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異世界エンジョイライフ  作者: ○
旅立ち
2/42

スティラ

 おれはダイゴ・ディルデデンダント。

 普通の高校生からスティラと言われる異世界の普通の平民にジョブチェンジした。


 おれが転生した先はディルデデンダント家という、大仰な名前からは想像できないくらい普通のマジでなんの特徴もない両親からリポップした。


 ディルデデンダント家は小物などを販売している「ディルデデンダント雑貨店」という店を経営している。

 ディルデデンダント(長ぇ)家では普通ながらもそれなりな生活をしていたが、16歳でせっかく異世界にきたのにこんな普通な人生でいいのか?と思い、自立を決意。



「父さん、母さん、おれ有名になりたい」


「お前には無理だ。お前はアロマスティックを作ってる方がお似合いだ」


 親父はおれに店を継いでもらいたいらしい。


「だいたいね、あなた何になりたいのよ。漠然としててわからないわ」


 と母。


「魔法使いとか?」


「魔法使えるの?」


「見てて」


 おれは100円ライター程の火を指から出して見せた。


「しょぼ」


 ちょっと泣いた。



 まあなんやかんやで定期的に帰ってくることを条件に旅に出ることを許してくれた。


「ダイゴよ。餞別にこれをやろう」


 親父がなにか液体の入った瓶をくれた。


「これは?」


「貴重な不死鳥の体液が入った瓶だ。願掛けくらいにはなるだろう」


 ちょっと泣いた。


「しかもこの棒を刺すと…!」


 親父が木の棒を取りだした。


「おお!」


「いい匂いがする」


「アロマスティックじゃねーか」


 アロマスティックだった。




 ___そんなわけで見送られながら街を出たわけなのだが、街を出た瞬間野盗に襲われフルチンになってしまった。

 親父からもらった瓶も割れていい匂いがする。


「なんで…」


 そういえばメガネ好きのクソ神が過酷な世界って言ってたような。

 こういうことか…


 街に戻ったおれは、全裸で実家に戻るのも情けないため、ひとまず警察的なところに行って事情を説明しようと思った。

 その道中…



「はぁ!?」


 女の叫び声が聞こえてきた。


「何よ、私が自己中って言いたい訳!?」


 なんか揉めてるっぽい。


「いや…ただパーティーには一人一人役割があるからそれを守ってほしいだけなんだけど…」


 違うわ、これ女が悪いわ。


 見ると勝ち気そうな女VS大人しそうな男とぼーっとしてる女の構造ができていた。


「スタンドプレーはやめてほしいかな…だって君バンバン魔法の射線入ってくるじゃん」


「それは…!そうかも」


 認めちゃうんだ。


「でも!あなた達が私に合わせるべきよ!」



「まあまあ落ち着きましょうよ」


 しょうがないので間に入ってやった。


「何よこの変態!」


「違う!」


 何も違わなかった。全裸であることを忘れていた。



「とりあえずこの変態は置いといて…

 じゃあ勝負しましょうよジャンネ!目標はここら一

 帯に出てくる盗賊を先に捕まえること!開始は明

 日!」


「はぁ!?むちゃくちゃだよ!」


「いいじゃん楽しそう」


 ぼけっとしていた女が初めて声を発した。


「アンナ!?」


「じゃあ決定ね!あなた達は2人でかかってきなさい!」


「いや、待った」


「何よ変態」


「おれもその勝負乗った」


 多分その盗賊おれの荷物盗んでいった奴らだ。


「いいわ、三つ巴ね変態」


「いや、そっちの声デカいほうにつきたい」


「嫌よこんな変態」


「こんな装備なしの状態で盗賊に襲われたら死んじゃう。つまり突っぱねたお前のせいになる」


「…」


 仲間に入れてもらった。チョロい。(ついでに服も買ってもらった)




 彼女はソニア・ヴォイドヴァーンというらしい。

 赤髪ロングヘアーでもさもさしている。

 冒険者をやっていると言った。

 冒険者というのは猫を探すことから魔物を倒すまで、色々な依頼をこなす職業だ。

 なんでもあのパーティーは元々の2人にソニアが自分を売り込んで仲間に入れてもらったらしいのだが…


「わたしが…自己中のせいで…依頼失敗しちゃった…」


 らしい。

 なんかキャラ違くね?



「わたし、田舎から出てきたばっかりで…その地域で冒険者になるやつはあまりいないからって…みんな応援してくれてたのに…わたしのせいで…」


「あれだな、お前風呂で一人反省会とかするタイプだろ」


 こいつ、昼間の感じは作ってるっぽい。

 本当は素直なんだな。



「実際わたしが悪いのよ…2人が協力しようって言ってるのに…無駄に前出て…何か言われたら意地になって…」


「じゃあなんで2人にあんな勝負吹っ掛けたの?」


「悔しかったから…」


 なんやねんこいつ。



「とりあえず今日は寝て明日に備えよう」


「わかった…」


「ああ、それと」


「?」


「君はおれみたいな全裸のやつを仲間にしてくれた。拒否することだって、できたはずだ。」


 彼女は何処の馬の骨とも知らない奴を受け入れてくれた。それは間違いない。

 だからこの恩は精一杯返したい。



「勝とうぜ、一緒に」


「…うん」




 そうして、決戦の朝がやってきた。

見てくださってありがとうございます!

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