第五話 武術・魔術の加護
誕生日パーティーを終えた綾人の姿はお風呂場にあった。
綾人は1歳を迎えたばかりの赤ちゃんだ…
一人でお風呂に入れるはずは無い…もちろん誰かと一緒にだ。
(…なんでお前なんだよ!ロドフゥゥゥゥゥゥ!)
「あうっ!(ちっ)」
リーナやユリカと一緒にお風呂と甘い夢を抱いていた綾人はここにはもう居ない。
今は筋肉隆々の男と湯船で一緒だ。
お風呂場は暖かく一日の疲れを落とすところのはずが、綾人の精神を削って行った。
放心状態の綾人は、父のロドフに抱えられ、脱衣所に居た母のリーナに受け渡され身体の水滴を綺麗に拭き取られていた。
(よかったー、この世界にもお風呂があったんだな。しかし、魔法でお湯を溜めるとは魔法様様だな。)
リーナに抱えられたまま、お風呂の準備を見ていた綾人。
リーナが呪文を唱えたとたんにお湯が何も無い空間から現れ、お風呂場に溜まっていく。
(魔法は便利だが、魔法の使えない人はどうするんだ?火でわかすのかな?時間のあるときに魔法についていろいろと調べた方が良さそうだな)
転生から1日目が終わっていった。
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「あうあーー(朝かー)」
窓から光が溢れ、鳥の鳴き声が聞こえる。
転生2日目の朝を迎えた。
(昨日はすぐに寝ちゃったからなぁ…どこから調べていくか)
何から調べていくか考えていると、窓の外から声が聞こえる。
「ー!ー!ー!」
『カン、キン、カツ』
「ー…ー!…!」
どうやら外から聞こえる声の主は、ロドフとユリカのようだ。
声と一緒に何かと何かが打つかり合うような鈍い音なども聞こえてくる。
(もしかしたら…武術の稽古か?そういえば昨日も木剣を持ってたなー。)
外では、父ロドフと姉ユリカが朝の薄暗い中からぶっ通しで剣術の稽古をしていたのだった。
(姉さん…まだ4歳だったよな。何歳から始めてるんだ?そういえば生傷も多かったし、細い割には身体もしっかりしていたような…)
このままでは姉さんが脳筋になってしまうと心配しつつ調べごとを始める。
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武術には様々なジョブが存在する。
剣術士(片手剣)
斧術士(両手斧)
槍術士(両手槍)
格闘士(拳)
双剣士(双剣)
弓術士(弓)
各武術に流派が存在し、使用するスキルはその流派によって違う場合がある。
また各武術にはレベルが存在し、1〜10の段階で示される。
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魔術には3つのジョブが存在する。
黒魔術師(杖・槍)
赤魔術師(杖・槍)
白魔術師(杖・槍)
黒・赤・白魔術師は使用出来る魔法がそれぞれ異なる。
黒=攻撃魔法、召還魔法
赤=補助魔法、付与魔法
白=回復魔法、結界魔法
魔法には適正が大きく関わるため、習得難易度も変わってくる。
また各魔法にはレベルが存在し、1〜10の段階で示される。
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武術・魔術について簡単に調べたところで、疑問が残った。
(加護は…僕の武術の加護と魔術の加護はどういった効果なんだ?)
[ 武術の加護 魔術の加護 ]検索
加護
神々に愛されしもの『アートラス神』により授けられし力。
生後5年経過した後、神殿にて誰しもが授けられるもの。
種類は様々で人の数ほどとも言われている。
加護にレベルの存在するものもあり、1〜10の段階で示される。
武術の加護
武術において各術士の上達速度にプラス補正がかかる。
HP、ST、筋力、物理攻撃力、物理防御力にプラス補正がかかる。
レベルアップに関わらず、訓練によっても上記のステータスが上昇する。
魔術の加護
魔術において各術師の上達速度にプラス補正がかかる。
MP、魔力、魔法攻撃力、魔法防御力にプラス補正がかかる。
レベルアップに関わらず、訓練によっても上記のステータスが上昇する。
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転生の恩恵だろうか、すでに1歳にて加護を3つも受けている綾人。
(なるほど、武術・魔術の加護は各プラス補正の恩恵を受けられるのか。これは良い加護だろう。出来る限り、いろいろなジョブを取って最強を目指していきたい)
ここで綾人の中に野望が芽生えていく。
(さっそくだけど、魔法ってどうやって使うんだ?せっかく魔法がある世界だから、使ってみたい。まだ使えないのかな?)
こんな時の為の加護だ。
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魔法・魔術の使い方
体内に流れる魔力を源に魔法・魔術に変換する。
体内に流れる血=魔力のように考えると良い。
魔力=血を体内から押し出すようにイメージをし、脳内で引き起こしたい現象をイメージする。
魔力には種族差・個体差がある。
魔力が少なくなってしまうと身体の動きが鈍くなってきてしまい、枯渇してしまうと命を失う。
失ってしまった魔力は、休息を取ることにより回復する。
休息の質により回復速度が異なる。
また回復アイテムなどを使用し、補給することも可能である。
MP、魔力は基本的にレベルアップにより値が上昇する。
※例外有り
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いよいよ魔法に挑戦だ!
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