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ちいさな僕のお姫様  作者: にしのかなで
四章
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花開くその側で6

昨晩の出来事は夢を見ているようだった。だけど確かにあの不思議な女性に会った。それは朝食時にセシリアが僕に話しかけてきた事で(あぁ、やっぱり現実か)と安堵したようなモヤっとスッキリしないような。とにかく、今日は司祭殿の告別式で奥様も参列されるだろうから食事が済めばすぐにでも昨晩の報告に行かなければ。例の女性は今日にでも名付けの儀をと言われたから、準備もいる。


(しかし、僕ごときがやっていいのか⁈)


「そうですか、昨晩そんな方がいらっしゃったとは・・・。やはり、人柄を見込まれてセシリアを預けたのでしょうね。わかりました、名付けの儀は貴方が指名されたのですから儀式の執行は貴方で大丈夫ですよ。成年の儀も終えている事ですし。」


てっきり難が付くのではと思っていたが、あっさりと和みスマイルで了承された。


(ええぇぇぇ〜っっ、いいのっ⁉)


「ただ貴方、名付けの儀にお呼ばれしたりして実際に行われるのを見た事ないと思うのだけど・・・そうねぇ、アーウィンに詳しく聞いておきなさい。アーウィン、いいかしら?」


「かしこまりました奥様。ご招待される方はどうなさいますか?」


(はぁっ?ご招待⁉)


「旦那様が帰ってこられたらいいのだけれどね。急ですし、一応連絡だけいれて。あとは、息子3人とアナスタシアにも仕事に差し支えなければ出席するように。おめでたい儀式だけど、今日は内々にお祝いしてまた別に改めてお披露目しましょう。お料理などの手配は任せていいかしら?あの子の存在をとりあえず屋敷内に知ってもらういい機会だわ。儀式は離れで、でも本邸の隅々の使用人達にも祝ってもらいましょう。」


「では、早急に王宮のご家族の皆様にご連絡を差し上げる手配をしてまいりますので、ひとまず失礼致します。」


立ち去るアーウィンを呆然と見つめてから、はっと我にかえり奥様に思いっきり振り返り聞いてしまった。


「あのっ‼すみません勉強不足で。名付けの儀ってそんなすごい事なんですか?」


「ええ、本来は生まれた赤ちゃんをお披露目する儀式なのだけれど。だから、普段は前以て招待客や規模が決まっているのよ。でも今回は急な事でしょう?本当は日を改めてとお願いしたいけれど、その女性が今日にでも貴方にとお願いしたのだからその意向に添わなくてわね。何と言ってもあの子の不自由が解消される素晴らしい日だわ。」


告別式は正午から執り行われるらしい。その後、陽の暮れる前には名付けの儀を行いたいと奥様に言われ慌てて離れに戻るとこちらもバタついていた。


「お天気も気温も心配ありませんからガーデンパーティーにしようと思いまして。」


「ガウス様、儀式はこ存知で?」


「学校で一応、魔法使いの行なう儀式は習いましたけどやるのも見るのも初めて・・・です。」


「ふーむ、セシルは能力持ちの子ですからその方式でもよろしいのでは?一応アーウィン執事に確認しましょう。手順はわかっていますよね?」


「う、一応再確認してきます。」


「宜しくお願いします、では私は一旦本邸へ。」


「あ、オブリーさん!エミリーをお借りできないかお願いしてきてもらえますか?」


わかったと、片手を上げ本邸へと消えて行くオブリーをうっかり見つめていると、フェンリルから声がかかる。陽が暮れてからの灯りが心許ないのだがどうしようという相談だ。


「離れはいつも質素ですから、今日くらいはあの子の為に華やいだ雰囲気にしてあげたいんです。」


「それなら心配いらないわ。」


不意にこの場にいるはずのない人の声に二人で驚き声の方を見る。長身の夫妻揃っての登場に言葉もない。


「お邪魔するわよ、フェンリル。灯りは主人が出しておいてくれるわ、それより今日の主役を磨き上げなくっちゃ。ルディ、あんたもキチンと正装しなきゃだめよ。」


華やかな衣装に身を包み楽しげな養母と対象的に養父は眉間にシワを寄せ、ブツブツと呟いている。


「何でお前なんだ・・・他の者では駄目なのか?おい、お前大丈夫なんだろうな?」


はは、僕が聞きたいです養父さん。


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