「私がレイプされた被害者です」そう言って死ねば味方になってくれるよね?②
どんなに悪いことをしても、どんなに世間から嫌われていても、それをヒックリ返すことができる方法が日本にはある。
それは自殺だ。
日本という社会は責任をとって死ねば皆優しくしてくれるのだ。そして今度は世間が、その死ぬ原因を作った相手を死ぬまで追い込んでくれる。
アカリの動画によって山崎は冤罪被害に遭った悲劇の映画監督の息子から、性被害者にセカンドレイプをして自殺に追い込んだ極悪人に一気に形勢逆転した。
アカリの自殺によって。
アカリが死んだのは私とカフェで別れた次の日だった。
メロンと書かれたその日に作られたTwitterアカウント。一本だけ動画がアップされてツイートなどはなかった。
アカリの目の下は真っ赤に腫れて唇は真っ青でブルブル震えていた。アカリの後ろに写る白い壁がよりアカリの異常な様子を際立たせていた。
「皆さんこんにちは。私は氷山大学出身の風早アカリです。はい学生証も写しておきます」そう言ってアカリは学生証をカメラの前に近づけた。
アカリの綺麗な茶髪は学生証と今のとで変わりがほとんどなかった。
「1週間前に皆さんもご存知のとおり、山崎シンスケが、あの事件は冤罪と言っていましたね。…はぁ…それは嘘です。あの事件は本当です。私が…私がレイプされました。私が被害者です。」
そう言った画面に写るアカリはもう全てを決意した女の強い顔をしていた。映画でよく見る子供を守る母の顔的なあれだ。
「私は山崎シンスケから2人で食事をしようと家に呼ばれました。映画部のキャストのことで相談があるとのことでした。当時、私には彼氏がいたので彼氏に断りを入れてから行きました。このご時世なので食事だけなら良いですよと山崎にラインで返しました。その時の写真も見せます」そう言ってアカリはスマホの画面をカメラに近づけた。
「そして結果的にレイプされました。動画も撮られていました。今はもう消されたみたいですが、海外のAVサイトにも載っていました。当時のその動画のサムネイルも見せておきますね」と言って、アカリは再びスマホの画面をカメラに近づけた。スマホ画面には海外ポルノサイトにアカリが正常位で白目を向いているサムネ動画が表示されていた。動画のタイトルは『日本人 女子大生』。
「誰も信じないと思います。でも本当なんです。私は山崎シンスケにレイプされました。」
アカリはカメラを睨みつけるようにそう言って立ち上がった。
そしてアカリは白い卓上テーブルの上に登った。アカリの体は胸から下しか見えなくなった。
「言葉に責任持って死んで証明させていただきます。地獄に堕ちろ….山崎」
そう言ってアカリは机を蹴り上げて動画は終わった。
なんか今のご時世的にタイムリーなので、狙っただろうと言われてもおかしくないのですが全く狙っていないんです。元々このテーマで作品構想していたんです。今の報道で作品の設定大幅に修正しました。
なんならテレビ局による性犯罪は去年の作品から書いていました。私がモデルにしたテレビ局はフジテレビではなかったので、「あ、先にフジテレビのがバレたんだ」くらいの小並感で今の報道を見ています。