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ちいさな僕のお姫様  作者: にしのかなで
二章
11/30

成年の儀5(改)

ひとしきり話し終えると、次は広間に入り色んな方々に紹介をされた。社交デビューの御令嬢にとっては、本人また親もこの場で将来の良き伴侶候補を探している。魔法技師となる僕はあまりその範囲内にはないだろうと思っていたが何故か熱い視線を感じる。しかし、そこは社交慣れしたアナスタシアの事。

しっかりと、伴侶以外の魔法技師としての価値も売り込んでゆく。圧巻されながらも何とか無難に会話をしながら広間を半周した頃、王族の方々の入場を知らせるラッパの音が響いた。

国王陛下の挨拶が始まる。


「今宵集まった成年の儀を迎える子息令嬢の皆、誠におめでとう。我が王家にも第二王子オーランドが新たに成年の仲間入りをした。今日は堅苦しい挨拶は抜きにしてこの後は踊り、語り一生に一度の晴れ舞台大いに楽しんでいくように。では、新しい世代に乾杯。」


それを合図に音楽が始まった。

まずは、王家からオーランド殿下とそのすぐ上の姉君であるヴィルへルミナ殿下が中心に現れる。それから三大公爵家の子息令嬢らが周りに集まりまずは最初のダンスが始まる。畏れ多くもルディはシュヴァリエ公爵家預かりの魔法技師に過ぎないのに子息と同じ扱いでその環に入りアナスタシアの足を何とか踏まないようにと思いつつステップを踏む。


「あら、余程フェンリルとオブリーが厳しく鍛えたようね。才能もあるんでしょうけど、上手よルディ。ほら、笑って!」


「笑えませんよっ、姫様の足を踏まないように必死なんですから。」


「まぁ、さっきのお返しなんて嫌よ。それにしてもやっぱり貴方、熱い視線を受けてたわね。」


「そうですね、それはさすがの僕もわかりましたが彼女達と踊っている時間はないんです。」


「あら、どうして?夜は長いわよ。彼女達貴方を捕まえて離さないと思うわ。」


「あの、さっきも説明をしましたけどこの耳飾り距離と時間をセットしているんです。セシルの体力も考えてあまり遅くまでは・・・」


「ふふ、まるで御伽噺の姫君ね。いいわ、私も何かあれば大変だからと貴方が帰る意思を示したらそうするように言われているから。私はこのまま王宮の自室に帰れるから馬車は貴方が使って、このダンスの後に手配するわ。」


「有難うございます。ちょっとこれ、試作品なモノで危ういんですよね。今はセシルの方には影響はないようですが、どちらの方にどう影響するかわからないので。」


「いいわよ。小さな姫君の事も心配でしょう?その代わり、今度私が本邸に帰ったら必ずセシリア姫に会わせてね。」


クスクス笑いながら優雅なステップを踏みつつ2曲名のダンスが始まるとそのまま上手に輪の外へと僕を踊りながら導い下さった。それから近くの侍女に馬車の事を申しつけると、本当は王族にご挨拶をすべきところだけれどあちらも事情は解っているだろうから自分から挨拶と断りをしておくと言い側にいた近衛兵に馬車まで送るようにと言い渡しじゃあね、と会場に消えて行った。ふと、視線を感じ降り向くとウィリーがステイシア嬢から離れ近づいてくる。


「お前、もう帰るのか⁉」


「あぁ、ごめん。事情は姉君に話してあるから後で聞いて。魔法が解けちゃうんだよ。」


最後に付けたした言葉に


「はぁっ⁉」


と、間抜けな顔して見られたけど早くステイシア嬢のとこに戻らないと横取りされかけてるぞと心でつぶやき先程の侍女からローブを受け取ると馬車へと急いだ。まだまだ、半人前だ。人気の多い場所は早く離れて帰りたい。馬車の中でかなり神経を使っていた事に気づき椅子に深く腰掛け直す。途端に睡魔が襲ってきた。飾りを付けた耳が熱い。あぁ、ごめんセシル。心配かけたんだ・・・ごめん、ごめんね・・・そのまま公爵邸迄グッスリ眠ってしまった。

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