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知識の宝庫〜異世界で上を目指す方法〜  作者: あやた
第2章 学園〜小等部〜
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第四十六話 赤柱

フロア全体に大きな衝撃が走る。


足下から揺れ、湖の水面も激しく揺れている。


「ハナビ!影を戻せ!」


「わかった!」


ハナビは本体に意識を戻す。


すぐさま立ち上がり、目を見開くハナビ。


「向こうで何が起きた!」


ジェルマンが周囲を警戒しつつ叫んだ。


「何も無かった!ただ、赤い柱に触れただけだ」


実際に島にはモンスターの影は1つも無かった。


あったのは、生い茂る木々と赤い柱だけであった。


ハナビは本当に赤い柱に触れただけであった。


そうであるならばあの赤い柱がこの現象を引き起こしたのか?


それとも赤い柱に触れると作動するトラップなのか?


その赤い2本の柱は手を回しても届かない程太い。


大人2人が手を繋いでやっと届くような太さだ。


上方には2本の柱を貫くように1本のこれまた赤い柱が突き刺さっている。


だがこの柱は丸くはない。


長方形の断面をした家屋に使われる梁のような形をしている。


さらにその少し上には、赤い柱が2本の柱に支えられるように乗っている。


ハナビは暗くて気付かなかったが、一番上の柱は赤色と黒色で構成されている。


なにか変わった形状の柱に神秘的な何かを感じる。


「何か来るかもしれない!各自周囲に気配を配れ!」


「湖には特に警戒するんだ!」


暗闇の中の湖は、火の玉の明かりを反射させ中の様子は全く見えない。


黒光りする水面は振動により激しく波打っている。


見通しの効かない水中に、水面は波打ち、いつ何が来るか全く予想がつかない。


ーピキ…ピキピキ…


岩に亀裂の入る小さな音。


フロアを襲う振動に石柱が耐えきれなくなっていた。


その兆候が獣人族の2人の耳に微かに聞こえてくる。


「上にも注意して!石柱が落ちてくるかも!」


すかさず警告を発するリリー。


その時、天井に無数に垂れ下がっていた石柱が襲いかかってきた。


「水中に逃げろ!」


さほど高くない天井から無数の石柱の雨。


数百キロはある円柱状の石柱…人間の命を奪うのには殺傷力は申し分無いだろう。


さすがのアヤトでもメンバー全員を守りきるのは不可能だ。


細い刀や剣では到底破壊は不可能。


力自慢の獣人族が、渾身の力を込めても逆に拳が壊れてしまうだろう。


避けきるにしても狭いわずかな陸地。


石柱の落ちてこない場所などは無い。


幸いなことに、水際が近いこの陸地。


水中に入れば、速度の低下した石柱をかいくぐることなら可能であろう。


一斉に石柱を避けながら湖に飛び込む『知識の宝庫』のメンバー達。


これが、この階層を支配するものの罠である。



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