11 直香と森口さんの意見
模倣犯……という言葉を聞いて、この場にいた5人は、ハッとした。
「そうか! 模倣犯か! なるほど! やるじゃん、森口!」
悠美香が一番最初に反応した。
「森口さん、さすがだね! 尊敬するよ!」
私も反応する。当の森口さんは顔を真っ赤に染めているが、悠美香はお構いなしにベタ褒めしていた。
「白崎さん達もそう思いますよ……ね? あれ?」
私が翔の一家に同意を求めようとしたが、何故か翔のご一家は悩んでいる。
「あの、あのね、森口さんだっけ? あのね、今の推理、私達ね……」
翔の姉の直香さんが森口さんに尋ねた。
「ん? ……白崎さん、どうしたんですか……? 森口の推理に文句があるとでも?」
自分の好きな人の意見を否定されたのが悔しいのか、悠美香が眉をひそめながら尋ねた。
「正しいと思う」
「私も図書館で、その恋緒君の事件ファイルを読んだの。だから、森口君……? ……の意見は正しいと思う」
直香さんは森口さんの方を見た。
森口さんはきょとんとしている。
「図書館に誘拐事件の資料があるっていうことは、解決済みか未解決。未解決の場合、大体誘拐された人も分からず……ってことじゃない? でも、児童誘拐殺人事件は、誘拐された人も無事保護されて……。まぁ、一人死んじゃったんだけど、でも警備隊が犯人を取り押さえたって話だから恐らくこの事件は解決済み。ということは、スカイツリーの警備隊に取り押さえられた犯人は無事逮捕されたってわけでしょ? ってことは模倣犯以外に有り得ない。殺人って結構重いし、最悪の場合、一生刑務所ってこともあるわけだし。コソコソ裏で誘拐して金持ってこさせて殺す奴も、根性が相当ひん曲がっているからね。弱虫だし、もう、誘拐する奴なんか金目当てでクズ同然だし、最低最悪だからね。
だから、刑務所から脱獄することも考えるでしょうし。でもいくら脱獄しても無理っちゃあ無理だよ。だったら図書館にその事件のファイル展示しないでしょうし。……まぁあのファイルはコピーだと思うけど。
でも、この事件の続報などがないってことは、脱獄するまでもなく、刑務所暮らしでしょうね。
だから模倣犯という意見は間違いではない。むしろ大正解……と言ったところだね」
直香さんの長文に、照れて顔が血を塗りたくられたみたいに真っ赤になった森口さんは、「流石翔君のお姉さん……。僕の思っていたことをそのまま言葉にしてくれて……」と喜んでいた。
そこは喜ぶところなのかと、私は少しだけ首を捻ったけど。




