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知識の宝庫〜異世界で上を目指す方法〜  作者: あやた
第2章 学園〜小等部〜
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第四十五話 浮島

澄み切った湖には小島が浮かんでいる。


常闇の中の木々が火の玉に照らされるとその全容が露となる。


さほど広くない小島の外周は200〜300m程だろうか。


島は楕円状に広がっており、2つの瘤で小さな山が出来上がっている。


階層主の支配する空間にはポツンとその小島だけが浮かんでいる。


天井には鍾乳石の様なつらら状の石柱が垂れ下がっている。


それほど高さは無い空間から、湖の中に問題の生物が潜んでいると思わせる。


その予想は的中している。


だが一向に生物はおろか、何も起きない空間。


重厚な扉を押し開けて入ってからは既に20分が経過していた。


「何にも起きないわね…」


5階層での奇襲から警戒を怠らないサーラがぽつりと呟く。


『知識の宝庫』のメンバーは扉のある小さな陸地に立っていた。


このフロアの面積は湖が8割を占めている。


残りはほぼ小島の面積だ。


「ここの陸地は調べ尽くしたけど、何もおかしなところは無いわね」


ルナが壁を手の甲で軽く叩いている。


獣人族の主要武器は昔からナックルなど格闘士に適したものが多い。


そんなナックルを装備したルナが少し力を込めて壁を叩く。


「壁も硬くて壊れないし、仕掛けもなし」


「やっぱりこの水の中か、あの浮島か…」


メンバー全員がフロアに入ったときから目星をつけていた。


だがあからさまに怪しすぎる。


確実にあそこに足を踏み入れれば、何かに襲われるであろう。


「わかっていても行かないと何も進まないな」


アヤトは決心してゆっくりと前に進む。


「私が確認してこよう」


そうハナビがアヤトを制して前に出る。


「いや、これはかなり危険が伴う」


アヤトはハナビの肩に手をかけると、黒暗暗コクアンアンな人形が現れる。


「私の影だ。これならば危険を伴わず調べることが出来る」


ハナビの影の加護『影法師』を発動したのである。


影法師の能力を簡単に説明するハナビによると、影法師は視界を共有することが可能とのこと。


しかし、まだ扱いに慣れないハナビは自身の目を瞑らないと正確には確認できない。


本体が無防備になってしまうため、守る人も必要となってくる。


これがまだ戦闘に生かしきれない理由である。


「ということなので、よろしく頼む」


そう言うとハナビは静かに座り込み、影を操ることに集中する。


重さのまったく無い影。


足音を立てること無く、湖の中に潜り込む。


ゆっくりと浮上してきた影が湖から頭を出す。


波音をたてないよう泳ぎ始める影はまるで古式泳法のようだ。


特徴的な泳ぎ方で静かに進む影はあっという間に小島にたどり着く。


「とりあえず小島までは行けたか…」


ジェルマンが周囲を警戒しながら呟く。


「…木で暗闇が多くて視界が悪い」


「わかった。もう少し明かりを増やすよ」


火球の明かりが島を更に照らしている。


アヤト達の居る陸地からは小島は見えてはいるが、相変わらず木々が生い茂り全容は見えないままだ。


影が木々の中に消えていく…


「…赤い柱が2本立っている」


ハナビの小さな口から、影の見えている光景が説明される。


「…モンスターは居ないみたい、島もやっぱりそこまで広くない」


「他には何か無いか?」


ハナビの報告にジェルマンが問いかける。


「うん…赤い柱があるだけ」


「その柱ってどんな感じのものなの?」


リリーが島の方を見つめている。


「うーん。そこまで高くない円柱状の柱が2本離れて立っている」


「それに…その2本の柱も上で繋がっている」


「繋がっている?」


ハナビが表現しづらそうに質問に答えていく。


「柱の上にも2本の赤い柱があって繋がっているようだ」


「建物か何か?」


サーラにはハナビの見えている光景が想像つかないようである。


「いや、屋根は無いし…不思議な形だ」


「その柱に何か仕掛けはあるか?」


ジェルマンが謎の柱を調べるようにハナビに指示を出す。


「…今から調べる」


その時であった。


ハナビの見えている先の光景では、影が赤い柱に触れたまさにその時だった。


ーズン!!!



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