にならない様に外しながら入れ替わる様にピッタリと王女の指を【福音】の欄に当てなければならない。この時注意すべきなのは金属板(ステータスプレート)を王女が取りやすい位置で渡す必要があるという事だ。もし作業に集中するあまり、王女から近すぎたり遠すぎたりすると指をずらされる可能性があるからだ。

 しかし、流石に最後の欄まで目を通すと指が文字を隠しているのはバレてしまう。


 そして王女の反応はというと、

 バッ

 急に立ち上がった。


(うーわ、分かりやすー。)

「巣籠守という方はこちらにいらっしゃいますか!」

 王女が急に立ち上がって発言した事により場がざわめき始める。

(はい、終わったー俺の二年と数日の努力が一瞬で終わったー。)


「はい、私ですが。」

 ざわめきの中、手を上げながら守が前へとやってくる。


(あいつ…。)

 守はまるで「どうして私呼ばれたの?」とでも言う様に前に出てきたが、幟から見れば態とらし過ぎる態度だった。


「どうしたキャレーよ。」

 国王が王女に聞くと幟のステータスプレートを国王に見せる。

 すると国王は一瞬目を見開くと幟と守を交互に見る。


「巣籠守さん、あなたのステータスプレートを見せて頂いても?」

「はい。」

 王女に促されるとまるで待っていたかの様に金属板(ステータスプレート)を渡す。

(こいつ…この為に今まで列に並ばずにいたのかよ…。)


 名前 :巣籠守

 天職 :無限剣士

 レベル:1

 種族 :人間

 HP :1500/1500

 MP :550/550

 攻撃力:120

 防御力:80

 体力 :70

 筋力 :50

 敏捷力:60

 精密力:80

 精神力:500

 知力 :100

【スキル】

 剣術Lv1

 念動操作Lv1

 成長速度大幅上昇Lv1

 言語翻訳

【福音】

 魂の絆結(羽鳥幟)


(何だよ…『無限剣士』って。てかこいつも精神力高いな……まあ納得ちゃっ納得だが。)


 国王と王女が側近と思われる者達と集まって話をしだした。

 少しして終わったのか全員がこちらを向いて国王が話始めた。


「羽鳥幟殿、巣籠守殿、あなた方はお互いの伴侶であらせられるか?」

(予想の斜め上いったなー。)

 国王の突然の質問に室内の生徒達の喧騒が激しくなる。


「…いえ、伴侶どころかろくに会話した事すらありませんが。」

 隣にいる人物が余計な事を言う前に否定の言葉を言う。同時に生徒達へのアピールも入っている。


「そうか…。しかしこの『福音』がもたらされたという事は運命であろう。」

「国王様、それでこの『福音』と言うのは何なのでしょうか?」

(こいつ…俺の気を知ってて嬉々として聞いてやがる…。)


「ふむ、この『福音』というのはの数十年に一人現れるかどうかという特殊な物でな、今は亡き我らが神からの恩恵と言われておる。」

(数十年って…わざわざ俺とコイツに贈らなくても…。)

「それでこの『魂の絆結』というのは少々特殊でな、長い我らの人類史でも一つしか事例がない。曰く、この『恩恵』に記載されている者が汝の運命の者である。曰く、二人は例え生涯を終えても絆で繋がっており来世でも巡り会うだろう。曰く、お互いが近くにいればいる程お互いの能力を向上させる。曰く、二人は魂を通して相手の状態が解る。まあ、言い伝えみたいな物じゃからどこまで本当か分からんがの。」


 国王がそう言うと喧騒が更に騒がしくなり、同時に男子からと思われる嫉妬の視線が送られてくる。

 何しろ守は我が校ではアイドル的存在である。それがこんな男(最悪知らない人もいる)が運命の相手だと言われれば面白くないのだろう。


「そうなん…ですか。運命の相手…」

 そう言いながら此方を向く守。

(オイコラ、何が可笑しいんだお前。あん?)

 此方を見詰める守の視線から可笑しくて仕方ないといった感情を感じとり、キレそうになる。しかし周りからはただたんに幟を見詰めているだけに見えているだろうが。


 そして次の言葉で羽鳥幟の未来は完全に閉ざされた。



「羽鳥くん…私達付き合ってみない?」

前回の予告で死すとか言ったけどまだ完全に死んでないね!

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『命は皆、平等とかなんとか言ってるけど主観入るから平等ではないよね。』
もよろしくお願いいたします。
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