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さようなら  作者: けふまろ
本編
9/20

9 両想い……?

 

 僕は、本当にいる必要があるのだろうか。


 僕は、毎日のように蹴られて、殴られて……。

 

 あの笑顔で殴ってきて、生きる価値ないんだって、平気な顔して、僕のことを、笑っていた。

 

 その笑顔も、何もかもが憎すぎて。


 いつしか、本当に殺される日が来るのだろう。


 せめて、麗香に会わせてくれ。


 僕には、麗香が必要なんだ。


 麗香に会わせてくれなきゃ、僕は、もう……。


「こいつ本当に反応ねぇな。そろそろ殺しちまう?」

「馬鹿、金がどうなってもいいのか」

「そんなん、生きてるって言って、貰えばいいだろ。そしてそいつにも死んでもらう」


「あぁ、麗香ちゃんって子だろ? お前の携帯で見たら、意外とボーイッシュな少女だったからな。殺して内臓どっかに売れば、それも大儲けだろ?」

 

 途端に、周りは、大爆笑の渦。

 僕は、不快感を覚えた。


 刈り上げの男から、その言葉を聞きたくない。

 その名前を、その口から、言わないでくれ。


 麗香、大丈夫かな。


 僕のこと、好きでいてくれるか。


 麗香は、無事で家に帰れるか……。




「なぁ、麗香って、どんな奴なんだ…?」


 刈り上げの男の隣にいつもいる中年男性が、俺に聞いてきた。今は刈り上げのリーダーはいない。パチンコに行っているのである。


「麗香…は、まぁ色々と、いい奴だよ……」


「ふぅん。どんな奴?」


「騒がしいけど、優しいんだよ。甘やかすというか……そんな、お母さんっぽい安心感があって、可愛い……というか、すごく頼られているというか……」

「へぇ、そんないい人なんだよね」


「僕、麗香は、いい人だと思って……」


「お前、そいつのこと、好きなんじゃねぇの?」


「はぁ?」


「だって、そんなに麗香ちゃんのこと、気にしてるじゃん。長所いっぱい見付けるって、結構すごいことだよ」


 中年男性が僕に向かってそんなことを言ってきた。


「でも僕、麗香の告白断っちゃって……。いまさら何て言っていいか……」


「告白って、君、麗香ちゃんに告白されたの?」


 中年男性が、目を見開いて、尋ねた。


「でも、麗香の告白を断って、今更好きだって言っても、聞くわけじゃないだろ? だって、僕と麗香はもうすごく離れているんだぞ……」


 僕がそう言った途端に、中年男性は、僕の肩に手を置いた。


「大丈夫だ。麗香ちゃんは、絶対翔君を見捨てたりしない」


「そうなのかな……」

「あぁ、そうだ。絶対」

 中年男性は嬉しそうに僕を見た。

「そんな奴を好きになって、良かったな」


 この人は、少しだけだけど……良い人だと思う。

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