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かけだし勇者の放浪日記  作者: hearo
異世界と旅立ちと運命の出会い
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旅立ちの日 4

ちょっと早めに投稿できました。

謁見の間を出て部屋に戻り、もらった盾と弓を置いてから食堂に向かう。話している間に腹が減ったのだ。

魔王城の食堂は、24時間交代制で警備を行う兵士達のために常に開いている。深夜などは流石にメニューは限定されるが、軽食ならいつでも食べられるのだ。それに今は少し早いとはいえ昼近い。それなりのものが食べられるはずだ。


コックのおっちゃんにオーダーを告げて席につく。料理が運ばれてくるまで少しあるから、その間にステータスカードの確認をしておく。


名前:アキト・ハザマ

年齢:17

種族:人間族

状態;健康

レベル:1(1)

筋力;117

体力:101

瞬発力:105

知識:213

守備力:91

魔力:8

経験値:176

Next:124


体力と魔力が下がっていて、経験値が増えている。

表示が最大値じゃないから、疲労が貯まったり魔法を使ったりするとこの数値は変化する。体力は休めば回復するが魔力はそうそう増えないのが困る。


しかし……風障壁(エア・ウォール)炎弾(ファイア・バレット)でおよそ魔力26消費。まぁ、人間族平均の4分の1の魔力を使ったわけか。

効率わりー。風障壁(エア・ウォール)が20、炎弾(ファイア・バレット)が5くらいなハズで、後は剣とサークレットの消費分。呼吸による魔力取込はサークレットの防御効果に消費されていて、魔力が落ちたから多分回復速度も落ちる。

サークレット外して、食事による回復で明日までにプラス20には……届かないかな。死ねる。

やっぱ防御は風障膜エア・カーテンにすべきか。でも、そっちだと弓は防げんしなぁ。風障壁(エア・ウォール)でもクロスボウは無理なんだが……。


同時にショートカットにセット出来る魔術は8種。系統は似てるけど使い方の違う魔術無効化(ディスペル)魔力霧散(ディサペイト)対抗呪文(カウンタースペル)は必須で、後は炎弾(ファイア・バレット)風障壁(エア・ウォール)応急手当(ファーストエイド)、それに閃光(フラッシュ)轟音(ジェット・サウンド)。これで8種。


今の魔力だとやっぱりこれくらいか。2つ撃つと打ち止めだし、これより効果の高い魔術は魔力が足らない。体力もか。土壁(アース・ウォール)とか風障壁と同じぐらいの魔力消費だけど、あっちは体力消費が半端ないからなぁ。シビアすぎる。

そして経験値は35くらいか?辛い。

別にレベルアップしてやるつもりは無いんだが……。したところでどの程度ステータスが上がるか謎だしなぁ。

それでもこの経験値量だと、ヘタしたら普通に1上げる前に死ぬ。実用化するならもう少し難易度は下げるべきだろうね。


「お待たせしました〜。ランチのチキン定食になります〜」


「……あれ?……ミーナさん?」


食事を運んできたのは、メイド服姿のミーナさんだった。


「はい、ミーナです。耳が垂れているのがミーナ、ピンと立っているのがメーナと覚えてくださいね」


そう言って頭に乗った耳を手で動かす。彼女の後ろではしっぽがパタパタと振られている。

犬人族。いわゆる犬耳っ娘の種族だ。顔が完全オオカミで毛深い牙狼族とはまた別。げっ歯類系−うさぎとかリス−の耳も仲間らしくいちょい謎な人類。


「えっと……ミーナさんはなぜここに?」


「私とメーナはアキト様のサポーターですから、出発後のフォローも勤めさせていただきます。今日はその案内をさせていただこうかと」


サポーター……。


「どうぞ食べてください。その間に簡単にご説明させていただきます」


そう言いつつミーナさんは前の席に腰を下ろした。

……見られていると緊張でなかなか喉を通らないわけだが……。ミーナさん可愛いなぁ。いくつくらいだろうか?同い年か……1つ2つ下くらいかな?


「えっと……サポーターって何をしてくれるんです?」


「城では掃除や洗濯などの雑務ですよ。この後は今の部屋の維持管理や魔王様から借りた道具の賃料取り立てを行います〜」


「取り立て……」


「それとステータスカードのオプションにレポート機能があるのはご存じですか?」


レポート?

カードに表示されているメニューに触れると、ステータス画面からメニュー画面に切り替わる。初めて触った時は驚いたもんだ。


「……あるね。これは?」


「魔王様が作られた試作品を使われる方には、レポートを書いてもらうことが有ります。その機能です。レポート画面を開けば、キーパネルが出てきて入力が出来ます。それを入力して送信しておけば、通信が可能な時に私達のもとに送られてくるわけです。それを確認して、魔王様への報告を上げたり、質問に答えたりですね。アキト様は作成の義務はありませんが、通話と違ってお金はかかりませんから良かったら使ってくださいね」


魔王がさっき言ってた『そのための機能』ってのはこれのことか。


「それから、プリインストールされている魔法に読込(スキャン)というものがあります。それで書面をステータスカードにコピーしたり、周りの風景を記録したり出来ます。それを使ってギルドで受けた仕事の内容や、周囲の状況を取り込んで送ってもらえれば、合わせてフォローしますよ」


「なるほど。便利だなぁ」


こういう機能はぶっちゃけ俺が居た時代の日本より進んでいる。


「ステータスカードは、もともと魔王様が作られたスマートカードを改良したものなんですよ。市販はされていませんが、城の従業員には配布されています」


革のケースに居れられたカードを見せてくれる。


「サポーターは魔王様が作られたアイテムを試験利用している方に一人から二人ついています。魔王様はお忙しいので、平行して行っている開発のサポートを全て一人でこなすことは難しいからです」


「アキト様はまだ正式な被験者ではありませんが、魔王様と同じ世界の方なので私達がサポートさせていただくことになりました。こちらに来られてすぐにご挨拶出来ればよかったのですが……魔王様からは見つからないようにとの命が出ていましたので」


おのれ大魔王ソーマ!許すまじ!


「当面は魔王様からお借りしているマジックアイテムの賃料が借金にならないようお手伝いさせていただきます。裏方ですけどね」


「世知辛い」


「そう言わないでくださいよ〜。サポーターは文官の中では花形なんですよ〜。被験者の中には、英雄と呼ばれるようになった方をはじめ、素晴らしい功績を上げられている方が数多くいらっしゃいます。文官は裏方ですから注目を浴びる事は少ないんですよ。でもサポーターは被験者さんの活躍によっては大出世もあり得ます。私の明るい未来のためにも〜頑張ってくださいっ!」


「自分のためかよ!」


「アキト様のために成ることが、私達のためにも成るんです!Win-Winじゃないですか〜」


そうだとしても腑に落ちない。なんだろうこの残念感は。


「それに、今は私のことよりアキト様のことですよ。ひと月に830ゴルですよ。駆け出しのミッションとしてはかなり難易度高めです!」


そうなのだ。

座学で学んだこの世界の経済レベルからすると、一般的なひと月の収入は100〜200ゴル程度。高給取りの警邏隊で500ゴル。騎士や文官で1000ゴルと言ったところか。

日本円になおすと1ゴル100円程度。収入が少なく見えるが、この世界にはちょっと特殊な役割ルールがあって基本的な食料や医療費がきわめて安かったり、タダだったりする。その上自給自足している部分も多いため金銭収入は決して多くない。

蟲人や魔獣を狩る冒険者は実入りは多いが、生活必需品以外の価格は高めだから相殺される。生活費を考えて安定的にひと月1000ゴル、これはかなりハードルが高い。


「はっきり言いましょう。この王都エターニアでその金額を毎月稼ぐのは無理です!ここは人が多く仕事が少ない。それに治安がよくて荒事もあまりありません。蟲どもや魔獣の生息域からも遠いです。830ゴル稼げる定職につくのは困難ですし、そもそもそれなら城を出る意味がありません。アキトさんは警邏隊の試験には受かっているんですから、アイテム返して警邏隊で働けば良いことになっちゃいます!」


確かにそのとおりだ。せっかく異世界に来たのだ。いろんなところを自由に見て回りたくて城を出るのに、定職を探しても意味がない。


「と、いうわけで、さっさと旅立つのです!できれば蟲とか魔獣の多い地域に。それでできればレベルアップしてくださいっ」


「……ミーナ。お前もか」


「半分冗談ですけどねっ!……でも、気をつけてくださいね。ステータスカードのマニュアルには私も目を通しましたが、レベルアップには短くても数分かかるみたいです。本当にどうしようもなくなってからでは遅いかもしれません。私も、メーナも、魔王様もアキト様に死なれるのだけは困ります」


「……死ぬつもりは無いよ」


この世界が日本よりは随分危険なのは理解している。あまり気は進まないが、レベルアップが必要になる可能性は理解しているんだ。魔王の口車に乗って被験者に成らないのは、自分が違う存在になってしまう恐怖もあるし、父さん母さんに申し訳ない気もするし、魔王に対する嫌がらせでもある。


「では、安全策を取りつつ旅に出ましょう。それには目的地が必要ですっ!アキト様はこの世界の地理には詳しくないですよね。大丈夫です。地図を持ってきましたから、当面の計画を練りましょう!」


どこから出したのか、書巻用の筒を振りながら、目指せ大森林踏破と意気込んでいる。大森林は大陸の南央部に広がる人類未踏破の地帯だ。それは普通に死ぬだろう。


「ああ……でもその前に……」


「んん?」


「さっさとご飯を食べて、お風呂に入ってください。アキト様ちょっと匂いますよ」


目から流れた汗が止まらなかった。

少しシーンの切り方が上手く行かなかったので、本日中に短めの話をもう一話投稿します。


本掲載分からあとがきに世界観についてちょっとづつ記載して行きます。

追記したり途中で微妙に変わったりするかも。


■魔王

約束の地(プロミスド・ランド)以外の世界から、人類24種族の代表たちによって召喚された者。人類の指導者。

異世界の知識を用いて、人類が現状では対抗し得ない危機の打破や、種族間の問題などを解決する為に呼び寄せられる。

召喚には新月の夜または満月の夜に、人類の創造主が生み出した『召喚の儀』と呼ばれる禁呪を用いる。

人類トップクラスの魔術師が20名近く必要。また、全ての人類が揃っていないと行えないと言われている。

『召喚の儀』の効果によって、現在人類が抱えている問題を解決できそうな知識や能力を持ったものが召喚される。


現在の魔王・ソーマは3代目の魔王である。

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