もう背中は追わない
今日はしっとりとエチです(^^;)
最後のベッドの上でも散々弄ばれてしまって……
それでも別れが辛くて思わずしゃくり上げたら……
オトコはまるで餞別みたいに
『オレの事は死んだと思って忘れてくれ』って言った。
本当にバカな私は
こんな言葉を吐くオトコの事を……
別れてもう3年も経つのに忘れる事ができない。
前の会社の同僚から何気に送られてきた納涼会での写真……
浴衣姿の彼女のスナップ写真の片隅に写り込んでいたカレとその家族。
今は別の会社へ向かう電車の中、人差し指と親指でその画像をピンチアウトすると……決して忘れる事の出来ない奥様とカレの面影を持つ娘さんがそこに居た。
そんな“最低な写真”の力を借りて
その夜、私は夢想する。
あの場にいるのが私で……
納涼会ではしゃぎ回っていた愛娘が疲れて寝入ったら
“川の字”のお布団をまさぐって指と指を絡め
カレの懐へそっと潜り込む。
それから……
それから……
本当は一人っきりの冷たい部屋で
私はこんな妄想を抱いて
人差し指と親指で
自分を
ピンチイン
ピンチアウト
熟してそれらが滑り出すと中指と薬指の出番……
密かに線香花火を燃やし
つまらなく残骸を焦がす。
そして肩を揺らして
忍び泣き
そんな独り寝の夜が辛くって
飲み歩いたあげく
この人と出会った。
そして
お互い酔った勢いだからと
拾い拾われ
この冷え切った私のお城で
シャワーを浴びる若くて眩しい背中を見ている……
きれい
ああ
いいんだ!
男のくせに
こんなにすべすべの背中をして……
私ったら、にわか仕立ての肉食系になったみたいで……
すべすべの背中に頬を転がし、嗜み始める。
「ん?」
目を凝らしてみると
もう所々消えかけてはいるが
古い爪痕が幾条か……
こうやって
跡を残したのは
いったいどんな女?!
可愛いこの人に
傷なんて付けなくていいのに!!
この人にだったら!!
数えて何番目かでもいい!!
その“何番目”かに
なってみたい。
かくも私は
乾き切った荒地なのだろうか?
捨てられたカレへの思慕が
『単なる肉欲に過ぎなかったのでは?』
と思えてしまうほどに……
でも今、傍らに居てくれるこの人の腕や胸や手や指やくちびるは
すべて優しかった。
ああ、こんな……灰になるまで逃れられそうにない“業”を
これからいったいどう扱っていけばよいのか?
すぐ背後に
絶望の淵を感じて
「その場限りでもなんでもいい、素肌に人肌を感じたい!」って
体ごとこの人の背中に縋ったら……
この人は、回した私の腕を抱きしめてくれた。
お返しに
何でもしてあげたいと思った。
そう!
独りこっそりと観ていた“映像”みたいなコトでも
なんでも!
「ねえ、何がして欲しい? 何でもするから言って!」
なるだけ甘く
こう囁いたら
「あなたにとって僕は……まだまだ頼りない存在でしょうけど……僕の大切な人になっていただけますか?」って頬にキスされた。
こんな事を今、言われたら
もう泣くしかないじゃない!
バカみたいにエンエン泣いたら
“あなた”もグシュグシュになって
涙味のキスを
いっぱいいっぱいした
そしてこれから先
ずっとずっと
二人の心が繋がり続けるように願いを込めて
お互いがお互いを感じた。
こんなふたりだから
幸せになって欲しいな♡
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