偵察④〜初めての対人射撃〜
アクセス数4000突破しました(^-^)
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これからもよろしくお願いします。
「目視で目標まで距離300」
高機の運転をしている大塚三曹が叫んだ。
「速度20に落として前進!Lav1、Lav2も続け!」
「了解」
盗賊らまで50mといったところで、島は車両を停止させた。
3両は草や枝で偽装しているのでまだ気づかれていないようである。
そこで島は作戦に従って部隊を3つに分けた。
作戦とは、まず左右からLav2両が派手に機関銃を撃ちながら接近。盗賊を出来るだけ引きつけて姫(?)と侍女(?)らしき6人から可能な限り引き離す。ここでの射撃はわざと外して、なめさせる必要があるだろう。そしてある程度距離が離れた所で島、大塚の乗る高機が突入し、彼女等を救出する。突入段階の射撃では、敵に命中させる必要があるだろうので、この役割は島自ら務める。そして救出が完了次第最大速度で離脱する。相手は全員徒歩なので、追いつかれる事は無いだろう。
……というものである。
タタタタッ タタタタッ タタタタッ
MINIMIの射撃音が聞こえてきた。高機はさっきの位置から動いていないが、車高が低いのでギリギリまで気づかれずに接近できそうだ。
ー軽装甲機動車1号車ーーーー
「おい、真中、スピード上げろ、追いつかれるぞ」
Lav1号車の上でMINIMIで追ってきた盗賊らしき男たち4人を牽制していた吉田二曹が、運転している真中に怒鳴った。
「ダメです。これ以上スピード上げたらついてこれなくなります。隊長が離脱するまではこのスピードをキープします。敵はそちらで何とかしてください」
「何とかするっつっても、威嚇だけじゃな」
と不満を言いつつも、足下に銃弾を撃ち込んで、5mの距離を維持し続けていた。
それを追う盗賊たちも、こちらの奇々怪々な乗り物と、鉄砲に驚きながらも、銃撃が当たらないことを余裕に持って、前進していた。
それが罠だとも気づかずに……。
ー高機動車ーーーーーーーーー
「よし、突入開始!」
十分に引き付けたと考えた島が、大塚に命じた。
それでもまだ8人の盗賊が、姫たちの周りを囲んでいた。いきなり草むらの一部が動き出したのを見て、彼らは驚いたようだが、健気にも槍や刀を持って向かって来た。
「武器を捨てて降参しろ〜!」
島は最後の希望をかけて言ったが、もちろん止まらずに向かって来た。
タタタタッ タタタタッ タタタタッ
島は覚悟を決めると、ついに人の命を奪うために引金を引いた。
圧倒的な光景であった。こちらに迫ってきた6人の盗賊たちは左から次々と崩れていった。 盗賊らしき男たちもボロボロの鎧のようなものをきていたが、MINIMIの5.56㍉弾の前には紙にも等しかった。
島は彼らの戦闘力を奪うために、足元を撃ったので、死んだものはいなかったが、悲しむ暇も、後悔する暇も無かった。
「隊長、応急処置しますか?」
こちらを向いてきた大塚が意外に冷静な顔をしていたのにびっくりしたが、よく見ると、唇を噛み締めて泣きそうになるのを必死にこらえていた。
当たり前だ。島も大塚も、人に向かって銃を撃ったのは初めてだし、ましては軽くは済まない怪我をさせたのである。
ただ、2人に立ち止まっている暇は無かった。
「いや、そのまま放棄、姫さんたちの救出、収容を最優先にする」
「了解」
追っ手があっという間に撃破されたのに驚いたか、残っていた盗賊の幹部らしき男2人は、何かわめきながら逃げて行った。彼らを追撃して殺すことも出来たが、島はそこまで非情にはなれなかった。
この甘さが自衛隊のこれからの行動を左右する事になるのだが……
ー軽装甲機動車1号車ーーーー
「隊長が行動を開始しました。今まで逃げて来た分、やっちゃって下さい」
Lavの運転をしていた真中が、逃げ続けていた事に相当ストレスを感じていたのか、珍しく感情的になって言った。
「あったり前だ!おりゃ〜……え……?」
「二曹、どうしました?これ以上接近されると危険です」
「ま、まずい。弾切れだ。真中、距離とれ!リロードする」
「すいません、沼地にはまりました。抜けるまでスピード上げられません」
機関銃は小銃などと違って重く、軽くは扱えない。無理やりリロードするか、それより早く敵が接近するか、吉田は後者と判断した。
レールに取り付けられているMINIMIから手を放すと、腰のホルスターから9ミリ拳銃を抜いた。走っている車の上から拳銃を当てるなど、アニメか映画の世界だけだが、それでも装填中の9発で4人を倒さなければ、死ぬだけである。
先頭の奴との距離、4m、3m、2… バンッッ
撃破。崩れ落ちる。
「次!」
2人目 バンッッ
撃破。倒れる。
だが、次に吉田が見た光景は、自分に槍が迫ってくる瞬間であった。
「ま、間に合わない!!」
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