表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ちいさな僕のお姫様  作者: にしのかなで
序章
2/30

ニーム・ロドリゲス・ガウス

ルディは両親の顔を知らない。

なんでも赤ん坊の時に、国境付近を療養のために移動していた隣国の王子殿下の一行にたまたま見つけられたという。

籠の中に大事そうに包まれた赤ん坊の隣には既に息絶えた女性がいたらしい。

王子殿下はその女性を丁重に埋葬させると、まだ生まれて間もない僕を同じ馬車に乗る侍女に預け王宮に届けた。

国王陛下は慈悲深い行動に感謝の意を尽し、すぐに魔法技師が呼ばれ魔力が図られた。暫くして国王陛下に謁見した技師達は困惑顏で告げた。


「恐れながら陛下、あの赤ん坊は私共には計り知れない魔力を秘めております。如何いたしましょうか?」


親のない子は普通、孤児院へと預けられる。この国では魔力持ちが生まれると、すぐに魔法技師がやって来てその力を図る。魔力持ちは貧富の差なく生まれ、7歳になると王立魔法魔術技師学校へ入学しその能力によりクラスを分けられそれぞれに合った技術を研鑽し17歳の卒業の年まで勉学に励む。

原則全員寄宿舎に入り、授業料や三食の食事まで国費で賄われ卒業後は就職先もほぼ確定するため、庶民の家に魔力持ちが生まれると家族は大喜びで迎える。

しかし、気位の高い貴族にも魔力持ちが生まれるため、中には庶民との生活を嫌い自費で魔法省から家庭教師を派遣してもらい自宅で学ぶ者もある。


さて、赤ん坊に話を戻そう。まず国王は魔法技師長を呼び寄せた。これほどの魔力持ちを孤児院に預けていいものか相談をする。技師長はその力の大きさが安定するまで自分の養子として預かると申し出た。側で息を引き取っていた女性からも、入っていた籠や産着からも身元はわからない。そんな赤ん坊を彼は養子とすると言う。国王は一瞬考えたが預けるなら最良の家だと言い許可を出した。

すぐさま話を聞いた国一番の癒術師である彼の妻ツェツィーリアが、引き取りに来る。彼女は赤ん坊を見て満面の笑みを浮かべた。何故なのかは未だ解明されていないが、魔力持ちには子どもが生まれにくい。

ツェツィーリアは是非とも隣国の王子殿下にすぐにでも謁見をお願いしたいと嘆願した。長旅で疲れている王子であったが許可が降りた。まずは赤ん坊を同行してくれたことに対する 感謝を述べそして、最大の礼を尽し癒しの術をその日から毎日の王子に対し施した。


そういった経緯でルディは魔法技師長の養子になった。しかし5年も経つ頃、家屋の魔具に不安定な彼の魔力が影響を及ぼし始め本人の意思ではなくとも様々なモノを破壊してしまう力の暴走に頭を痛めた夫妻は身を切る思いで魔法技術学校への入学までの間、王家に次ぐ結界を施してある離れを持つシュヴァリエ公爵家へと養子を預けることにした。


そして、学校へ入学し寄宿舎に入るのだがここでも破壊の力は止められず養父は幾つもの結界作動装置を作成したが12の年にとうとう寄宿舎の自室を半壊させてしまったことで、技師長はもう一度公爵家に養子の屋敷預りを願う書をしたためることになった。


以上が、ニーム・ロドリゲス・ガウスが公爵家の離れに住む理由である。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ