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ちいさな僕のお姫様  作者: にしのかなで
五章
24/30

春が舞い降りる宴1

今日は司祭殿の告別式なのだが、それとは反対にシュヴァリエ公爵家の離れは賑やかに名付けの儀の準備が進んでいた。


庭はガウス魔法技師長の魔法で慎ましくも華やかに飾り付けられ、そこかしこに陽が暮れた後に灯るであろう飾りも用意されている。本邸の侍女エミリーも来て、いまその侍女二人はセシルの準備に勤しんでいる。アーウィン執事からは儀式を魔法使い形式で進める事に意義はなく進行は全て任されてしまった。


あまりに急な事で、さすがに主の宰相閣下は出席できないが祝いの品が届いた。因みに三人の子息もやはり急であり勤務の都合でこちらも出席が難しいが、自称兄である三男ウィレムは何とか帰る方向で息巻いているらしい。アナスタシアからは早急に帰宅の準備をすると連絡があった。


そして、いまルディは養父母に自室へと拉致され儀式に間違いがないよう確認と服装などの準備を楽しそうに養母がしている。なぜにこの自分の養父母まで招かれたのか、と思ったが公爵夫人からセシリアに由縁のある者はなるべく出席していただきたいとの招待があったそうだ。養母はともかく養父は王宮での仕事大丈夫なのだろうかと心配をすると儀式の手順に間違いがない事を確認すると職場に引き返すと言う。つまり愚息がまた何かやらかさないか心配なのかと、遠い目でいると養母はルディを幾つと思っているのか湯の準備をすると服を引っぺがして風呂に入れようしてきたので、流石に勘弁してくれといつもより豪華に花弁が浮かんだ湯に入り、その後身なりを養母と後から参戦した二人の侍女に整えられる。やはり、切りそびれたまま伸びた癖毛はいつぞやのように今度は金糸で編まれた紐で一つに結ばれる。


「あら、あの耳飾りはないの?」


「あれは、セシルの指輪と対にしていたので片方しかありませんよ。」


「指輪は?」


机の引き出しから出して来ると養母はそれをセシルに着けるようフェンリルさんに渡す。


「え、あれもしかして僕もこれ着けるんですか・・・」


「そうさ。今日は本邸の使用人達も出入りする。何もないだろうけど御守りと思って着けときなさい。」


一方セシリアもまた戸惑っていた。


「え、この指輪またはめるんですか?」


「えぇ、ガウス夫人からのお言い付けです。御守りになるという意味じゃないかしら?」


どうやら今日の主役は当たり前だがルディ以上に念入りに磨き上げられているようだ。3人の女性がドレスはあれがいいかこれにするかと、後で聞いた話では着せ替え人形の様に扱われていたらしい。階下からはいつもより多い足音とご馳走の匂いがしてくる。


ルディは何度も手順を頭で繰り返し、まさかこんな大事になるとは思わなかったので早く終わらせたい一心で待っていた。いま、階下へ降りても邪魔なだけだ。そう思っているとアナスタシアが帰宅したとオブリーが呼びにきてくれたので本邸まで挨拶に行く。


「お帰りなさいませ、アナスタシア様。お仕事中、急な事でお呼びたてしてすみませんでした。王宮の方はよろしいのですか?」


「ただいま、ルディ。大丈夫、ミンナ様から快く送り出されたわ。あぁ、やっとあなたのお姫様に会えるのかと思うともう楽しみで・・・あら、やだ。今日も例の耳飾りしてるじゃない。」


「これは養母に着けるよう言われたんですよ。もう、あの人娘がいないからって張り切っちゃって・・・って、シア様⁈」


話の途中でアナスタシアは離れへと急いで向かい始めた。


「大変!私出遅れてしまったわ!ドレスや小物をたくさん持ち帰ったの、急がなきゃっ。私が持ち帰った荷物を離れに運び込む様にお願いね、先に離れに行ってますから。」


側にいた侍女に言いつけると素早く離れに駆けて行く。


「うわ、セシルは準備だけで疲れるな・・」


侍女に遠慮されながらも荷物運びを手伝って離れに戻る。今ごろ着せ替え人形状態だろうか、儀式の前に疲れなきゃいいけどと心配になるルディであった。


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