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ちいさな僕のお姫様  作者: にしのかなで
五章
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春が舞い降りる宴2

離れの二階、セシルの部屋にノックをする。中からは女性たちの華やかな声が漏れてくる。顔を出したフェンリルから男子禁制を言い渡され荷物を引き渡したところで養母に呼ばれる。


「ちょっと!ルディこれどういう仕組みなのよっ‼何度試してもぶっかぶかで、もうややこしい魔法ね。」


あ、指輪か。じゃ、はめてあげようと言う前に


「あ〜、ダメダメ!おば様まだセシルを見せるわけにはいかないわ。」


「あ、そうね。ごめん、ルディ後で頼むわ。さぁ〜て、シア様の衣装を見なくっちゃ。」


鼻先でバタンとドアを閉められ、一緒に来た侍女に例を言い階下へ降りる。丁度、公爵夫人が帰宅した様で準備が出来次第こちらに渡って来るとにオブリーから聞きながらつい溜息を隠せずにその辺の椅子に座る。


「お疲れのご様子ですね。」


「はい。精神的に何というか女性陣が・・・あの中に居るセシルが心配ですよ。」


「アナスタシア様は姉妹がいらっしゃいませんし、エミリーやフェンリルにとっても妹分、ガウス夫人にしたらまた娘の様な存在でしょう。あ、そうそう。ウィレム様は無事に帰れるそうですよ。何でも兄君に頭を下げてお願いしたのだとか。」


「はぁ〜、国の仕事をほっぽり出してなにやってんだか。」


「えぇ、同感ですがこの屋敷の男性陣で一番動きやすい立場なので宰相もお許しになったのでしょう。何にしてもセシルが愛されていると言うことは確かですよ。」


にっこりと微笑むオブリーも、セシルの実の名が明かされこれ迄の様に離れだけにひっそりと暮らす生活から抜け出せることを喜んでいる様だ。そうだ、あと少しでセシリア・ミルフォイは新しい名で広い世界に足を踏み出す。その為に自分は今日、失態は許されないしこれからは彼女の後見人として恥ずかしくない様務めなければいけない。名付けの儀を執行したものはその後、名付け子の後見人になることが一般的だ。その点では僕は未だ公爵家預りの身で後見人も公爵家なのだが、一侍女見習いに流石に公爵家に後見人にを頼むわけにはいかない。何れ学生の身を卒業し、王宮勤めにでもなればルディでも問題はないと養父の意見に従う事にした。何より、ルディの魔力を制御してくれる稀有な存在だ。そのうちには流石に力のルディも自分の魔力の制御もできるだろう。そうなれば、ますますセシリアは自由になる。その頃には、兄気取りのウィレムが彼女に相応しい伴侶の候補を幾つか出すだろうな。ちょっとさみしいかも・・・。いつの間にか自分も彼女の兄であり父親的な思考を持ち始めていたらしい自分に思わず苦笑した。

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