魔法使い
あらすじ
ソニアが仲間に加わった。
盗賊を捕まえた次の日、おれは冒険者組合に行っていた。
ソニアに正式に冒険者になった方がいいと言われたからである。
正式な冒険者とそうでない者では回ってくる依頼が全く違うものになり、稼ぎが全然違うらしい。
「すみませーん。登録しに来たんスけど」
「へいへい」
奥からおっさんが出てきた。
「じゃあ書類とかは持ってるかな?」
「えっ」
そんなん知らなかった。
なんで異世界来てこんな面接みたいな感じになるんだ。
おれがあわあわしてると、
「あ〜別にいいよ。偽造するし」
「それはそれで不安だ…」
ずさんすぎない?
そんなわけで新米冒険者になった!
宿へ帰ることにしたおれは大通りに寄り道しながら帰ることにした。
並んだ屋台を見ているとおいしそうな串焼きを見つけた。
「おじさん、これ何の串焼き?」
「ああ、それは『クヌョリネアス』だ」
「ク…え?」
名前で一気に食う気失せた。
得体が知れなさすぎる。
「おい、おっさん。『クヌョリネアス』と『チリチリフトマキガイ』を5本ずつくれ」
俺の横からチビッ子が注文した。
「おう!嬢ちゃんお使いか?えらいな〜!おまけで『ナカヌキ』も1本つけてやる!」
「違うわ。全部わしが食うんじゃ」
わし?一人称どうなってるんこいつ。
「…手持ちがない」
どうやら財布を家に忘れたらしい。
そいつがおれを横目で見た。
「お前、払え」
「は!?」
何だこのガキ。
最近の親はちゃんとしつけしてないのか?
「それが初対面で人に頼む態度?」
「そうじゃそうじゃ」
嘘だろ…
「あのなぁ…」
おれは凄んで言った。
「テメーみたいなガキがおれ様にたかろうなんていちまんね」
次の瞬間おれは空中をカッ飛んでいた。
「ぶっ!?」
なんだ?何が起こった?
「ガキじゃねーわ」
見るとさっきのガキが手をかざしていた。
「次はもっと高く打ち上げたるぞ」
仕方なく(本当だぞ)おれは金を払ってやった。
宿にしょげながら帰るとソニアが、
「どうしたのその顔」
とても言うのが嫌だったので嘘をついた。
「色々ガキに恵んでやったのさ」
「違うじゃろ」
いつの間にかさっきのガキが後ろに立っていた。
「ひぃぃぃぃぃぃぃ!」
こいつ尾けてたのか?
「誰この子」
「オレガカツアゲサレタコデス」
「情けないわね」
何も言えなかった。
「あーあーそんな驚くでない。金を返しに来ただけじゃがな」
よかった。追撃食らうかと思った。
「それよりお前」
「おれ?」
「魔法使えるじゃろ」
「へ?」
急な質問でびびった。
使えるがそれがこいつとなんの関係がある?
「一応…」
「誰に師事した?ここら辺じゃとベンジャミン校か?」
「ど、独学」
おれの『ファイヤーフィンガー(改名検討中)』はおれオリジナル技だ。
「なんと!それは興味深い!出してみ出してみ」
「はい…」
俺は指から火を出した。
ガキは驚いた顔を見せ、
「それ全力?」
と聞いてきた。
「はい」
「しょぼいな」
おれがこれを見せる度に毎回貶されている気がする。
「じゃが…これは鍛え甲斐があるな」
なんでおれがこいつの門下になるみたいな話になってんの?
「冗談じゃねぇ!さっきからなんなんだお前!」
その瞬間ソニアがやつの隙をつき斬りかかった。
「お前何してんの!?」
「感じないの!?こいつの周りの空気おかしいわ!」
しかし、
「なんじゃ赤毛の」
空中で剣が止まった。
「な!?」
「ここでは人目もあるしの。原っぱの方に移動しようか。」
そのままおれら2人は見えない力に誘拐された。
「ここら辺でいいかの」
トミノ平原までおれ達は移動していた。
なんなんだ本当に。
「ふぁーすとれっすんじゃ。かかってこい。2人同時でよいぞ」
「舐めんじゃないわよ!」
ナチュラルバーサーカーソニアは猛然と突っ込んで行ったが、おれは非戦闘員なので見ているだけしかできない。
ソニアの剣技はあの盗賊達を倒した時よりも冴えきっていたが、
「届かない…!」
やつに刃が触れることはない。
毎回空中で剣が止まる。
「見ているだけでいいのか?」
俺にやつが語りかけてきた。
「発想を飛躍させるんじゃ。魔術はそこから始まる」
「余所見してんじゃないわよ!」
一層力の入った一閃が叩き落とされる。
「お前は…もうだいたいわかった」
「う!?」
ソニアの腹が不自然に凹み、吹っ飛んだ。
「お前ぇ!」
「熱」
何が起こったかわからなかった。
おれは手で自然と指鉄砲の形をとっていた。
「___火を飛ばしたのか…!!」
やつは興奮しているのか鼻息が荒い。
「確かにいめーじに沿った形を触媒にして自分の魔力を引き出す魔法使いは多い。だがその形は見た事がない!興味深い興味深い興味深い!!!!」
おれは二射目を撃とうとまた指を構えた。
「だが、二度目は喰らわんぞ」
無機質な声が聞こえたあと、頭に強い衝撃を受けおれは気絶した。
「んあ」
デジャブ。
「起きたか」
「テメェ!」
「まぁ待て。わしに敵意はない」
「あんだけボコボコにしといてか!?」
そうだ、ソニアは?
「…ソニアは!?」
「赤毛のか?そこで寝とる」
見るとソニアはベッドで寝ていた。
そういえばいつの間にか宿に戻っている。
ひとまず安心した。
「んぅ…」
ソニアが目を覚ました。
「大丈夫か!?」
「うぅん…?なんで宿に…?」
「ちょうど起きたな」
やつは改まって、なんと頭を下げた。
「わしの弟子になっとくれ。このキシリカ・トールヴォスきっての願いじゃ」
急に下手に出られて困惑していると、
「キシ…リカ?」
ソニアが目を見開いている。
「知ってんの?」
「キシリカ・トールヴォスって言ったら、あの『スティラ五杖』の1人よ!」
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