第七話 猫耳と隣人
転生3日目の朝
昨日、魔法を使用したことによりいろいろと確認できたことがある。
寝たらしっかりMPが全回復していた。
検索結果にもあった通り、睡眠によりMPが回復するようだ。
その他にも重要なことが2つある。
(黒魔術師Ⅰに炎のフレイムⅠがスキル欄に記載されているな)
スキルというものはてっきり、どこかの神殿やそこらで職業を決めて習得していくものかと思っていた。
(ゲームによる先入観かな…あはは)
(他には魔法関係のステータスがあがっていたな)
MP、魔力、魔法攻撃力、魔法防御力がわずかながら上昇していた。
(これが加護によるステータス上昇かな?鍛えることでステータスがあがるのはおいしいな)
検索によればレベルアップ時にもステータスが上昇するようだが、そちらが一般的なあがり方だろう。
(魔物とか倒さなくていいなら、家の中でも鍛えられて地力を底上げできそうだな)
(とりあえず武術はまだ無理だけど、魔術ならこっそり……ふふふ)
「…ーーー。ーーーーー……」
(今日はよく笑うわね。昨日は顔真っ青にしてたけど大丈夫そうね)
綾人は自分の将来性への笑みを隠しきれず、不適に笑うのをリーナに確認されていた。
——ーーー
転生から1週間が経過した。
綾人は暇があれば毎日…いや赤ん坊は毎日、いつでも暇だ。
四六時中、家族の目を盗んでは魔法の鍛錬に語学の勉強に励んでいた。
魔法の上達はもちろん、ここ1週間でこの世界の言語にもずいぶん慣れてきた。
この世界の言語はいくつかある。
綾人達の人族の使う言語は公用語として一般的に多く使用されている。
(しかし…異世界らしいな)
そう思ったのには理由がある。
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[ 種族 ]検索
種族とは、同じ部類に属するもの。
この世界においては、大きく分類して3種類の種族が存在する。
人族
約7割の人口を占める種族で、ヌルカ地方以外の大部分に生息している。
亜人種族
約2割の人口を占める種族で、亜人種族についてはさらに細かく分類される。
(獣人族・エルフ族・ドワーフ族・妖精族・龍族・神獣族)
魔族
約1割の人口を占める種族で、主にヌルカ地方に生息している。
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この世界には様々な種族が存在するのである。
(…猫耳かな?猫耳だよね?期待して良いんだよね?)
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綾人は前世、文化祭で猫耳をつけて接客をする風香を目撃し、猫耳の破壊力を思い知ったのだ。
(風香姉はそのままでも可愛かったけどさ…可愛い子の猫耳とか反則だろ)
猫耳メイド喫茶をしていた風香のクラスで、コーラとオムライスを注文しようと風香を呼んだ。
『ご注文は何になさいますか?…ご主人様』
少し恥ずかしげに顔を赤くした風香は、席に着いている綾人の隣で首をかしげて声をかけてきた。
(う…可愛い風香姉に猫耳でも凶器なのに、そんな恥ずかしげに…しかも首をかしげてとか…そんなのやっちゃダメだろ)
綺麗な長い黒髪に猫耳…豊満なボディーを隠しきれないメイド服…長いメイド服のスカートは清楚な風香にはぴったりだ。
(ミニスカメイド服じゃないのが逆に良い!この衣装を用意した人はよくわかってる!)
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前世のことを思い出す綾人。
(風香姉…大丈夫だったかな?…会いたいな。…奈々も)
忘れてないよ!とばかりに付け加えた年下の幼馴染み。
(おっと余計なことを考えてしまったな…でも確認は必要だよね…確認、か・く・に・ん)
ワクワク、ドキドキしながらステータス画面の検索機能を立ち上げる。
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[ 獣人族 特徴 ]検索
外見的特徴
人族のフォルムに、その種族それぞれの耳と尻尾があるのが特徴である。
身体的特徴
物理攻撃・防御、俊敏性に優れているのが特徴である。
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そこには綾人の期待を裏切らない結果が表示されていた。
(……!!っうし!)
(早くあってみたいけど、なかなか会えないんだろうなぁ)
綾人がそう思うのにも理由があった。
ここ1週間、リーナやロドフに抱えられて外に出る機会があったのだが…
そこに広がっていたのは…
『緑豊かな平原に馬が数頭、見かけない作りの家屋が見える範囲で2軒』
現世で事故に遭う日の朝…綾人が夢に見た光景だったのだ。
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ツェット家の近所には家が2軒。
近所というには離れすぎたご近所さんだ。
そこに住んでいたのは人族のみ。
嬉しかったのは、僕と同い年くらいの女の子が居たことだ。
大人達が話しているのを聞いていると…
(名前は…サーラかな?赤い髪にユリカ姉さんと同じ赤い瞳だ)
綾人の異世界での初めての友達は
『サーラ・クリケット・シュガー』
瞳のおっきな女の子だった。
家が近所ということもあり、家族ぐるみの付き合いをしていたシュガー家は、サーラに両親の3人暮らしだ。
サーラの家に遊びに行くと、決まってサーラ父は斧を振りかぶり、薪を割っている。
サーラの父もマッチョだ。ロドフと比べてもさらにでかい図体は190cmを超えているんじゃないだろうか?
それに比べてサーラの母は、スレンダーな細い身体をしており対照的であった。
ツェット家とシュガー家は非常に仲が良い感じであった。
ただのご近所さんっていう訳ではない、長年の付き合いといった感じがした。
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[ シュガー家 ]検索
シュガー家
父=ガウル・クリケット・シュガー
母=ローラ・クリケット・シュガー
長女=サーラ・クリケット・シュガー
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