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知識の宝庫〜異世界で上を目指す方法〜  作者: あやた
第2章 学園〜小等部〜
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第三十九話 階層主

ダンジョンを進む人影は前後に分かれて進んでいる。


後方を歩いているのは浮かない表情の男達だ。


「なぁ、ジェルマン…」


「なんだ?アヤト…」


「ダンジョン探索って僕とジェルマンの2人で良かったんじゃないか?」


前を歩いている影から距離を空けながら顔を見合わす。


「…それを言わないでくれ。俺もあの時メンバーを増やしたことを後悔している」


現在4階層…隊列なんてあってないようなものだ。


我先にと出てきたモンスターを駆逐していく。


出現モンスターの種類は5種類


『エレメントスライム』

浮遊状態で様々な形状に変化できるゲル状のモンスター。

自身の身体を飛ばしてダメージを与える。


『ゴブリン』

集団で行動することが多く、様々な武器を使用する。


『メイジゴブリン』

集団で行動することが多く、様々な魔法攻撃を得意とする。


『アーチャーゴブリン』

集団で行動することが多く、遠距離での攻撃を得意とする。


『オーク』

集団で行動し、配下にゴブリンを従えることが多い。


4階層で出現してきたモンスターは、ある程度組織的に攻撃を仕掛けて来た。


しかし、単体のレベルが低過ぎて相手にならなかった。


数は多かった為、討伐証明の部位はある程度確保できた。


ここで引き返してもある程度の収入にはなる。


だが、パーティーメンバーの注目は4階層にある大きな門に注がれていた。


「階層主…だよね!」


「飛竜かな?地竜かな?それとも炎竜かな?」


「おい…5階層レベルで竜種が出てきていたらたまったもんじゃないぞ」


「リリーちゃん、たぶん天井があるから飛竜は無いよ!」


「お前達…話聞いているのか?」


(竜種であれば…魔眼を試せるんだけどな)


少しだけ期待をしてしまうアヤト。


「じゃあとりあえず開けてみましょう」


ルナが大きな扉に手を掛ける。


ギィ、ゴゴゴー


大きな物音を立てて扉を押して開けていく。


「…暗くて中が見えないな」


「結構広そうよ?」


冷たい空気がフロアを吹き抜けていく。


「みんな警戒は忘れないように!」


ジェルマンが注意を促した時であった。


広いホールの壁際に並んでいる蝋燭に、青い炎が灯っていく。


青白く照らされた部屋にはボスの影は無い。


「まさか…前回のボス討伐から、時間が短くて再生されなかったのか?」


(やばいぞ…ボスが居ないと怒りの矛先が僕たちに集まるぞ!)


アヤトとジェルマンは目を合わせて会話をする。


そんな時だった、アヤト達の立っている地面に影が落ちる。


『上だ!壁際に飛べ!』


アヤトとジェルマンが同時に警告する。


油断していたリザの手を掴み、壁際に飛ぶ。


ズズーン…カラカラ


大きな何かが天井から落ちてきて、数秒遅れて小石が振ってくる。


他のメンバーもなんとか無事に避けられたようだ。


「大丈夫か、リザ」


「う、うん大丈夫。ありがとうアヤト!」


「中央に気配がある…まだ油断するな」


土煙があがり視界が悪い。


すぐには消えそうにならない粉塵の中心には大きな影がある。


「未確認の物体が中央に1体…落下の時の音からすると防御が固いと思う!」


先程の油断していた態度のサーラからは一変して、瞬時に状況を把握しメンバーに状況を伝える。


全員がそれぞれの違った武器を構えている。


「いつ、どこから攻撃が来るかわからない!各自相手の攻撃に対応できるように!」


大きなジェルマンの声が反響して響いて聞こえる。


「何か気付いたら即報告!」


いざとなると、地力の高いメンバーは瞬時に自分の役割を把握し動いていく。


「まず近接は待機…攻撃が通らない場合を考えて、魔法主体で攻撃する」


『了解!』


各自の報告から指示を出すジェルマン。


「土煙が晴れて来たら攻撃を開始する」


部屋の中央の影が少し動く。


影が動くと粉塵もゆっくりと流れていく。


「対象が動いた…全長3m程度、横幅も結構ありそう!」


「アヤト攻撃準備…5…4…3…避けろ!」


ジェルマンが攻撃のタイミングを指示していると、中央の影から何かが飛んでくる。


「岩だ!」


人間の頭ほどの大岩がいくつも襲ってくる。


風を切り裂く音は、岩がどれほどのスピードかを物語っている。


あの岩をまともに食らってしまっては致命傷は免れないだろう。


しかしアヤトは飛んでくる岩を虎徹で切り落とし叫んだ。


「大丈夫か!?」


虎徹からは小鳥が鳴くような音が聞こえてくる。


アヤトの得意魔術『雷のフレイム』を纏わせ刀の切れ味を上げている。


3つ、4つと無数の岩が飛んでくるが、全てを見切り切り落とす。


『問題ない!』


ハナビは自身のスピードをいかし岩を避ける。


獣人族の2人は飛んでくる岩を真っ向から打ち砕いている。


こちらもとても女の子の行動とは思えない。


サーラの動きには一切の無駄が無いように見える。


岩が剣に触れると、受け流すようにさばいていく。


一番人間らしいのは、岩を避けているジェルマンだった。


しかし彼も密かに赤魔術のハイストを自身に唱え、一時的に自分の限界スピードを上げていたのである。


相手が動いていくと次第に砂煙が晴れて行く。


「敵影…ゴーレムだ!」


部分的に晴れた隙間から4本の腕に、2本の足が見える。


「…ゴーレムって5階層レベルか?」


「いや、もっと下層のはずだけど…」


アヤトの覚えが正しければゴーレムの出現回数は15〜20階層の階層主レベルだ。


そのゴーレムの全容が、砂煙が晴れ露となる。


大きな岩で作られた身体は剣や拳は通りそうも無い。


4本ある腕には小さな岩で作られた指までついている。


「このタイプってけっこう不利じゃない?」


「でも、願ってもいないわね!強者はいつでもウェルカムよ!」


ゴーレムは床の砕けた岩を飛ばしてくる。


足下にはまだまだ無数の岩や瓦礫がある。


遠距離での攻撃は止みそうになく不利であろう。


かといって近づいて、岩を剣や拳で削っていけるだろうか?


剣や拳を主体とする僕たちのパーティーには限りなく相性の悪い相手だ。


(僕なら…斬れるけど、どうしようかな?)


「ジェルマン!危なかったら僕も手を貸そう、出来るところまでみんなでやってみてくれ!」


「…わかった!相手の特徴もわかっているし…任せてくれ」


アヤトはメンバーのガス抜きも含め手を出さないことにした。


既に同年代では常識を超えた強さを持つアヤト。


本気で対峙してしまえばゴーレムは動くことも出来はしないだろう。


そこまでの強さに至っている。



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