偵察③〜1582年〜
久しぶりの更新です。
これからもよろしくお願いしますf(^_^)
「Α分隊よりフタマル」
「フタマル島だ」
「商人と思われる男性から情報を入手。現在の日付は天正10年5月25日。さらに、この場所の領主は、織田前右府なるものらしいです。さらに、上様とも呼んでいました。以上、通信終わり」
「フタマル了解」
無線機から手を離した島はパジェロの後部に座って銃器の点検をしていた真中一士に尋ねた。
「おい、織田前右府って信長のことか?」
「はい、そうです。いわば通称のようなものですね。さらに、天正10年っていいますと、西暦1582年です。つまり……」
「本能寺の変ってことか?」
「隊長もご存知なんですね」
「ああ、そのぐらいはな……」
「あの、私たちは……」
2人の会話を黙って聞いていた衛生係の大塚三曹が口出しした。
「その言葉はさっきも聞いたぞ。でもなんともいえん。情報をあつめ、それからだ」
その後も各分隊から情報が集まったが、分かったことは次の事である。
・現在の年代は西暦1582年
・現在の時刻は15:20で、隊員たちの腕時計とくるいはなかった。
・ここ安土の領主は織田信長
・その他の大名も史実と同じである。
ということである。
島はそれらの集まった情報を中隊本部の通信班員に伝えると第二小隊の隊員を戻すことにした。 さらに、現在時を知った島は、偵察班をそのまま明日の朝まで潜伏偵察させることにした。 第三混成中隊に選抜された猛者たちなら何の問題もないであろう。
そのとき車外から、
「おっおい!あれ」
「やばいんじゃね?」
などという声が聞こえてきた。島は近くにいた掛井に、
「どうした、何かあったか?」
と尋ねると、
「周囲を監視していた隊員が何か発見したらしいです。確認します」
と言っている間に、工藤一士が双眼鏡を手にやって来て、
「隊長!民間人らしき人が、盗賊のような連中に襲われそうになってます。どうぞ」
島は双眼鏡を受け取ってそちらを見ると、花畑のような所で、3人の綺麗な着物を着ている少女たちと、彼女たちの侍女らしい3人の計6人が、いかにもというような荒くれ者達に囲まれていた。
荒くれ者達はこの状況を楽しんでいるようで、今すぐ襲いかかるという訳ではなさそうだが、時間の問題だろう。
「どうしますか?」
掛井が尋ねてきたが、島の、そしておそらく掛井の腹も決まっていた。
「救助する。小隊の面々が戻ってくるにはあと2、30分かかるだろうから、ここにいる10名のなかから、1個分隊と俺、あと怪我人がでるかもしれないから、大塚も連れて行く」
「では、自分も」
「いや、掛井曹長はここに残って指揮を執ってくれ。そんで、小隊が揃ったら、そのままベースに戻れ。俺たちも救出に成功次第直接戻る」
「自分が救出部隊の指揮を執った方が良いのでは?」
「いや、救出時には必ず発砲する事になるだろう。隊員たちに躊躇させないためにも俺がこの時代で最初に引金を引く!」
そこまで言うと掛井は根負けしたようで、
「かないませんな。了解しました。ベースで会いましょう」
島は救出に、軽装甲機動車2両、高機動車1両でいくことにした。高機は助けた人の輸送用である。偵察班の分人数がうくので、第二小隊も全員乗れるだろう。まぁ歩いてもたいした事のない距離なのだが。 島は彼女らを救出したら、そのままベースに連れ帰って、話を聞くつもりであった。身なりからして、身分がある程度は高そうなので、しっかりとした話が聞けるだろう。第二小隊に早めの帰還を命じたのもそのためである。
すべては救出に成功してからなのだが。
ー高機動車ーーーーーーーーー
「前進よ〜い、前へ」
島の声に合わせて、3両の救出部隊が前進を開始した。
といっても人数の関係で各車両2人しかいないのだが。
島は大塚の運転する高機の後部座席でMINIMIの安全装置を解除した。すでに幌は取り外してある。
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