王都へ
あらすじ
なんかすごそうな人にボコられた。
「『スティラ五杖』?」
なんだそら?
「知らないの?」
「うん」
この世界で16年生きてきたが初耳だ。
「全世界で魔法使える人ってあんまりいないのよ」
「えっ、じゃあおれって珍しい?」
「そこそこね。私は使えないわ」
知らなかった。
あんなカスみたいな火も出せないやつがこの世界にはいっぱいいるのか…
「その少ない魔法使いの上澄み中の上澄みの5人。それが『スティラ五杖』よ」
なるほど。
とりあえずすごいってことだな。
でもなぜそんなやつがこんな低レベルな場所に?
「そもそも本物?そのキシリカとかいう人の名前騙ってるだけじゃないの?」
「証拠はないが信じとくれ」
怪しい。怪しすぎる。
「でも私、あんな魔法初めて見たし、強いってことは間違いないわ」
確かに強いし、仮に本人だったとしよう。
だがまだわからないことがある。
「なぜおれを弟子に?」
「おもしろいから」
アバウトすぎる…!
「第一、おれにメリットあるの?」
「強くなれるぞ。そこの赤毛のもわしが鍛錬相手になったろう」
「わたしそんな戦闘狂じゃないのよ?」
嘘こけ。
初対面のガキを容赦なく斬れるやつが何言ってんだ。
「あと、王都まで一緒に来てくれ」
「「王都!?」」
王都アラキ。
スティラで中央に位置する首都。
スティラで一番でかい街だ。
しかし、この世界はあまり交通機関が発達していないため、行くのに一年はかかる。
「な、なんで?」
「来てのお楽しみ」
ビジョンが湧かなすぎる…!
「旅の費用はわしが全て出すでな」
「そういう問題?」
「でも」
ソニアが口を開いた。
「いいんじゃない?私たち特に目的なかったし」
「確かに…」
「あと都会を見ておきたいっちゃ!」
方言?
「じゃあ、よろしく頼みます、キシリカ?様」
「うんうん」
おれ達は握手をした。
彼女は手袋をしていた。
「あとわしはガキじゃないぞ。28さいじゃ」
その口調の感じで20代なことあるんだ。
見てくださってありがとうございます!