表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ちいさな僕のお姫様  作者: にしのかなで
二章
7/30

成年の儀

離れではあれ以来そう驚く事もなく日々が過ぎて行った。ルディはあと少しで15になる。これまでに周りで起きた変化は彼の成績が魔法魔術技師学校卒業資格の単位を全て取ってしまった事とその事で彼の進路をどうすべきが養父を含めた魔法省が悩んでいて、最近会った養父の白髪が増えていた事。

とりあえず成年の儀も終えていない者を卒業させるわけにはいかないと、暫く学校には行かず離れで魔具の研究などに専念するよう言われた、何と言うか自宅謹慎という感じでバツが悪い気がするけれど、日頃の勉強から解放されてあとは研究に没頭できるのでまぁ得した気分だと思う事にした。

ルディより7つ下のセシリアは8歳になって、やっと小さなお仕着せを着てフェンリルについて回っている。この前までは結構自由が効いていたからお互い暇つぶしのいい相手になっていたのだが、どうやら今後はそうもいかない。


ルディが一歩離れを出て魔法を使うと、なぜか時々それが暴走して周囲に影響を出すので実は早く学校を離れたくて猛勉強をした。養父は年に何度も結界作動装置を作り直し、外の世界で普通に生活できるよう頑張ってくれたけれども壊れる間隔が短くなることに頭を痛め言い放った。


「飛び級をして卒業しろ‼そして、余った時間で魔具の研究に勤しめ!」


ー半ばヤケになってたな〜養父さん・・・。ー


飛び級なんて無茶苦茶言うよとこぼすルディにセシリアが言ったのだ。


「私、お手伝いします!」


それから、試験の度に自室に籠りっきりの僕に食事やお茶を届け最後のお茶を下げに来た時にあの歌を歌ってくれた。


「さぁ、ルディ様。ベッドにお入り下さい」


最初は寝てる間なんてないんだよ⁈と、言うルディに「大丈夫です。セシーの言うことを信じて下さい。」と、フェンリル仕込みの笑みで失礼しますねと僕の手を握りベッドの傍で、まるで母親が子どもを寝かしつけるかのように歌い始めると酷い疲労の時には最初の一声さえ覚えていない。そして翌朝にはスッキリと目覚め課題はそれまで以上に進むのだった。


因みに、始めて離れで能力を使って依頼フェンリルさんから僕以外のために使ってはいけない。能力がハッキリするまでは僕が疲れていると感じた時に、僕をベッドに寝かせてから歌うことを言い渡されたらしい。確かにまた、目の前で消えられたりお互い制御が効かない者と能力のハッキリしない者が何処へ飛んでいくかどんな作用を起こすのかわからない。そんな不安を二人とも素直に受け取り彼女は確かに専属侍女になりつつあった。

お陰でルディは無事に卒業資格を得たのだが、まさか本当にこうなると思っていなかった養父は大層慌てたそうだ。


卒業資格を得てからは魔具作りに没頭したいからとセシリアには歌わせていない。あれは彼女の体力もかなり使っているのだ、だから一緒に眠ってしまう。まだ小さいせいもあるだろうけどルディは自分が小さい時の養父母の心配を思い出しなるべく歌わさなくていいように努める事にした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ