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ちいさな僕のお姫様  作者: にしのかなで
一章
5/30

セシリア3(改)

東屋で向かい合わせに座り改めてセシリアを視る、どこも何も感じない。


「セシリア、君は魔法技術長に会ったかい?」


「それは、がうすさまのおとうさまのことですか?」


「うん、そう。僕の養父さんだよ。何か言われた?奥様の所で会ったの?」


「ええと、わたしのまほうつかいさんをつれてきてくださるとおっしゃいました!だから、わたしはまいにちおくさまとうぃりーさまのいうとおりにしておまちしてました。」


「あ、ちょっと待って。ね、君ガウス様って言いにくくない?」


「でも!ごしゅじんさまですから・・・」


一所懸命に呼び方をキチンとしようという心意気で喋る幼児に掌を向けて待ったをかけた。


「あのさ、僕はこの屋敷預りで離れに住まわせてもらってるけどホントはまだまだ使用人とか雇えるほど偉くないんだよ。君も小さいから暫くは仕事らしい事できないでしょ?だからさ、奥様も言ってたけど僕の事は慣れるまでお兄さんだと思って名前もルディでいいから。そっちが呼びやすいと思うよ。」


「わかりました、る・・・ルディさま。えと、わたしはルディさまになにをしてさしあげればよいのでしょう?」


「うちの養父さんは君に何て言ってた?君、視たところ魔力はないよね?」


「おじさまは、ルディさまが安心できるようにしてくださいとおっしゃいました。あと、わたしはおうたならうたえます!みるふぉいのおうちでも、ないてるこにうたってあげたりしさいさまにおねがいされてうたってました。」


「じゃ、聴いてみようかな。」


「はい。」


スゥっと息を吸い込んで小さな唇から歌声が紡がれる。聴いた事のない歌だ、言葉も違う・・・?でも、頭の中には歌の意味が伝わってきて・・・曇天の隙間から指す光がセシリアの髪を煌めかせてルディは何だか心地よい眠りに誘われる。歌っている少女の瞳はなるほど光を浴びてくるくると色を変えてとても綺麗だ・


ー・・あ、ダメだ眠い・・・。ー


心地よい歌声に僕の意識はそこで途切れた。


「・・・さま、ガウス様。」


ん・・・誰?あれ、なんか、ふかふかしてるんだけど確かセシリアと東屋で・・・ガバァーッと意識の覚醒と共に上半身を起こす。


「な、なんで?なんで僕ここにいるんですかーっフェンリルさんっっ!!」


フリッフリのカーテン、女の子に相応しい柄のベッド。見回すと間違いなくセシリアの部屋でその部屋主の少女と同じベッドで眠っていたらしいしかもしっかり手を握り合って・・・いくら兄妹の様にって昨日今日の仲で、しかも東屋からの記憶がない・・・。呆然と固まったままの僕に躊躇いがちにフェンリルが声をかけてきた。


「あのぉ、覚えてらっしゃいませんよね?」


はい、覚えてませんともとブンブンと頭を半ば涙目で上下させる。


「お二人が東屋に向かわれたのは確認してました。それから少しして歌声が聴こえてきたのでもう一度お二人を観察しておりましたら・・・」


うんうん、観察していたら⁉


「まずガウス様が眠った様に見えまして、その後セシリアさんの歌が少し変わってそうしましたらお二人が・・・」


「どうなったんです⁈」


「姿を消しました。」


「・・・」


その後、慌てて東屋に駆け込んだフェンリルは半ば悲鳴に近い声でオブリーに助けを求めた。話を一部始終聞き終わった彼は迷う事なくこの部屋に来たのだそうだ。すると二人がベッドで手を繋いで仲良く眠っていたと。


「何でそこで起こしてくれないんですかぁぁ。」


勿論、実の兄妹でもない二人故すぐに僕を起こそうとしたらしい。するとセシリアが眠た気にしながらもしっかりと起こしてはいけないと言ったらしい。


「なんでも、ガウス様は最近とてもお疲れになっていらっしゃるので暫くこのまま眠らせてあげて欲しい。目が覚めたらきっとお元気になられているからと。」


そこまで説明すると自分もぐっすり眠りに入ったようだ。


「なんで、オブリーさんはこの部屋にいるってわかったんですか?」


「詳しい事はルディ様が目覚められてからお話しをされるとおっしゃってました。とにかく私が聞いているのはこの部屋に移動させたのはセシリアさんのお力だそうです。あ、あと彼女が目覚めるまではそのまま手を握ってそばに居てあげてくださいとも。ガウス様が目覚められたらそう間を開けずに目を覚ますだろうと・・・あら、ホントだわ。セシリアさん起きた?大丈夫?」


「・・・おはようございます・・、ルディさま、おつかれはとれましたか?」


まだ眠たそうに目をこすりながら聞いてくる、気づくと手も離れてる。僕はそのまま両手を組み、瞳を閉じて膝を立てその手を額に当てた。


「・・・なんか、凄くすっきりしてる。」


「ならよかったですぅ〜」


えへらと笑ってセシリアが言う。


「ここに運んだのは君?」


「はい。ルディさまはとてもおつかれのようにみえたので、それを癒す歌を歌わせていただきました。そしたら、おねむりになったのでルディさまのお手をお借りしてここまでとんできました、すごいですね!まほうつかいさんはほんとうにとべるんですね!!でも、ルディさまのおへやにかってにはいるのはどうかとおもってわたしのへやにしてしまいました。すみません。」


え、僕の手を借りて飛んで来た?魔力もないのに同調した?あれ?どっかで聞いたような・・・。だけど、なんだろうこの身体の軽さ。確かに僕は最近寄宿舎破壊事件の後始末やら始末書や養父の出した宿題に辟易して疲れてた。その疲れが全部払拭されてかえって頭の中がクールになってる。


「お二人共、起きられましたから少し遅いですがお昼にいたしましょう。」


僕はこの時、公爵夫人の言葉を思い出していた。


ー僕の能力を抑える人間。ー


傍に置くことは後々良い結果になる。

何だかますます、あの子について知りたくなってきた。


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