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知識の宝庫〜異世界で上を目指す方法〜  作者: あやた
第2章 学園〜小等部〜
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第二十九話 メディッチ商会

虚脱感が抜けきらず、食欲もあまりない。


失った血を戻そうと肉料理を頼んでみたが、見ただけで満腹感が襲ってきた。


「食べないと血にならないぜ」


「そうなんだけど…やっぱりダメだ」


「そうか、無理に食べてまた体調を崩されてもな…」


医務室から食堂に移動してきた2人。


この学園では医務室が病院の様な大きさだった。


それもそのはずだ、何かと怪我が多い学園では毎日アヤトのような患者が来る。


前世の保健室レベルではすぐに満床となる。


「食べられないなら『ブルートポーション』でも買ってきたらどうだ?」


(ブルートポーション?)



ーーーー



[ ポーション ]検索


ポーションには各種類によって用途が異なる。

またポーションの性能によってレベルが10段階に分別される。

Ⅰ級ポーションは製造も困難となり、価格が高騰している。

過剰な接種は副作用を引き起こすため注意が必要である。



ノーマルポーション

ヒットポイント・外的損傷に対しての回復効果を発揮する。

Ⅰ〜Ⅹ段階で等級により効果が定義されている。


マジックポーション

マジックポイントに対して回復効果を発揮する。

Ⅰ〜Ⅹ段階で等級により効果が定義されている。


デトックスポーション

状態異常(毒)に対して回復効果を発揮する。

Ⅰ〜Ⅴ段階で解毒可能な毒がそれぞれ定義されている。


ブルートポーション

体内の血液を増加させる効果を発揮する。

Ⅰ〜Ⅲ段階で等級により効果が定義されている。


※その他に薬事師により様々な効果や特効のあるポーションが存在する



ーーーー



(なるほど…ポーションに頼るって方法もありだな)


「ポーション関係ってどこに売ってるの?」


「だいたいのものは、学園内にあるメディッチ商会で手に入るぜ」


「そっか…あっ」


そこまでジェルマンと会話をしていたアヤトだったが、ここで気がついた。


「僕…お金持ってないや。買い物もしたことないし」


「なんだ、あんな有名人の両親が居て1文無しなのか」


「うん。今まで自分で何か欲しいとか無かったからさ…毎日鍛錬だったから」


「…そうか大変だったんだな。アヤトの強さも納得だよ」


鍛錬しかすることの無かったアヤトの脳は若干歪んでいる。


「それならさ、俺がポーション代出してやるよ。」


「でも…悪いよ」


「別に大丈夫!家から出てくるときに少し多めにお金も持たされてるし」


「なになに?ジェルマンが何かおごってくれるの?」


「な!リザ…違うって、アヤトにブルートポーションを買ってやるだけだ」


「じゃあ、私は焼き菓子でいいや」


「お前…話聞いてるのか?」


頭を抱えるジェルマンに、満面の笑みのリザ。


「ジェルマン…僕の所為でごめんね」


「アヤトの所為じゃないよ」


「さ、早く行こうよ!」


2人の手を引いていくリザ。


「ところでもう身体は大丈夫なの?」


「血が足りないから、ブルートポーションを買いにいくんだろ!」


「あっ、それでか」


手を引かれて、少し小走りで頭を抱える男の子2人であった。



ーーーー



広い店内には所狭しと並んでいる商品。


食品から武具やら、何に使うかわからないようなものまで揃っている。


『広いなぁ…』


広すぎる店内を啞然と眺める新1年生の3人。


「いらっしゃいませ!何かお探しですか?」


そんな3人に声を掛けてきたのは、同年代くらいの女の子だった。


声を掛けられたことにより、ハッと意識が戻る。


「あ…ブルートポー『焼き菓子ってどこですか?』」


アヤトがポーションについて聞こうとすると、リザがかぶせ気味に質問する。


「馬鹿野郎!…すみません、ブルートポーションを探してまして」


「あ、ブルートポーションですね!こちらですよ!」


元気よく案内をしてくれる女の子。


「ここで働いているんですか?」


「いえ、働いているというより修行ですかね?ここは私の家がやってる商会なので…」


「へぇ!じゃあメディッチ商会の方なんですか?」


「はい。次女のアクアって言います!」


ジェルマンはこういった女の子と話すのが非常に上手い。


(サラッと名前を聞き出すんだもんな…)


彼女の名前は『アクア・デイ・メディッチ』メディッチ商会の次女で、将来は自分の商会を持つのが夢で、両親の経営する商会で幼いときから修行をしている。


『メディッチ商会』は商業ギルドの中でも5本の指に入るほどの手腕である。


代々続く商会は、学園と古くから縁があり、校長とも懇意にしている。


そのおかげで独占的に学園内での商売を任されている。


そんな説明も丁寧にしてくれる彼女には好感が持てる。


「こちらがブルートポーションです」


「ありがとう」


そこにはポーション類が種類によって棚に並べられていた。


ブルートポーションもⅠ〜Ⅲのランクに別けられている。


「どの等級になさいますか?」


「…どうしようか?」


「まぁ、アヤトも歩けているし、とりあえずⅢ級品でいいんじゃないか?」


「それにⅡ級品以上は高いしね。私のお菓子代も残さないといけないからⅢ級でいいんじゃない?」


「おい、なにしっかり奢られる気満々でいるんだよ」


「えーいいじゃんか!」


「ブルートポションⅢ級の1点だけでよろしいですか?」


「はい、それでお願いします」


「お会計は500gxです。ギルドカードをお預かりします」


(へぇ…ギルドカードで会計が出来るのか)


ジェルマンはアクアに自分のギルドカードを手渡す。



ーーーー



[ 金 ]検索


金(通貨)

物資やサービスに対して、それに見合った通貨を出すことにより交換が可能。

古来では物々交換で物と物を交換してきたが、それに変わる取引形態。

通貨の単位『 gx 』は世界共通の単位として使用されている。

一般的にギルドカードに通貨を保存し、ギルドカードの提示によって支払いが可能となる。

この機能を使用するには、ギルドに専用の口座を開設しないと使用が出来ない。


参考物価

一般的な食事(一食分)5〜10gx

一般的な世帯収入(1ヶ月分)3000〜4000gx


※自動検索によりユーザーの関心のある事項に絞り込みました



ーーーー



(結構高い買い物だったんだな…)


「ジェルマン助かったよ、明日にでも両親にお金について聞いておくよ」


「別にこれくらいなら構わないさ」


「ほんと、助かったよ」


その後、アヤトは両親に口座の開設を頼んだのだが…


ギルドカードに記載されていた金額は『10gx』だった。


これは口座開設の最低金額であった。



ーーーー


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