7 麗香は、僕の事が…
また、誘拐犯は、僕を殴る。
蹴る。
「お前なんてな、どうせいてもしょうがない人間なんだよ。何告白されたからって浮かれてんだよ、キモいんだよ」
そんな言葉を聞いて、早一週間。
もう、こんな日常に、慣れてしまった。
「こいつ、反応ねぇよな……。そろそろ飽きてきたんだけど。返していいっすか?」
刈り上げの男の隣で僕を蹴っていた、坊主頭の男がニヤニヤしながら言った。
「駄目だろ、お前。馬鹿野郎。今返したら、こいつの家族は安心しちまって、金なんてこれっぽちも手に入らねぇ。出来れば得した方がいいだろ?」
「そうっすね。……おい、お前、もっと苦しがれよ! 何のうのうと無表情で横たわってんだよ、気持ち悪ぃよ!」
坊主頭がそう言うと、周りの男達がどっと笑った。
「そういえば、昔中学時代に、いじめられても無表情な馬鹿野郎がいてな、せめて苦しがるか突き放すか、どっちかにしろって話さぁ……」
坊主頭が言うと、また男達が笑った。
やめろ。そんな笑顔で、僕を殴るな……。
でも、今の僕がそう言ったって、こいつらはやめるはずもない。
僕の今の顔は、腫れ上がっていて、青痣がいくつも出来ていた。お化けみたいな顔だった。
こんな顔を麗香に見せたら、そんなことになっても……。
麗香は僕の事が好きなのだろうか……。